生産管理における工程管理とは?現場が得られるメリットと失敗しないポイント
公開日:2020年03⽉03⽇
最終更新日:2024年10⽉15⽇
製造現場において、無駄なく、効率的に生産活動を行うためには、工程管理を行うことが不可欠です。
この記事では、工程管理の考え方とその目的、実際にどんな現場でどのように工程管理を行うのかをご紹介します。
工程管理とは?なぜ工程管理を行うのか?
そもそも、工程管理とは何をすることなのでしょうか?また、なぜ工程管理をする必要があるのでしょうか?
工程管理とは何か?
工程管理とは、一言でいうと「工程ごとの進捗や実績を管理して、現場の”見える化”をすること」です。
工程管理を行うことにより、現場の課題が浮き彫りになり、どう現場改善をすればよいかが分かるようになります。
工程管理を行うためには、各生産工程で、「何を」「どれだけ行ったのか」を、実績情報として残していく必要があります。
工程管理をしていないと発生する2つの問題
- 生産の進捗状況がわからず、納期遅延や進捗確認の手間が発生する
- 適切な生産計画が立てられないことにより、無駄な人員配備や人手不足が発生
以上の2つの問題を見てみましょう。
①生産の進捗状況が分からず、納期遅延や進捗確認の手間が発生する
工程管理を行っていない現場では、現場で製造中の製品がどれくらいあるか、今現在どの工程まで進んでいるのかが分かりません。
そのため、予定よりも遅れている製品があった場合に、遅れ自体を認識できず、遅れを取り戻すために人員を増やしてサポートするといった対策が取れないまま、納期遅延を起こして顧客の信頼を失ってしまうということになりかねません。
また、進捗状況が分からないと、顧客や後工程の担当者から進捗についての問い合わせがあった場合に、都度、営業担当者や製造部の窓口担当者が、現場に行って確認したり、現場の作業者に電話で確認するといった無駄な作業が発生することがあります。
②適切な生産計画が立てられないことにより、無駄な人員配備や人手不足が発生
工程管理を行っていない現場では、製品を生産するために必要な作業人員や、作業時間の把握ができていません。
その結果、生産計画を立てても精度が悪く、多めに人員配備をして、作業者が余ってしまったり、逆に、作業者が少なくて作業が遅れてしまい、納期を守るために残業をせざるを得ないといったことが発生してしまいます。
工程管理をすべき現場とは?
- 生産工程が複数に分かれている現場
- 製品ごとに生産工程がバラバラな現場
上記のような現場では、工程管理によって、進捗や実績管理を行うべきです。
例えば、金属加工業や樹脂加工業は、上記条件に当てはまることが多く、工程管理が必要な現場だと言えます。
工程管理によって現場が得られる3つのメリット
まず、工程管理を行うことで下記のようなことが実現できます。
- 進捗管理が見える
- 適切な人員配置ができる
- 予実管理ができる
上記の特性により、工程管理を行うことは、現場にも大きなメリットをもたらします。
- 納期遅れの防止と納期確認の手間の軽減
- 生産リードタイムの短縮や生産効率の向上
- 作業員の生産性意識の高まり
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①納期遅れの防止と納期確認の手間の軽減
工程管理をすることによって、生産の進捗状況が見えるようになります。
生産の進捗状況が見えれば、予定よりも遅れている製品があった場合に、すぐに遅れていることを把握できます。
他の生産品との予定を組み替えて調整したり、応援人員を確保して遅れを取り戻したりといった対策を取ることができるため、結果として、納期遅延を防ぐことが出来ます。
また、進捗状況がすぐに分かるので、わざわざ現場担当者に確認する手間をかけなくても、工程管理ツールを見るだけで事足りるようになります。
②生産リードタイムの短縮や生産効率の向上
工程管理をすることで、各工程でどれだけ時間がかかるのか、どれだけ作業人員が必要なのかといったことが、過去の実績を基に見えるようになります。
その情報を基に生産計画を立てれば、無駄な人員配置や人手不足が発生せずに効率的に生産をすることができ、生産コストの削減にもつながります。
また、生産計画と実績の比較を繰り替えすことで、より効率的な生産方法を探っていくことができ、生産リードタイムの短縮にもつながっていくことになります。
③作業者の生産性意識を高めることができる
工程管理をするということは、各作業者が自分の作業の成果を記録して、実績が見えるようになるということです。
「目標よりも早く、正確に作業ができた」「以前よりも早く作業できるようになった」「今回は生産時に不良を出してしまった」といった、自分の作業の結果が見えることにより「どうしたらより生産性が上がるのか」「どうしたらミスをなくすことが出来るのか」ということを考えながら作業をするように、作業者の意識を変えていくことが出来ます。
1人1人の作業者の意識が向上していくことで、現場全体の雰囲気も良くなり、より良い現場づくりが出来るようになります。
工程管理をする3つの方法:メリット・デメリットともに紹介
ここまでで、工程管理とは何か、工程管理を行わないことによりデメリット、工程管理によって現場が得るメリットをご説明しました。
それでは、実際に工程管理を行う場合に、どんな方法があるかをご紹介します。
①ホワイトボードに工程表を書く
工程管理を行う簡単な方法として、現場にあるホワイトボードに工程表を書く方法があります。
工程管理専用のホワイトボードも販売されていますが、手軽に始めれることもあり、ホワイトボードで工程管理をしている方は多いかもしれません。
ホワイトボードのメリットは、自由に書くことができること、すぐに修正できること、チームで状況共有がしやすいことです。
デメリットとしては、ホワイトボードまで実績を書きにこないといけない手間が生じること、記載できる情報量が少ないこと、小規模な生産現場でしか対応しきれないことです。
また、新しい情報にどんどん上書きされていってしまうため、過去の実績を残しておくことが出来ない点もデメリットになります。
②エクセルで帳票を作成する
工程管理を行う方法として、最も使われているのは、エクセルで作成した帳票ではないでしょうか。
エクセル帳票のメリットは、誰でも使えること、安価に使えることが挙げられます。また、特に大きなメリットとしては、柔軟性が高いことも挙げられます。
ある程度エクセルを使いこなせる人が作成すれば、帳票を自由自在にカスタマイズできるため、自社に合った形で工程管理をすることが出来ます。
反面、エクセル帳票には下記のようなデメリットがあります。
- 変更がリアルタイムで反映できない
- 過去の実績データ活用が難しい
(1) 変更がリアルタイムで反映できない 各作業者が、作業が終わるたびに都度エクセルを起動し、実績を記録していくというのは、あまり現実的ではありません。
基本的には、各作業者がプリントアウトした紙に手書きで記入して後から入力するか、各作業者から手書きした帳票を集めて専任の事務員がまとめて入力するといった運用に
なってしまうことが多くなります。それだと、進捗状況がリアルタイムで分からず、現場で起こっている問題に即対応することは難しくなります。
(2) 過去の実績データの活用が難しい エクセル帳票はファイルやシートがどんどん増えていってしまうため、必要な情報が埋もれていってしまうことがあります。
過去の実績データを見て集計をしようとしても、エクセルに慣れている人でなければ、どのように情報を取ってきて加工すればよいか分からず、
せっかく収集した実績データを活かしきれていないことになってしまいます。
③工程管理システムを利用する
現在では、工程管理をシステムを活用して行うことが多くなっています。
特に、工程管理システムのパッケージソフトを導入して、工程管理の効率化を図るケースが増えてきています。
システムで工程管理をすることのメリットとしては、下記のような内容です。
- リアルタイムで実績が反映されていくこと
- 自動的に集計が行われるため、集計の手間がなくなり収集したデータを活かしやすいこと
- 実績入力の手間がバーコード読取などで軽減できる
反面、工程管理システムにはデメリットがあります。
- システムの導入/利用に費用がかかる
- システム選定を誤ると、上手く使いこなせなかったり、管理工数が増える場合がある
特に、システムの費用は一般的に数百万円~、高額なものなら数千万円~と高額になりがちです。
自社に合った規模で、使いやすいシステムを選定する必要があります。
工程管理で失敗しないためのポイントとは【実績入力の手間を極力なくす】
工程管理を行うために重要なポイントは、「実績情報を漏れなく、ミスなく集められるか」です。
実績入力自体が漏れていると、進捗状況が分からなくなり、工程管理をしていないのと同じになります。
また、実績入力された内容にミスがあると、進捗状況を間違って把握してしまったり、正しい作業時間が分からなくてせっかく集めた実績情報をうまく活用することが出来ません。
そして、実績情報を漏れなく、ミスなく集めるためには、「実績入力の手間をなくす」ことが極めて重要です。
作業者からすると、工程管理を行うことになった結果、今までしていなかった実績入力を行う手間が生じることになります。
実績入力自体が面倒だと、作業者は余計な手間が増えたと感じてしまい、その結果として、入力漏れが発生したり、実績入力の内容が徐々に雑になってしまうといったことが起こるためです。
実績入力の手間を極力なくす方法を考えることが、工程管理で失敗しないための重要なポイントになります。
そして、工程管理システムは、実績入力の手間をなくして、工程管理をする上で最適な選択肢です。
工程管理システムの中には、バーコード読取などで実績入力の手間を軽減したり、一部の内容であれば自動的に入力してくれるものがあります。
また、入力ミスや漏れを防止する機能が盛り込まれているシステムもあるので、工程管理を行う方法として、ぜひ検討したいものです。
まとめ:最適な工程管理で現場を”見える化”しましょう
工程管理とは、「工程ごとの進捗や実績を管理して、現場の”見える化”をすること」です。
また工程管理を行うことにより、下記のようなメリットを得ることができます。
- 納期遅れの防止/納期確認の手間の削減
- 適切な生産計画を立てられる
- 作業者の意識が向上する
上記のメリットを最大限得るためにも、自社にとってベストな工程管理の方法を検討する必要があります。その際、実績情報を漏れなく、ミスなく集めれるように「実績入力の手間をなくす」方法を検討するようにしましょう。
弊社ネクスタでは、バーコードを用いて簡単に実績入力ができる工程管理のシステムを提供しております。導入支援付きのトライアル導入も提供し、お客様が工程管理のメリットを最大限得られるように支援していますので、お気軽にお問合せください。
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