工程管理と進捗管理、生産管理の違いとは?システム導入など、プロジェクト効率化の秘訣を解説!
公開日:2024年03⽉11⽇
最終更新日:2024年03⽉28⽇
工程管理、進捗管理、生産管理は、業務を効率化する上でとても重要です。それぞれの管理方法のプロジェクトの効率化におけるメリットやデメリット、目的や管理方法の違いを明らかにした上で、システム導入のポイントを解説します。
工程管理・進捗管理・生産管理の違い
工程管理、進捗管理、生産管理は、製品を効率的に生産するために不可欠ですが、混合されやすい業務でもあります。しかし、それぞれ管理範囲や目的に違いがあり、企業の特徴に合わせて選ぶべきです。
最も業務範囲が広いのは、生産管理です。生産を始める前の需要予測や発注、生産終了後の品質管理や出荷まで、すべての工程を総合的に管理します。
工程管理と進捗管理は、特に混合されやすい業務です。これらはどちらも、納期までに製造を完結させるための管理・調整業務です。
工程管理の最大の目的は、生産プロセスの効率化です。全体の製造工程を把握したうえで、効率的かつ計画的に生産を進めていきます。対して進捗管理は、工程管理のうちスケジュール管理に関する業務に特化しています。納期遅延が起きていないか確認し、適宜調整していきます。つまり、進捗管理は工程管理の幅広い業務のうちの一つと位置づけられます。
生産管理 | 工程管理 | 進捗管理 | |
管理範囲 | 製品の需給予測から 出荷までの全過程 | 生産工程全体 | 各製造工程 |
目的 | 需求のある製品を 効率的に生産すること | 生産プロセスの効率化 | 進捗確認やスケジュール調整 |
次に、各業務について具体的に解説していきます。
工程管理とは
工程管理は、製造工程全般において、作業効率化や品質の維持・向上、コスト削減、納期厳守などを目的に、必要な作業の順序や方法、時間などを計画し、実行、監視、制御することです。
工程管理の流れ
- 計画(スケジューリング)
まず、プロジェクトの目標(納期など)を設定し、達成するために必要な作業を洗い出します。そして、人員や設備などのリソース割り当て、作業の優先順位付け、タイムラインの設定を行い、全体的なスケジュールを作成します。 - 計画に基づき実行
割り当てられた作業を実施し、加えてリソースの管理、計画に沿った進捗の確認を行います。チームでコミュニケーションをとり、計画が崩れないよう、発生した問題に素早く対処することが重要です。 - 評価
計画実行の後は、その成果を評価し、製品の品質検証やリソースの効率性評価、コストと時間の分析など、目標達成度を分析します。分析結果は、次のプロジェクトを計画する上で貴重なデータとなります。 - 改善
結果の評価を基に、改善案を立て、それらの実施を計画します。問題点を根本から解決するための実行計画を立てることが重要です。
これらの工程管理サイクルを経て、より生産性を高めることを目指します。
進捗管理とは
進捗管理とは、プロジェクトの遅延を防ぎ、目標達成をスムーズに行うために、進捗を確認し、必要に応じて調整を行うことです。進捗管理では、計画に沿って製造するための各種調整、進行状況の確認、問題が発生した際の対応などを行います。
進捗管理の流れ
- 現状把握・目標設定を行う
まず、プロジェクトの範囲、目標達成のための基準や現状を把握します。目標が明確であればあるほど、後のステップでの計画立案や進捗の測定が容易になり、効率的な進捗管理の基盤を築くことができます。 - 各工程のタスクの割り当て
目標を設定した後、各工程に必要なタスクを洗い出し、それぞれの作業を従業員に割り当てます。タスクの期限設定、優先順位付け、リソースの配分などを行い、従業員が、何をいつまでに、どのように行うべきか明確にします。 - 定期的にスケジュール調整を行う
定期的に進捗を確認し、作業が計画通りに進んでいない場合は、適宜調整していきます。進捗の遅れや問題が発生した原因を分析しながら、スケジュールの調整やタスクの再割り当てを行います。
生産管理とは
生産管理は、工程管理や進捗管理を含む、生産全体の管理を行う業務を指します。生産管理の主な目的は、製品を効率的に、かつ高い品質で生産するための計画を立て、実行することです。
具体的には、以下のような業務を含みます。
- 需要の予測
- 生産計画の立案
- 資材の調達
- 工程管理
- 品質管理
- 在庫管理
上記のように、生産管理においては、製品の企画段階から製造、出荷に至るまでの全工程を効率的に管理します。
生産管理の流れ
- 需要を予測する
まず、過去の販売データや市場動向、季節変動、経済状況などの分析に基づいて市場需要を予測し、それに応じて製品の生産量を計画します。 - 生産計画を立てる
需要予測に基づき、生産する製品の種類、数量、生産に必要な時間やリソースの配分など、生産計画を立てます。設備の性能や作業員のスケジュールに合わせて調整することが重要です。 - 資材を調達、購入する
生産計画に基づいて、サプライヤーの選定や価格交渉、発注、納期の管理などを含めた、製品製造に必要な原材料や部品の調達を行います。 - 工程管理
各工程で、製品がスケジュール通りに、かつ効率的に製造されているかを管理します。状況に合わせて、作業手順の最適化、品質の監視、生産設備のメンテナンスなども行います。 - 品質管理
製品の検査やテスト、不良品の排除、製品の品質が規定の基準や顧客のニーズを満たしているかを確認し、製品の信頼性と顧客満足度の向上を目指します。 - 在庫管理
過剰な在庫を防ぎつつ、ニーズに応えるための十分な在庫を確保するために、完成した製品や製造過程で使用する原材料、部品の在庫を効率的に管理し、コスト削減と在庫の最適化を目指します。
工程管理システムとは?
工程管理システムは、主に製造業における業務の各工程を管理するためのITツールです。プロジェクト計画の作成、リソース割り当て、進捗追跡、コミュニケーションの促進、品質管理など、様々な機能が含まれています。システムを活用することで、作業の状況をリアルタイムで把握し、目標達成に向けてより効果的に作業を進めることができます。
また、生産計画システムや生産スケジューラと呼ばれる、生産計画に特化したシステムもあります。
生産管理システム、進捗管理システムとの違い
生産管理システムは、需要予測から生産計画、在庫管理に至るまで、生産プロセスの全体を管理することができます。工程管理機能を持つ生産管理システムもあります。
進捗管理システムは、プロジェクト全体の進捗を把握し、計画に対する実績を記録することに特化しています。プロジェクト管理ツールやタスク管理アプリを使用するケースもあります。生産管理システムや工程管理システムを導入している企業は、その中の機能で進捗管理できるケースも多くあります。
工程管理システムの主な機能
工程管理システムには、主に、工程管理機能や実績入力機能、分析機能などの機能があり、プロジェクトの計画から実行、監視、改善に至るまでを効率化することができます。
工程管理機能
工程管理機能は、プロジェクトの計画から実行に至るまで、各工程を詳細に管理する機能です。工程管理機能を活用することで、タスクの割り当てや期限の設定、リソースの配分などが可能になり、プロジェクトの進捗を一目で把握することができます。また、生産の進捗をリアルタイムで把握できるため、遅延や問題が発生した場合には迅速に対応することが可能です。
実績入力機能
実績入力機能は、作業の開始・終了の実績を入力し、記録するための機能です。実績入力機能を活用することで、実際にかかった時間や使用された資材の量など、具体的な実績データを正確に管理することができます。実績データは、作業の進捗把握や計画と実績の比較、次のプロジェクトの計画を立てる際の基準として活用することができます。
分析機能
分析機能は、実績データをもとに、進捗状況の分析や成果物の品質評価を行う機能です。分析機能を活用することで、プロジェクトが成功したポイントや問題点を明確に分析し、原因を掘り下げることができます。分析結果は、プロジェクトの改善点を見つけ、次のプロジェクトを効率化するための重要なデータとなります。
工程管理システムを導入するメリット
工程管理システムを導入することには、多くのメリットがあります。プロジェクトや製造プロセスを効率的に管理し、作業の自動化や情報の一元化を通じて生産性を向上させます。
また、進捗のリアルタイム追跡を可能にする点も、紙やエクセルでの工程管理にはないメリットです。リアルタイムの製造データを記録することで、生産計画の精度を高め、納期の遵守を支援します。さらに、データに基づく意思決定を促進し、プロジェクトの可視性と透明性を向上させることができます。
作業効率化
工程管理システムは、プロジェクト管理に関する情報を一元化・自動化することで、手作業による入力やデータ管理の時間を削減します。また、タスクの自動割り当てや進捗のリアルタイム追跡による業務効率化にも期待できます。具体的には、少ない管理工数で生産性を向上したり、プロジェクトの遅延を防ぐことができます。
生産計画の精度向上・納期の遵守
工程管理システムのデータ分析と予測機能を活用することで、リソースの需要と供給を正確に予測し、適切な計画を立てることができます。これにより、資源を無駄なく効率的に使用し、納期の正確性が上がります。納期を守ることで、顧客満足度の向上や、長期的な顧客関係の構築に繋がります。
工程管理システムを選ぶポイント
自社に合う工程管理システムを選ぶためには、他のシステムとの連携のしやすさ、ユーザーインターフェースのデザイン、導入期間など、さまざまな要素を検討する必要があります。自社の生産方式や目標に最適な工程管理システムを選び、業務を効率化することができます。
特に、工程管理システム選定時に見ておきたいポイントは6つあります。
他のシステムとの連携のしやすさ
既存のIT環境や他のビジネスツールと簡単に連携できることを確認することが重要です。特に、既に使用している会計ソフトや現場向けシステムがある場合、API連携やデータフォーマットでの連携が可能かどうかを確かめることをおすすめします。データの一貫性を保ち、作業の重複を避けることができます。
デザインの見やすさ
直感的で分かりやすいデザインによって、必要なデータに迅速にアクセスできるだけでなく、システムの導入後、従業員が慣れるまでの適応期間を短縮することができます。たとえば、生産計画をガントチャート式で確認できると、進捗を視覚的に確認しやすくなります。
導入期間
システムを導入することで、プロジェクトのスケジュールやコストに大きな影響が出ます。充実した導入サポートやトレーニングプログラムを提供しているシステムを選ぶことで、プロジェクトが遅れてしまうことなく、導入の効果を早く実感することができます。
プロジェクトをまとめて確認できるか
いくつかのプロジェクトをまとめて管理し、全体の進捗を俯瞰できるシステムを選ぶことで、会社全体としてのリソース配分や優先順位付けを効率的に行うことができます。
<H3>カスタマイズしやすさ</H3>
企業の運営スタイルや特定のプロジェクトの要件に合わせて、システムを柔軟にカスタマイズできるシステムを選ぶことで、独自のワークフローや報告書フォーマットを設定し、効率的に運用することができます。
現場の状況を把握できるか
特に製造業において、問題が発生した際、すみやかに生産プロセスの最適化や品質向上を図ることができるため、工場の現場やプロジェクト現場の状況をリアルタイムで把握できる機能はとても重要です。
22種類の生産管理システムをランキングで比較
初期費用相場や選び方のポイントをチェック
生産管理システムをそれぞれの特徴や初期費用相場などで比較したい場合は、「生産管理システムランキング」も是非ご覧ください。生産管理システムは、自社の製品・生産方式・企業規模などに適したものを導入しないと、得られるメリットが限定されてしまいます。事前適合性チェックや生産管理システムを選ぶ前に押さえておきたいポイントも解説していますので、製品選びの参考にしてみてください。