製造現場における不良品の対策とは?現場対応から未然防止の仕組みまで徹底解説
公開日:2025年12月18日
最終更新日:2025年12月18日

製造業における不良品に対する影響について、現場・品質・経営それぞれの階層別に整理し、見える化に有効な定量化指標を紹介します。また、不良品の発生原因を3つの側面から捉え、現場オペレーションにおける4つの対策案、設計・システム面での3つの未然防止策を具体例を交えて解説しました。さらに、具体的な不良品の対策に関するシステム導入の必要性と、不良品を管理できる生産管理システムスマートF導入事例も掲載しました。
製造現場における不良品とは?

製品不良の種類と影響
不良品とは、規格や顧客要求を満たしていない製品を指します。不良品は一括りでは語れず、重大性・影響度に応じて分類して、優先順位を付けたうえで対策を進めることが必要です。この重みづけを共有せずに議論すると、本当に止めるべき流出リスクを見落とします。
製品不良は、安全・法規に関わるもの、性能/外観に関わるもの、製品機能は維持されるが顧客不満に繋がるものに分類されます。特に、安全・法規に関わるものは最優先で対応すべきであり、ISO9001などの国際規格でも最上位の扱いとなっています。
立場によって異なる不良品のイメージ
不良品のイメージは、置かれている担当領域・職責によって大きく違います。現場や品質の担当者・責任者、経営者それぞれの立場で、不良品に対する動きは次の通りです。
- 現場担当者:異常を見つけたら、工程を止めて速やかに上司へ報告
- 現場責任者:設備面の原因見極め・暫定対策を行い、再開可否をその場で決定
- 品質担当者:データで不良原因・影響範囲を特定、再発防止案の立案・フォロー
- 品質責任者:顧客への影響を見極め、報告の方向性を決定
- 経営者:不良をコスト・納期影響で見える化し、投資可否や優先度を判断
このように、不良品に対するイメージ・対応は、役割によって異なります。それぞれの役割を迅速に全うできる体制を整えることが重要です。
数値で見える化:代表的な指標
不良品の適切な対策を進めるためには、発生状況を数値指標で表すことが欠かせません。代表的な数値指標には、以下の3つがあります。
日次集計は、速やかに把握できる直行率で確認して、日々の変動や作業品質の乱れを早期に検知します。週次集計は不良率でモニタリングし、日々のばらつきを平準化して、工程全体の傾向を見極めるとよいでしょう。月次集計は、長期的な工程安定性を評価できるCpkで行えば、傾向の変化や不良品の対策効果を正しく評価可能です。
このように、不良品を数値でとらえ、正しい現状把握を行うことが不良品対策の第一歩となります。
不良品が発生する3つの原因

4M1Eの変化: 人、設備、方法、材料、環境
不良品の多くは、4M1Eに代表される工程の変化があった直後に起きます。具体的に4M1Eとは以下の5つを指します。
- 人 (Man):新規配属者、工程への応援者、休日出勤対応者
- 設備 (Machine):レイアウト変更、部品交換、老朽化した設備の更新
- 方法 (Method):段取り、治工具の使い方、作業手順などの変更
- 材料 (Material):ロット切り替え、長期保管材料の投入、サプライヤー変更
- 環境 (Environment):温湿度の急激な変化、照明器具の故障・更新
例えば、設備トラブル後の復旧やメンテナンスの直後にトラブルが増える、という経験のある方も少なくないでしょう。こうした変化があったときは、初期流動管理などで変更後の出来栄えを注意深く確認することが重要です。
また、工程の変化は意図せず起こることもあり、不良の原因として気づきにくい点にも注意が必要です。一例ですが、倉庫から使用期限直前の長期保管材料が見つかり、単発で投入されると材料の変化点になりえます。些細な変化が不良発生の引き金となることは珍しくありません。意図しない4M1Eの変化を起こさない運用も欠かせません。
検査方法・精度の不備
必要な品質を測れない状態では、良品だけを作ることはできません。例えば、100.0±0.3mmの寸法精度が必要な製品をメジャーで測定しても、良品・不良品を判別することは不可能です。不良品を見極められる適切な機器・測定方法で検査を行います。
また、測定データの信頼性を保証するため、検査機器を定期校正した上で、あらかじめ測定バラツキの実力を見極めておきます。また、不良品発生リスクの高い工程では、全数検査による漏れのない品質確認の採用も検討すべきでしょう。
製品・工程の設計
量産品で発生する不良品は、製品規格や工程設計が原因であることもあります。例えば、溶接加工する部品にもかかわらず、熱や衝撃に弱い材料を採用すれば、溶接の熱による変形・割れによる不良が多発します。また、図面の寸法や指示が曖昧で、製造現場での判断が一つに定まらないケースもこれに該当します。
こうした製品や工程の設計が主要因である不良品は、現場努力での改善は難しく、設計・開発部門と連携した取り組みが欠かせません。
現場オペレーションで不良品を減らす4つの対策

不良品の発生要因が複合的である場合も多いため、QC7つ道具やなぜなぜ分析を活用しながら真因を探ります。発生原因を特定できれば、不良を減らすための有効な対策を行います。代表的な4つの対策は次の通りです。
封じ込めによる流出防止
不良品対策の最優先は、顧客や次工程に流出させないことです。不良が発見された場合は、まず該当ロットを隔離し、影響範囲を特定します。工程内での全数選別や二重検査を実施して、良品への不良品の混入を確実に防ぎます。
封じ込めは「確実に不良を外に出さない」ための最終防衛ラインです。責任範囲と判断基準を明確にし、あらかじめ不良発生時のルールを定めておくことが不可欠です。
作業の標準化
不良品の発生しにくい条件で生産を続けるためには、作業者によるばらつきを抑える「標準化」が欠かせません。
作業手順書や標準作業票を整備し、誰が作業しても同じ結果になる状態をつくります。特に、段取り替え・検査・手作業工程では、人による判断差や順序の違いが不良の原因となりやすい点に注意が必要です。
また、標準作業を守るだけでなく、現場の改善提案を取り込みながら「より良い標準」へのカイゼンも欠かせません。標準化は、不良削減と同時に生産性・教育効率の向上にもつながる基本施策です。
設備の予防保全
設備トラブルや劣化による寸法不良・機能不良を防ぐには、壊れる前に整備する予防保全が不可欠です。定期的な点検・清掃に加え、潤滑・部品交換を計画的に行い、突発停止や意図しない条件変動を未然に防ぎます。
また、金型や治具などの精度維持も忘れてはなりません。わずかな摩耗・錆びや位置ずれが、不良率の上昇につながることがあります。
受入検査の徹底
材料・部品の品質は、最終製品の品質に直結するため、受入段階での品質確認も重要です。受入検査の徹底により、異常ロットを工程に流さないことが第一歩です。
また、品質規格内であっても、特異点のある材料が製品の品質不良につながるケースもあります。このため、ロット情報や工程投入日など、不良品に関する情報のトレーサビリティの確保が望ましいでしょう。
設計・システムで不良発生を未然に防ぐ

変化点管理の徹底と初期流動
4M1E(人・設備・方法・材料・環境)の変化があるときに、不良品は多く発生する傾向にあります。現場では「変化があったときは必ず報告・確認する」という習慣を根付かせ、小さな変化も見逃さない体制づくりが欠かせません。特に、過去に実績のない条件変更や代替品の使用などは、品質担当者や工程責任者の目線でのチェックが望ましいでしょう。
また、変更後は初期流動として検査頻度を上げて、直行率・不良率をタイムリーに注視します。新人や応援者がラインに入る日は、最初の数ロットでダブルチェックを行ったり、全数検査を行うことも有効です。さらに、直行率や不良率をリアルタイムにモニタリングすると尚良いでしょう。
異常が見つかればすぐにラインを止め、原因を特定する。これにより、異常が放置されることを防ぎ、損害の拡大を最小限に抑えることができます。
不良率データを自動集計・監視
IoTを活用した自動集計・監視の仕組みを取り入れることも、不良品の対策には有効です。エクセルによる工程データ分析では、日々のデータ入力やグラフ作成に時間がかかり、初動が遅れる原因にもなります。このタイムラグこそが、不良流出や損失拡大の温床となります。
システムを活用すれば、現場の端末から収集したデータをリアルタイムで反映させ、自動集計・グラフ化が可能です。これにより、不良率の変化をタイムリーに把握できます。例えば、通常稼働時の平均値を基準に、不良率が一定値を上回ったらアラートを発報させることも可能です。
ポカヨケでヒューマンエラーを予防
製造現場では、仕組みでミスを起こせない環境をつくることも大切です。不良品の中には、「うっかり」「思い込み」といったヒューマンエラーが原因となる場合も少なくありません。
こうした人的ミスを根本的に防ぐには、ポカヨケの導入が効果的です。ポカヨケとは、作業者が誤った手順や部品を使おうとした際に、自動的に検知・防止する仕掛けのことを指します。代表的な例として、次のようなものが挙げられます。
- 部品の向き間違い防止:正しい向きでなければ治具に入らない構造にする
- バーコード照合:作業指示書と異なる部品をスキャンするとアラート表示される
さらに、IoTやデジタル技術を活用すれば、作業ログや検知履歴を自動記録し、エラーの傾向分析や改善提案にも繋げられます。不良品の発生を減らすためには、ミスを責めるのではなく、誰でも正しく作業できる仕組みでの解決が有効です。
手作業の限界と“自動で気づく”仕掛けの必要性

不良品の対策として、日々の点検や報告などの手作業による確認は、中小企業を中心に今も多く行われています。しかし、製品の多品種少量化・短納期化が進む中で、すべてを人の注意だけでカバーするのは次第に難しくなっています。「異常に気づくのが遅れた」「情報共有が後手に回った」といった経験のある現場も多いのではないでしょうか。
そこで注目されているのが、“自動で気づく”仕掛けです。温度や圧力、振動などのセンサーが設備の状態を常時監視し、異常値を検知すると自動でアラートを発報させることができます。
さらに、近年はAI技術の活用も進み、蓄積データをもとにした異常予測も可能になってきました。このように、最新技術を組み合わせた仕掛けによって、現場での不良品に対する根本的な対策が実現できます。
システム導入事例:不良品対策としての仕組み

不良品の材料情報の関連付け・集計をシステムにお任せ
不良発生の要因を特定するには、材料ロット・設備条件・作業履歴などの多面的な情報を結び付けて分析することが欠かせません。しかし、手作業での記録やエクセル管理では、情報が分散し、追跡に時間がかかるという課題があります。
ある企業様では、生産管理システムSmartF(スマートF)導入により、材料情報の自動集計が実現。トラブル発生時の対応スピードが大幅に向上しました。詳細はこちらで紹介しています。
導入事例:手入力の手間をなくし工程管理や不良集計をシステム化、納期回答や不適合発生時に素早い対応が可能に
ロット管理強化とポカヨケで、不良品の識別体制を実現
不良品の流出を防ぐには、良品との切り分けを確実に識別でき、ロット単位で追跡可能であることが不可欠です。
SmartFの在庫管理機能では、各製品の保管場所をロット単位で識別することが可能です。これにより、不良品発生時の識別と隔離が容易となり、ヒューマンエラーによる不良品の流出を未然に防止します。
不良品を管理できる生産管理システムならSmartF(スマートF)
生産管理システムSmartFには、低コストでありながらも、不良品の対策に必要な各種機能を備えています。
■SmartFでできること
在庫・生産の一元管理:不良品の生産履歴や在庫状況の見える化、原材料トレーサビリティ
ポカヨケ:バーコード/ハンディによる正確な照合、誤った場合のアラート表示
工程管理:リアルタイムの作業実績登録、製品の合否と工程履歴の関連付け
SmartFでは、導入支援付きトライアルも利用可能です。初めて生産管理システムを検討する企業もリスクを抑えて導入できるので、お気軽にご相談ください。
不良品の対策にも活用できる「生産管理システム」はこちら
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22種類の生産管理システムをランキングで比較
初期費用相場や選び方のポイントをチェック
生産管理システムをそれぞれの特徴や初期費用相場などで比較したい場合は、「生産管理システムランキング」も是非ご覧ください。生産管理システムは、自社の製品・生産方式・企業規模などに適したものを導入しないと、得られるメリットが限定されてしまいます。事前適合性チェックや生産管理システムを選ぶ前に押さえておきたいポイントも解説していますので、製品選びの参考にしてみてください。











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