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不良在庫とは?早期処分のメリットと不良在庫化の防止策について詳しく解説

不良在庫

企業の収益を圧迫する「不良在庫」は、売れ残りや破損品、期限切れ、陳腐化した製品など、通常の販売が難しい在庫です。不良在庫の保有は企業経営的に多くのデメリットがあり、早期の処分によって損失を最小化することが重要です。

本記事では、不良在庫の種類と発生原因、廃棄以外の具体的な処分方法を紹介します。また、不良在庫を早期処分するメリット、不良在庫化を防ぐための在庫管理のポイントについても解説します。

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不良在庫とは

在庫管理

不良在庫とは、通常の経路で販売が困難になり、企業収益を圧迫する在庫です。不良在庫は、企業経営において悪影響を及ぼします。一口に不良在庫と言っても、様々な種類・原因があります。

不良在庫の種類

不良在庫は、具体的に以下のような製品を指します。

  • 売れ残り在庫:季節商品や限定品など、特定の期間内に販売できず倉庫・店舗に残った製品
  • 破損在庫:運搬・保管中に破損し、販売不可能になった製品
  • 期限切れ在庫:賞味期限や使用期限が過ぎた食品、医薬品、原材料など
  • 陳腐化在庫:製品仕様の変更、技術進化により、市場価値が失われた製品

これらの在庫に共通しているのは、製品の価値が棄損し、そのままでは販売できないことです。特に、売れ残り在庫は販売予測の精度が課題となります。一方で、破損、期限切れ、陳腐化在庫は、適切な在庫管理や保管環境の改善で防げるものです。

不良在庫に類似した概念

不良在庫と似た概念として、次のようなものがあります。

  • 不動在庫:長期間、販売や移動が全くなく、動きが止まっている在庫
  • 滞留在庫:一定期間以上、倉庫や店舗に滞留しており、不動在庫に至る前の段階の在庫
  • 過剰在庫:必要以上に仕入れたり生産した結果、余ってしまった在庫
  • 死蔵在庫:事実上放置され、物理的に倉庫内に放置されている在庫

不動在庫や滞留在庫は必ずしも不良在庫とは限りませんが、適切な管理がされておらず、不良在庫化のリスクが高い状態です。一方で過剰在庫や死蔵在庫は一種の不良在庫であり、保管・管理コストがかかります。

これらは、いずれもキャッシュフローの観点で企業経営に悪影響を及ぼすムダといえ、排除する仕組みの構築が望ましいと言えます。

不良在庫を抱える具体的なデメリット

不良在庫の保有が経営上望ましくないことは自明ですが、具体的なデメリットは次の通りです。

  • 保管コスト増:倉庫スペースを不必要に占有し、保管コストがかかる
  • 管理コスト増:在庫は棚卸資産として計上する必要があり、管理コストを要する
  • キャッシュフローの悪化:不良在庫に資金が拘束され、他の用途で必要な資金不足を招く恐れ
  • 製品価値の棄損:長期保管による製品の経時劣化や陳腐化により、価値を失う。

不良在庫となってしまったものを保管・放置し続けることで、企業の財務状況が少しずつ蝕まれていきます。さらに、昨今の物価・人件費高騰の影響で、廃棄コストの上昇トレンドも続くことでしょう。

このため、不良在庫の処分を後回しにすれば、損失が拡大して経営効率や競争力が低下する原因となります。その場しのぎで問題を先送りせず、速やかに不良在庫を処分することが重要です。

不良在庫の処分方法

不良在庫の処分において、最も一般的なのは「廃棄処分」です。品質が著しく劣化し、再販や再利用が不可能な場合に選択され、特に食品や医薬品のように、使用期限がある製品は廃棄が避けられません。

しかし、廃棄処分には、製品の原材料コストや加工コストがムダになるだけでなく、廃棄コストも要することが一般的です。このため、廃棄以外の処分ができないか検討することも、コスト削減に貢献します。廃棄以外に不良在庫を処分する方法とその具体例は次の表の通りです。

処分方法概要具体例
値引き販売通常より安価で販売して、在庫を早く処分する賞味期限が近い製品を見切り品として
販売。一定の資金を回収可能。
寄付販売は困難であるが使用可能な製品を福祉団体やNPOに提供する売れ残った学用品を教育団体に寄付し、
学校で配布してもらう。企業イメージ向上や税制面のメリット有。
リサイクル不良在庫を部品として再利用したり、素材をリサイクルする廃棄予定のプラスチック製品を粉砕し、
新しいプラスチック素材に再加工する。
再処理費用は掛かるが、廃棄ほどコストがかからないこともある。
アップサイクル在庫を別のカタチにリメイクして、新たな価値を持たせて販売する不良品の木製家具を分解して、別のデザインの
棚に作り変える。手間はかかるが、ニッチなニーズに応えられる可能性あり。

このようにいずれも一定の手間はかかりますが、不良在庫を処分することで損失の最小化が可能です。

不良在庫を速やかに処分するメリット

工場で働く作業員

不良在庫の処分には一過性の損失も発生しますが、中長期的にはメリットが大きいです。企業の財務体質の改善だけでなく、5S文化の浸透などが期待できます。具体的には以下の通りです。

管理コストが減る

不良在庫の処分によって、具体的に次のような管理コストの削減が期待できます。

  • 保管スペースの圧縮:倉庫や店舗のスペースが空き、新商品の仕入れや効率的な在庫配置が可能になる
  • 保管費用の削減:光熱費、セキュリティ費用などの間接経費が削減される、特に冷蔵・冷凍商品では電力費低減効果が大きい
  • 在庫管理の効率化:在庫管理業務の効率化で、棚卸作業の負担が軽減される
  • 業務効率の向上:倉庫や店舗内での商品配置が改善され、作業員の動線が短縮できる

このように、不要な在庫の削減は直接的なコスト削減だけでなく、企業全体の運営コストが抑えられ、経営の健全化につながります。

融資の審査がスムーズになる

不良在庫の圧縮は企業の財務状況を健全化し、金融機関からの融資を受けやすくなります。バランスシート上の資産価値低下が解消し、不良在庫を換金できればキャッシュフローも改善します。

適正な資産管理によって、効率的なキャッシュフロー創出を行う経営管理能力を持っていることが示せます。その結果、金融機関からの信頼が向上し、資本調達が必要になった際に、融資審査で有利になる可能性が高まります。

損金計上すれば節税になる

不良在庫の処分で損失が発生した場合、その損失を損金として計上することで課税される利益を圧縮し、法人税を節約できます。また、不良在庫を寄付すれば、寄付金控除という形で税制上の優遇措置を受けられる場合もあります。

不良在庫の発生を防ぐための対策

不良在庫を防ぐためには、日常的に適正在庫を把握する仕組みが必要です。具体的には定期的な棚卸しを行ったり、在庫回転率を監視することが一般的です。

適正在庫を維持する

適正在庫とは、過不足のない最適な在庫量を指します。この適正在庫を把握・維持することは、不良在庫の発生を防ぐために不可欠な要素です。

精度の高い需要予測を基に、計画的な原材料の発注や生産計画に落とし込むことで、過剰在庫の発生を未然に防ぎ、不良在庫化のリスクを大幅に低減します。また、定期的な棚卸しの実施は、在庫の実数を正確に把握できるだけでなく、不良在庫化しやすい過剰在庫や滞留在庫を早期に発見できます。

これらの取り組みは、適正在庫の維持と在庫管理の最適化に欠かせません。

在庫回転率の向上に努める

在庫回転率とは、一定期間内に在庫がどれだけ販売され、補充されるかを示す指標です。この回転率をモニタリングし、高める取り組みを行うことで、不良在庫の発生を効果的に防ぐことができます。

在庫回転率の低下は、在庫が滞留し始めている兆候を表しています。この指標を定期的に確認することで、不良在庫の予備軍の早期検知が可能となります。

さらに、生産リードタイムの短縮も在庫回転率の向上に大きく寄与します。リードタイムの短縮によって、需給バランスの変化に応じた生産量の調整が容易になり、不良在庫につながる過剰生産を未然に防ぎます。

不良在庫の防止に役立つ在庫管理システム

タブレットイメージ

不良在庫の発生を防ぐためには、在庫管理システムの活用が効果的です。

在庫管理システムの導入メリット

在庫管理システムの導入は、在庫管理の大幅な効率化を実現します。リアルタイムで在庫状況を把握できるため、調達や生産計画への迅速なフィードバックが可能となり、過剰在庫の発生を防ぐことができます。これにより不良在庫の発生リスクを大幅に低減します。

不良在庫が発生する要因のうち、ヒューマンエラーによるものは「発注過多による過剰在庫」です。そして、過剰在庫となってしまう主な原因は、現在庫数を正確に把握できないことです。その結果、「まもなく在庫不足となると思い追加発注した部品が、実はまだあった」という発注ミスが起きます。最新の在庫数を常に把握できるようになると、発注の精度も上がり、適正在庫を保ちやすくなります。

また、在庫管理システムは在庫の一元管理も可能になり、拠点・部門間で在庫の共有がスムーズになるというメリットもあります。在庫管理と発注管理を別部門で行っている企業も、同じシステムで情報を管理することで、業務全体の効率が向上します。

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在庫管理システムの選び方

在庫管理システムの選定には、自社の業界やニーズに合った機能を備えていることが最重要です。例えば、食品・医薬品・化粧品などの製造業では期限管理やロット管理機能が必須となります。サプライチェーン全体まで管理するなら、外注管理機能も必要です。

操作性や導入後のサポート体制も選定時の主な確認ポイントです。使いやすいインターフェースを持つシステムであれば、全社員がスムーズに操作でき、確実に活用できます。

さらに、柔軟性や拡張性も考慮しましょう。将来的に事業が拡大したり、新しい機能が必要になった場合でも、容易にアップデートできるかどうか、他の業務システムとの連携が可能かといった点を確認することが大切です。

このように、自社の現在の状況と将来の成長を見据えたシステム選びは、長期的に効率的な在庫管理の実現に直結します。

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