ABC分析とは 製造業の在庫管理に必須の手法を解説
公開日:2024年05⽉28⽇
最終更新日:2024年10⽉02⽇
中堅、中小の製造業において効率的な在庫管理を行うための手法として、ABC分析があります。ABC分析により、在庫の重要度をグループ分けすることで、自動発注の設定個数や必要な在庫数などを検討でき、最適な在庫管理が可能となります。本記事では、ABC分析とは何か、メリットや注意点について解説します。また、ABC分析に在庫管理システムが役立つ理由についても紹介します。
ABC分析とは
ABC分析とは、在庫品を売上高や利益、販売数量などの観点から3つのカテゴリー(A、B、C)に分類し、在庫管理状況を分析する手法です。ABC分析を行うことで、製品や部品在庫の品目ごとの価値や必要数、欠品時のリスクなどを定量化でき、最適な在庫管理方法を検討できるようになります。
また、製造業においては、製品ごとに受注生産とするのか計画生産とするのかなどを数値で判断できるようになります。ABC分析は重点分析とも呼ばれ、在庫管理に限らずさまざまな場面で利用されています。
ABC分析の目的
ABC分析を行う主な目的は、利益貢献の大部分を占める重要な製品(Aグループ)を特定し、適切に管理することで在庫不足による納期遅れや販売機会損失を防止することです。ABC分析は主に「全体の成果の大部分(8割)は全体を構成する要因の小部分(2割)から生じる」という、パレートの法則(80:20の法則)の考え方に基づいています。
ABC分析のメリット
ABC分析を活用することで、次のようなメリットが得られます。
重要度の高い製品の把握
ABC分析を活用することで、売上や利益に大きく貢献している製品(Aグループ)を特定できます。これにより、重点的に管理するべき製品が明確になり、欠品対策や必要在庫数の検討などが適切に行えるようになります。
販売状況の可視化
製品ごとに売上げ、利益、販売数量の状況を分析することで、製品の販売状況を見える化できます。これにより、販売戦略やプロモーション活動、生産計画の見直しが可能になります。
不要な在庫の削減
価値の低い在庫品目(Cカテゴリー)の過剰在庫を削減することで、保管費用や死蔵品の発生リスクを低減することができ、資金効率が改善します。
ABC分析の方法
ABC分析は次のようなステップで実施します。
①売上データを集める
まず、製品ごとに売上、利益、販売数量などのデータを収集します。分析の精度を高めるために、可能な限り詳細かつ正確なデータを収集する必要があります。
②売上構成比を計算する
収集した売上データに基づき、各製品の売上構成比を計算します。この比率は、どの製品が売上や利益にどれだけ貢献しているかを示します。
③グループ分けする
最後に、計算された売上構成比に基づき、製品をA、B、Cの三つのグループに分類します。Aグループは売上の大部分を占める重要な製品、Bグループは中間、Cグループは売上の少ない製品です。
ABC分析の注意点
在庫管理において、ABC分析を適切に活用するための注意点を解説します。
季節限定商品、見せ筋商品
季節限定商品や見せ筋商品など、特定の期間に集中して売上が上がる製品は、通常のABC分析では適切に評価できない場合があり、分析時に個別で評価する必要があります。一時的に販売数量が増加している製品の場合、そのデータをもとに生産計画を立てないよう注意が必要です。
仕入先のリードタイム等を考慮しなければならない場合がある
仕入先のリードタイムや、その他の供給関係の問題も考える必要があります。たとえば、海外工場に発注するためリードタイムが長い品物などは、売上構成として大きくなくても、注意して在庫管理する必要があります。
定期的な見直しが必要
ABC分析を実施して重要な製品が特定できても、市場は常に変化するため、定期的な見直しが必要です。必要在庫数に対して自動発注などの設定を設定している場合は、状況が変化していないか定期的にABC分析を実施しましょう。
複数の観点からグループ分けを行う
製品や在庫のグループ分けを行う場合、売上などの単独の観点ではなく、利益、販売数量、製造工数など複数の観点からABC分析を行うことが重要です。売上が大きく、販売数量が多くても利益が小さい製品であれば重要度が下がるなどの可能性があります。
ABC管理に在庫管理システムが役立つ理由
ABC分析は適切な在庫管理を行う上で非常に重要な手法ですが、定期的に見直す必要があり、その都度売り上げデータや販売数量を集計することは手間と時間がかかります。効率的にABC分析を行うためには日々の生産状況から自動的に集計、分析、可視化する機能を備えた在庫管理システムの利用がおすすめです。クラウド型などの月額制システムを利用すれば比較的低コストで導入することも可能です。
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