有効在庫とは?実在庫との違いや在庫引当との関係性、システム導入で課題解決した例も解説
公開日:2024年06月14日
最終更新日:2024年09月26日
製造業が正確な在庫管理を行うには、有効在庫の把握が欠かせません。本記事では、有効在庫の基本概念から在庫引当との関係性、実在庫との違いや重要性について詳しく解説します。また、適切な在庫管理によって欠品や過剰在庫を防ぎ、販売機会を逃さず、正確な納期管理で顧客からの信頼を得る方法を紹介します。
有効在庫とは?在庫引当との関係性
有効在庫とは、実際に利用可能な在庫を指し、製品の生産や販売計画を立てる際に非常に重要な指標です。一方、在庫引当とは、特定の注文や製造計画のために確保された在庫のことを指し、その時点で他の用途には利用できないと見なされます。つまり、有効在庫は、現在の倉庫にある在庫から、引き当てられた在庫や予約済みの在庫を除いたものを意味します。
有効在庫=全在庫数 - 在庫引当数
たとえば、ある部品の在庫が100個あり、1ヶ月先の生産で40個使う予定とします。そうなると、その40個は近々製造に引き当てられるので、実質使用できる部品在庫数は60個ということになります。この60個の在庫を、有効在庫と呼びます。
製造業では、在庫引当が適切に行われることで、生産スケジュールの調整や顧客の納期に応えることが可能になります。有効在庫と在庫引当の関係性を理解することで、在庫管理の精度を向上させ、効率的な生産と販売活動を実現できます。
なぜ有効在庫の把握が重要なのか
有効在庫の把握は、以下の理由から重要といえます
- 欠品や過剰在庫の防止
- 正確な納期管理で顧客から信頼してもらうため
欠品・過剰在庫の防止
欠品が起きると顧客に迅速に製品を提供できず、販売機会の損失に繋がります。特に、需要変動が激しい製品や、複数の製造で使う部品・原材料などでは、正確に有効在庫を把握する重要性が高まります。
一方で、過剰在庫は保管コストの増加や資金の無駄遣いを引き起こします。在庫コストが増えることで企業の資金が拘束されると、経営資源を効率的に活用する妨げとなります。
有効在庫の正確な管理のために、定期的な在庫チェックや需要予測の精度向上を行うことで、これらの問題を予防し、在庫の最適化を図ることができます。
正確な納期管理で顧客から信頼してもらうため
製造業において、納期遅延は顧客の信頼を失う大きな要因となります。納期管理の基本は、正確な生産計画や進捗管理ですが、有効在庫の管理も、製品の供給スケジュールを確実に守るために必要不可欠です。納期を厳守することで、顧客からの信頼を獲得し、長期的な取引関係を構築することが可能です。
実在庫と有効在庫の違い
実在庫と有効在庫は似ている用語ですが、それぞれ異なる役割と意味を持っています。
実在庫とは、物理的に倉庫や店舗に存在する在庫のことを指します。これは倉庫に実際に保管されている製品や部品の数量を意味します。しかし、実在庫は、受注や引当分を考慮していないため、実際に利用可能な在庫量を判断することはできません。
一方、有効在庫は、販売や生産に実際に利用できる在庫量を指します。実在庫から受注や予約、引き当てされた分を差し引いたものであり、企業が即座に利用できる在庫の量を示します。
実在庫と有効在庫の管理の違い
実在庫と有効在庫の管理方法にも違いがあります。実在庫の管理は、定期的な棚卸しや在庫システムを用いて、物理的な在庫量を確認することが中心です。一方、有効在庫の管理では、受注や生産計画、予約状況などをリアルタイムで反映させる必要があります。
紙やエクセルでのリアルタイム管理は難しいため、在庫管理システムの導入が効果的です。システムを利用することで、在庫引当や将来の在庫変動の情報を一元管理し、常に最新の在庫状況を把握することができます。
有効在庫の管理には正確な在庫管理が必要
前述の通り、有効在庫を正確に管理するためには、リアルタイムでの在庫データの把握と管理が欠かせません。正確な在庫管理の基本は、在庫の入出庫を正確に記録することです。これには、ハンディーターミナルによるバーコードスキャンやRFIDタグ活用など、IoT端末を用いる在庫管理システムが有効です。これにより、手動での記録ミスを減らし、リアルタイムで正確な在庫データを取得できます。
また、定期的な棚卸しも重要です。棚卸しを行うことで、実在庫とシステム上の在庫データとの整合性を確認し、ズレを修正することができます。棚卸しの正確性向上や工数削減にも、在庫管理システムは役立ちます。
在庫管理システムの役割
在庫管理システムは、在庫の正確な把握と効率的な管理をサポートするためのツールです。在庫の追跡や管理、最適化を行うための多くの機能が備わっており、有効在庫の把握に役立ちます。
まず、在庫の追跡機能では、リアルタイムで在庫の状況を確認できます。ハンディーターミナルと在庫管理システムを併用する例を挙げると、入出庫や在庫引当のたびにバーコードスキャンし、現場で即座に在庫の動きをシステムに反映できます。このように、在庫引当などの情報も一元管理できるシステムでは、有効在庫が自動計算されるため、欠品や過剰在庫を防ぐことができます。また、商品の入出庫を手間なく記録し、在庫の正確な把握を可能にします。
有効在庫をシステム管理するメリット
紙やエクセルでも、在庫の動きの記録とデータ反映をこまめにすることで、一定の有効在庫の把握は可能です。ただし、作業者の手間が非常に多くなり、ヒューマンエラーも起きやすい属人的な環境になりがちです。
よくある具体例としては、紙の棚札に入出庫の日付や数量を記録し、エクセルで集計するという運用です。こういった運用をしていた企業が、「棚札やエクセルへの記入ミスがゼロにならない」「エクセルに数量を打ち込む作業が膨大」という理由で、システム導入を検討するケースが年々増えています。
在庫管理システムを導入すると、少ない手間で正確な在庫管理が実現し、有効在庫の計算は自動化できます。年間数100時間の工数削減に成功した事例や、在庫金額を100万円圧縮できた事例もあります。
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