生産管理ではバーコードの活用がおすすめ!理由や具体的な用途を解説
公開日:2023年04⽉03⽇
最終更新日:2024年11⽉05⽇
バーコードは、バーとスペースの組み合わせによって数字や文字を表現したものです。ハンディターミナルやバーコードリーダなどのスキャナ(光学認識装置)を使うことで、中身の情報を読み取ることができます。昨今では、二次元バーコード(QRコード)を活用した決済サービスが普及しており、私たちにとってより身近な技術となっています。
バーコードは日常生活だけでなく、製造業の生産管理においてもよく活用されています。生産管理を効率的かつミスなく行いたいのであれば、バーコードを最大限に活用すべきです。そこで本コラムでは、生産管理でバーコードを活用するメリットや具体的な用途、実際の活用事例などを分かりやすくご紹介します。
生産管理でなぜバーコードを活用すべきなのか?
生産管理では、最適な品質・原価・納期でものづくりが行われるように製造現場を管理します。その過程で膨大な記録業務が発生しますが、紙帳票への手書きやエクセルへの手入力で都度記録していくのは大変です。実際に、記録漏れやミスが頻繁に発生してしまい、正しく管理できないと悩んでいる企業は少なくありません。
そこでおすすめしたいのが、バーコードの活用です。たとえば、製造指示番号や品番、工程情報などが含まれたバーコードを事前に発行しておき、その工程が完了したタイミングで「ピッ」と読み取れば、簡単に生産実績を記録できます。また、在庫の入出庫に関しても、バーコードを読み取って数量を入力するだけで簡単に記録することが可能です。
昨今では、多品種少量生産や品質要求の高まりに伴って、より高度な生産管理が求められています。製造現場での記録業務が増加傾向にあることから、従来の紙やエクセルを使った方法に限界を感じている方は多いでしょう。記録業務の手間を軽減するために、バーコードの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
生産管理でバーコードを活用するメリット
生産管理でバーコードを活用するメリットは、記録業務の手間を軽減できるだけではありません。ここでは、さらなるメリットとして3つの内容をご紹介します。
ヒューマンエラーを防止できる
手書きや手入力での記録には、書き間違いなどのヒューマンエラーが発生しやすいという課題があります。しかし、バーコードを活用すれば人の手で記録する情報が少なくなるので、ヒューマンエラーの発生を抑えられます。
また、バーコードの読み取り時にエラーチェックができる点も、バーコードを活用する大きなメリットです。たとえば、バーコードを活用した生産管理システムの多くには、出荷時に間違った製品のバーコードを読み取るとエラーを出す機能が備わっており、誤出荷の防止に役立ちます。ほかにも、生産時に間違った原材料や部品を使おうとするとエラーを出す、有効期限が切れている原材料を使おうとするとエラーを出す、といったように、さまざまなミスを軽減することが可能です。
転記や集計の手間がなくなる
紙の帳票に記録した情報は、そのままでは有効に活用できません。記録した情報を活用するには、後でエクセルやシステムに転記したり、集計したりする必要があります。作業者の人数や作業量が多いと転記・集計に相当な工数がかかるので、事務担当者を雇ったり、管理者が残業で対応している企業は少なくありません。
しかし、バーコードを活用してシステム上に直接記録できる仕組みを構築すれば、それまで転記・集計にかかっていた工数を大幅に削減できます。浮いた工数をより付加価値の高い業務に割り当てることで、製造現場全体の生産性向上が期待できます。
リアルタイムに情報を反映できる
最適な生産管理を行うためには、製造現場の状況をリアルタイムに把握する必要があります。たとえば、何らかのトラブルによって生産に遅れが発生した場合に、素早く対応しなければそのまま納期遅延を起こしてしまう恐れがあります。また、生産で使用する原材料や部品の在庫が少なくなった場合にも、素早く発注しなければ在庫不足を起こしてしまうでしょう。生産実績や在庫の入出庫を紙の帳票に記録していると、紙を見なければ状況を把握できないので対応が遅くなる傾向にあります。
しかし、バーコードを活用してシステム上に直接記録できる仕組みを構築すれば、生産状況や在庫状況をリアルタイムに把握可能です。その結果、状況に応じた適切な対応ができるようになり、ムリやムダのない最適な生産管理が実現すると考えられます。
バーコードの活用が効果的なパターン
製造業は業界や業種によって生産管理の課題が異なりますが、バーコードの活用が効果的なパターンがいくつかあります。ここでは、4つのパターンをご紹介します。
品質管理を徹底してトレーサビリティを確保したい
食品・医薬品・化粧品などのいわゆる三品業界では、適正な品質を確保するために厳しい品質管理が求められます。たとえば、レシピにない原材料や有効期限切れの原材料を使用しないように厳重にチェックする必要がありますが、ヒューマンエラーによって不良品が発生してしまい、大きな損失がでるケースは少なくありません。また、どの製品にどの原材料を使用しているのかをトレースするためにロット管理を行う必要がありますが、人の手による記録では手間やミスが発生しがちです。
しかし、バーコードを活用すれば、事前にロットや有効期限などの情報が含まれたバーコードを発行しておき、それを読み取るだけで記録やエラーチェックを行えます。人の手で行うよりもはるかに早く、ミスもなくなるため、品質向上に役立つでしょう。
上述した3つの業界以外にも、自動車、化学品、電子機器などのさまざまな業界でトレーサビリティは求められています。製造業の品質管理体制を強化する上で、バーコードの活用は欠かせません。
原価管理に取り組んで利益率を向上させたい
製造業が利益率を向上させるには、実際にかかった原価を正確に把握し、原価低減に取り組まなくてはなりません。製造原価は大きく材料費・労務費・経費の3つに分けられますが、経費以外の実績を把握するためにバーコードが役立ちます。
たとえば、原材料や部品のロットごとに購入金額を記録しておき、生産時にバーコードを読み取って製品のロットに紐づけておけば、その製品を作るのにかかった材料費を計算できます。また、作業開始時と終了時にバーコードを読み取り、実際にかかった工数を記録・集計すれば、その製品を作るのにかかった労務費も計算することが可能です。
原価管理は製造業の基本ではあるものの、実際に細かく管理できている企業は多くありません。しかし、バーコードを活用すれば原価管理に取り組みやすくなり、利益率の向上が期待できます。
製造現場の状況をリアルタイムに見える化したい
同時進行する案件が多い現場や、作業量の多い現場では、生産の遅れによる影響が大きくなりがちです。具体的には、自動車や食品などのライン生産が中心のメーカーや、部品点数が多い産業機器メーカー、多品種少量生産でさまざまな工程のある加工メーカーなどは、リアルタイムに現場の状況を見える化したいでしょう。
バーコードを活用すれば、生産実績を記録する手間が削減されてリアルタイムに生産の進捗状況を把握できるようになります。また、工程別や作業別の工数も詳細に把握できるため、特に工数がかかっているところを重点的に改善すれば、リードタイム短縮や原価低減につながります。
在庫点数が多く管理の手間を軽減したい
産業機械や基板実装などの取り扱う部品が多いメーカーでは、在庫の種類が膨大になり、管理の手間がかかります。「どこに何の部品があるか分からない」「いつの間にか在庫がなくなっていて組立できない」といったように、在庫に関する課題を抱えている企業は多いのではないでしょうか。
バーコードを活用すれば、在庫の入出庫や移動時の記録の手間を最小限に抑えられるので、記録漏れやミスを削減できます。リアルタイムかつ正確な在庫状況が分かるので、過剰在庫や欠品を防止しやすくなるでしょう。また、在庫のロケーション管理によって現場の担当者がどこに何の部品があるのかを把握しやすくなり、倉庫内で探し回るといったムダな工数も削減できます。
バーコードの主な用途
製造業において、バーコードはさまざまな業務の効率化に役立ちます。バーコードの主な用途を以下にまとめているため、参考にしていただければ幸いです。
- 原材料や部品の入荷時に検品を行い、誤入荷を防止する
- 倉庫への入出庫や倉庫内でのエリア移動を記録する
- ピッキング時のミスや漏れを防止する
- 製造現場への払い出し時に先入れ先出しや有効期限切れのチェックを行う
- 棚卸結果の記録を紙の棚卸表ではなくハンディターミナルで行う
- 取引先への出荷時に検品を行い、誤出荷を防止する
- 製造指示書や現品票のバーコードを読み取って生産実績を記録する
- 不良の発生時に要因や内訳などを簡易的に記録する
- 簡単な品質検査の結果を記録する
生産管理でバーコードを活用した事例
ここでは、生産管理においてバーコードを活用し、実際に効果を得られた企業様の事例をご紹介します。
自動車部品メーカーの事例
【バーコードを活用する前の課題】
- エクセルで在庫の入出庫を記録しており、記録漏れやミスによって在庫数が実際の数量と一致しない
- 在庫の保管場所が明確に決まっておらず、都度大量の在庫の中から探す必要がある
- 発注点が明確になっておらず、欠品による納期遅延や過剰在庫が発生する
- 原料の先入れ先出しが徹底できておらず、期限切れによる廃棄ロスが発生する
【バーコードの活用による効果】
- 原料のケースに貼ったQRコードを読み取って入出庫を記録することで、ミスなく正確に在庫数を管理できるようになった
- どの原料がどこに保管されているかをPCでリアルタイムに確認できるようになり、現場で探し回る必要がなくなった
- 手作業での棚卸時に比べて、50%もの工数を削減できた
- 適正在庫や有効期限の管理をシステム化でき、廃棄ロスを削減できた
加工メーカーの事例
【バーコードを活用する前の課題】
- 手書きの作業日報で生産の進捗状況を管理しており、入力や集計作業に膨大な工数がかかっていた
- 進捗状況がすぐに分からないため、急ぎ案件があると都度現場に確認する必要があった
- 在庫の入出庫を手書きでメモし、後でエクセルに打ち込むという二重作業が発生していた
【バーコードの活用による効果】
- 各作業者が作業日報をバーコードで記録することで、事務所での集計作業がなくなり月約100時間の工数を削減できた
- 進捗状況がリアルタイムに見えるため都度現場に確認する必要がなくなり、最適な生産計画も立案できるようになった
- 生産が終了すると自動で在庫計上されるようになり、出荷時もバーコードを読み取るだけで簡単に記録できるようになった
まとめ
今回は、生産管理でバーコードを活用するメリットや具体的な用途、実際の活用事例などをご紹介しました。バーコードは私たちにとって身近な存在であり、スキャナで「ピッ」と読み取るだけの簡単な操作で扱えます。生産管理では現場の作業者にさまざまな記録をしてもらう必要がありますが、バーコードは覚えることも少なく、導入しやすい傾向にあります。紙やエクセルが中心の生産管理で課題を感じておられる方は、バーコードの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
当社ネクスタでは、生産管理システム「スマートF」を開発・提供しています。「スマートF」ではバーコードを最大限に活用しており、ハンディターミナルやタブレット端末と組み合わせることで、現場で手間やミスなく記録できます。また、生産管理の幅広い業務に対応しているのはもちろん、スモールスタートで業務を絞り、現場の負担を抑えながら少しずつ導入していただくことも可能です。
製造現場とITに詳しい担当者による無料診断も実施しておりますので、生産管理でバーコードを活用してみたいという方はお気軽にご相談ください。
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