属人化とは?意味・読み方・原因・デメリット・解消方法まで解説

属人化とは?意味・読み方・原因・デメリット・解消方法まで解説

属人化(ぞくじんか)とは、特定の担当者しか業務の内容やノウハウを把握していない状態のことです。担当者の不在や退職が業務停止に直結するリスクをはらんでいます。日本の生産性の低さの一因とも言えます。

この記事では、属人化の意味・読み方・発生原因からデメリット・解消方法まで解説します。製造業での属人化解消に関する白書データや、年間1,680時間削減の実際の導入事例もあわせて紹介します。

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属人化とは何か

属人化に関連する用語は複数あります。意味・読み方・使い分け・対義語を正確に理解しておくと、組織内での議論や改善計画が進めやすくなります。

読み方と意味

「属人」とは「特定の人に属する」という意味で、業務が個人の知識・経験・スキルに依存していることを指します。

なお、「俗人化(ぞくじんか)」と誤記されることがありますが、正しい表記は「属人化」です。「俗人」は「普通の人・一般人」を意味する別の語であるため、区別が必要です。

属人的・属人性との使い分け

属人化に関連する語として「属人的」「属人性」があります。それぞれの意味は以下のとおりです。

属人的:その人固有のやり方・判断に依存しているという形容詞的な表現
属人性:業務や仕組みが特定個人に依存している度合い・性質を指す名詞
属人化:属人的な状態になった・なっていくプロセスや結果を指す名詞

たとえば「この業務は属人的」「属人性の高い工程を洗い出す」「業務の属人化が進む」のように使い分けます。

属人化の対義語(標準化・組織化)

属人化の対義語は「標準化」または「組織化」です。

標準化:業務の手順・基準をマニュアルや仕組みとして組織全体で共有できる状態にすること
組織化:特定個人への依存をなくし、誰でも同じ品質で業務を遂行できる体制を構築すること

特に製造業では、属人化解消の第一歩として「標準作業の整備」に取り組むケースが多くあります。標準作業の定義や3要素については標準作業についてはこちらをご参照ください。

属人化が起こる5つの原因

属人化の原因を正確に把握することで、再発を防ぐ仕組みを設計しやすくなります。

属人化が起こる5つの原因

特定担当者への長期依存

長期にわたって同じ担当者が同じ業務を担い続けると、業務の全体像はその人の頭の中にのみ存在する状態になります。他のメンバーが関与する機会がないため、知識の共有が自然には発生しません。

また、担当者が長く一定の業務に携わる中で属人化が進むケースもあれば、意図的に属人化を進めることで社内での自己価値を上げようとするケースもあります。多くは組織の構造的な問題として発生しますが、いずれにしても長期依存は属人化に繋がりやすいと言えます。

マニュアル・手順書の未整備

手順書がない、または古くなって実態と合わない場合、業務のやり方は口頭や経験則で引き継がれます。結果として「あの人に聞かないとわからない」という状況が常態化します。

SOP(標準作業手順書)の整備方法についてはSOP(標準作業手順書)とは何かについてはこちらをご覧ください。

情報共有の仕組みの欠如

業務上の判断基準や進捗状況が、個人のPCやメモ帳にのみ存在する場合があります。他のメンバーがアクセスする手段がなく、「聞かないとわからない」という状態が属人化を加速させます。

専門性の高さと引き継ぎの困難

高度な技術・経験が必要な業務は、引き継ぎに時間とコストがかかります。「熟練の技は言語化できない」という暗黙知の問題は、製造業の技能継承で特に顕著です。

慢性的な人員不足

「急いでいるから自分でやった方が早い」という状況が繰り返されると、引き継ぎや共有の機会が失われます。慢性的な人手不足は属人化を加速する要因の一つです。

属人化によるデメリット

属人化が進むと、組織はさまざまなリスクにさらされます。デメリットを正確に理解することが、解消に向けた取り組みの動機づけになります。

担当者不在時の業務停止リスク

担当者が急病・退職・異動になった場合、その業務が完全に停止するリスクがあります。例えば製造業の生産管理業務では、生産計画の作成・納期回答・発注管理などが1人に集中するケースが多くあります。一人の不在で生産全体に影響が出るリスクがあり、BCP(事業継続計画)上の重大リスクとなるため、事前の対策が求められます。

→ サプライチェーン全体のリスク管理についてはサプライチェーンリスクへの対策についてはこちらをご参照ください。

ノウハウ・技術の組織的喪失

ベテラン担当者に依存した属人的な状態だと、担当者の退職とともに長年蓄積されたノウハウや技術が組織から失われます。製造現場では「この設備の条件出しができるのはあの人だけ」「口頭でのみ引き継がれてきた品質基準」などが典型例です。

業務品質のばらつき

担当者によって手順や判断基準が異なると、同じ業務でも品質にばらつきが生じます。顧客への対応品質・製品の仕上がり・納期精度などに影響し、クレームや信頼損失につながります。

評価・マネジメントの困難化

業務の全体像が特定の担当者にしか見えない状態では、成果の測定・評価が困難になります。マネジメント層が実態を把握できず、適正な人員配置や改善判断が下しにくくなります。

属人化が一概に悪いとはいえないケース

属人化はリスクとして扱われることが多いですが、すべての場面で排除すべきとは限りません。以下のような場合は、属人化が組織の強みとなることもあります。

  • 高度な専門技術を持つスペシャリストが競合優位の源泉になっている
  • 顧客との信頼関係を個人レベルで築いていることが営業力の根幹になっている
  • 属人的な判断力・直感がクリエイティブな業務で価値を発揮している

ただし、こうしたケースでも「その人が離脱したときのリスク対策」は別途講じる必要があります。「属人化を完全になくす」よりも「許容できる範囲とリスク対策のバランスを取る」という視点が重要です。

属人化を解消する4つの方法

属人化の解消には、業務の可視化から始まり、仕組みの整備・共有・システム化という段階的なアプローチが効果的です。すべてを一度に解消しようとせず、リスクの高い業務から優先的に取り組むことが継続のポイントです。

属人化を解消する4つの方法

業務の棚卸しと可視化

まず、どの業務が誰に依存しているかを洗い出します。例えば、業務フロー図や担当者マトリクス等の作成で業務を見える化し、「1人にしか担当できない業務」をリストアップします。リスクの高い業務から優先的に対策を講じることで、限られたリソースで効果を最大化できます。

マニュアル・手順書の整備

可視化した業務について、手順・判断基準・例外処理などを文書化します。「完璧なマニュアルを一度に作る」より「80%の精度でもいいから今すぐ作る」ことを優先することが継続の鍵です。まずはマニュアルを作ってみて、実際に使いながら改善を進めていくことで、結果的に精度が上げやすくなります。

作成したマニュアルは、定期的に更新する運用ルールも合わせて設けておきます。誰がいつ、何を更新したかも記載しておくと、管理しやすくなります。

権限の分散と業務のシェア

OJTやジョブローテーションを通じて、複数のメンバーが同じ業務を担える体制を作ります。「誰か1人がバックアップできる状態」を作るだけでも、属人化リスクは大幅に低減します。

→ 参考:カイゼンから始める現場改革についてはこちら

情報共有ツール・システムの活用

業務データや進捗情報を個人のPCやメモではなく、組織全体からアクセスできる場所に集約します。クラウドストレージやクラウド型のシステムを活用することで、担当者不在でも他のメンバーが業務を継続できる環境が整います。

例えば、顧客から納期確認の連絡がきた際、担当者以外もクラウド上にある納期管理表を開き、確認することができます。

項目手作業・個人管理クラウド型生産管理システム
情報へのアクセス担当者経由でしかアクセスできない組織全体がリアルタイムで確認可能
担当者不在時業務が停止するリスクあり他の担当者が代替できる
引き継ぎ属人的な口頭説明に依存データに基づく引き継ぎが可能
品質の安定担当者によりばらつきが生じる手順・判断基準が統一される
技能継承退職とともにノウハウが消えるデジタル手順書・動画マニュアルで蓄積

製造業における属人化の実態と解消事例

製造業では、他の業種とは異なる固有の属人化課題が存在します。特に中小製造業では、人手不足と暗黙知の問題が重なり、属人化の解消が急務となっています。

製造業で属人化しやすい業務

当社が主催した製造業DXカンファレンスの参加者アンケート(n=99)では、「属人化解消」が最重要課題3位(46.5%)でした(当社調べ)。製造現場では以下のような業務で特に属人化が発生しやすい傾向があります。

  • 生産計画の作成・調整が特定の担当者1名のみに依存している
  • 納期回答が経験豊富な管理職や社長に集中している
  • 材料発注がベテラン担当者の経験則・記憶に依存している
  • 設備の条件出しや調整が「職人の感覚」に依存している
  • エクセルマクロを修正できる人物が1〜2名に限られている
2025年12月9日 製造業DXカンファレンス2025 アンケート結果:生産管理における課題

また、経済産業省「2026年版中小企業白書」では、中小企業のAI活用目的として「業務の属人化解消」が「業務時間の節減」「人手不足の解消」に次ぐ3位に挙げられています。同白書によると、製造業のITツール活用割合は全業種の中で比較的低い水準にとどまっており、中小製造業は特にシステム化による属人化解消の余地が大きいといえます。

技能継承と暗黙知という固有課題

製造業の属人化が深刻な理由として、「カン・コツ」に代表される暗黙知の問題があります。他業種に比べて言語化・マニュアル化が難しい技能が多く、個人への依存が構造的に生まれやすい環境にあります。

経済産業省・厚生労働省・文部科学省「2026年版ものづくり白書」では、以下のことが明らかになっています。

  • 将来の技能継承に対して、7割以上の製造企業が「不安がある」または「やや不安がある」と回答
  • 不安の主な理由として「熟練技能者の高齢化・退職が進んでいる」を挙げる企業が多数
  • 継承が必要な技能として「最適な加減に作業を調整できるカン・コツ」など言語化が難しい暗黙知が上位に
  • 技能継承の手段として「高齢従業員に継続して勤務してもらう」が最多 → 個人依存が継続する構造的な課題

同白書によると、デジタル技術を技能継承に活用した効果として「継承すべき技術の見える化・標準化」を挙げる企業が最も多くなっています。システム化による暗黙知の組織知化が有効であることが示されています。

近年はクラウド型の生産管理システムなど、低コストにシステムを導入できる環境が整ってきています。中小中堅規模の製造業でもDXに挑戦しやすくなってきているので、属人化解消の取り組みとして検討できます。

製造業での属人化解消事例

属人化を解消した事例として、生産管理システムSmartF導入企業の取り組みと効果をご紹介します。

暗黙知のデータ化で技能継承をスムーズにした事例

ある金属加工会社(100〜299人規模)では、手書きの工程表による生産指示と製造ノウハウの個人依存が課題でした。担当者以外が指示を出せない状態が続き、技能継承への懸念がありました。

そこで工程管理システムを導入し、製造工程データをもとにした作業手順の引き継ぎが可能になりました。経験の浅い担当者でも迷わず適切な指示を出せる体制を実現し、年間1,680時間の工数削減につながっています。

→ 事例詳細:進捗確認の工数を年間1680時間削減!拠点をまたぐ製造工程も見える化し、技術伝承の土台も構築

社長しかできなかった納期回答を他担当者も可能にした事例

精密部品製造会社(30〜99人規模)では、生産計画がローカルのエクセルのみで管理され、社長しか納期回答できない状態でした。そのため、顧客から急ぎの納期問合せがあった際、即時回答が難しいという課題がありました。

工程管理システム導入後は生産計画・工程進捗をシステムで確認できるようになり、社長以外の担当者が納期回答を行える体制へと変わっています。

→ 事例詳細:生産管理の脱・属人化で誰でも納期回答可能に!不適合品の理由もデータ化し不良原因分析までできる体制へ

特急案件の即時納期回答を可能にした事例

印刷業(〜30人規模)では、生産管理が製造責任者1名に集中しており、生産状況は都度責任者に確認する必要がありました。そのため、受注担当者が特急案件の依頼を受けてもすぐに回答できない状態でした。

生産管理システムを導入し、受注情報・生産状況の一元管理を実現したことで、システム画面を見ることで特急案件の納期回答が即時できるようになりました。また、生産計画もシステム化したことで、生産計画作成工数を50%削減(年間60時間短縮)しています。

→ 事例詳細:生産計画の作成工数50%減!受注管理も一元化し、特急案件の即時納期回答も可能に

1名しかできなかった所要量計算を自動化した事例

化粧品メーカー(30〜99人規模)では、将来在庫の把握と発注業務がエクセルに依存し、特定担当者しか対応できない状態でした。

在庫管理システムの導入により所要量計算を自動化し、年間100時間の工数削減とエクセル管理の廃止を実現。発注業務の属人化を解消し、誰でも所要量を把握できる体制になっています。

→ 事例詳細:所要量計算の手間を年間100時間削減!機能を絞った導入で、既存システムと共存しながらピンポイントに課題を解決

1名しかできなかった発注業務を3人で分担可能にした事例

医薬品メーカー(30〜99人規模)では、経験と記憶に依存した属人的な発注業務を1名が担っており、残業を生んでいました。

生産管理システムの導入により、将来在庫の試算を自動化したことで業務負荷を軽減。発注業務が脱属人化したことで、3名での分担が可能になりました。その結果、発注業務による残業はゼロになり、年数回あった属人的な発注ミスも0件になりました。

→ 事例詳細:将来在庫の自動計算で発注の負担・工数を削減!生産計画と在庫を紐づける管理を実現

属人化の課題解決にSmartFがおすすめ

SmartF

上記で紹介した事例の企業は、クラウド型生産管理システムSmartFの導入により、在庫管理や工程管理など、幅広い生産管理全般の属人化を解消しています。

SmartFは、1機能からスモールスタートで始め、段階的に機能を追加できます。属人化が最も深刻な業務からシステム化し、将来的に生産情報の一元管理を目指すことも可能です。トライアル導入も可能なので、自社の属人化に効果的かまずは試したい企業におすすめです。

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属人化解消でよくある質問

Q. 属人化とブラックボックス化の違いは何ですか?

属人化は「特定の個人に業務が依存している状態」を指し、ブラックボックス化は「業務の中身や判断基準が組織として把握できない状態」を指します。属人化が進行すると、結果としてブラックボックス化につながるケースが多くあります。

Q. 属人化しているかどうかの判断基準はありますか?

以下のいずれかに当てはまる場合、属人化が進んでいる可能性が高いです。

  • 特定の担当者が休むと業務が止まる
  • 「この業務はあの人しかわからない」と言われている
  • 引き継ぎに1か月以上かかる業務がある
  • 担当者が変わると品質や納期に影響が出る

これらが複数当てはまる業務は、属人化リスクが高いと判断できます。まず業務の棚卸しと優先順位付けから取り組みを始めましょう。

Q. 属人化の解消にはどれくらいの時間がかかりますか?

業務の複雑さや規模によって異なりますが、まずは「棚卸しと優先順位の決定」から始めることが重要です。すべてを一度に解消しようとするより、リスクの高い業務から段階的に取り組む方が現実的です。

Q. 中小企業でも属人化の解消は可能ですか?

可能です。むしろ中小企業ほど1人あたりの業務範囲が広いため、属人化が顕在化しやすく、解消の効果も出やすい傾向があります。クラウド型システムを活用すれば、初期投資を抑えながら属人化解消に取り組むことができます。

Q. 属人化の対義語は何ですか?

属人化の対義語は「標準化」または「組織化」です。業務の手順・基準・情報を組織全体で共有できる状態にすることを指します。

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この記事の著者

SmartF

株式会社ネクスタ DXメディア編集部

生産管理システムSmartF(スマートF)の開発と、250以上の現場改善をしてきたノウハウを活かし、製造業DXに関する情報をわかりやすく解説。アナログな現場や生産効率化に悩む、すべての現場へ役立つメディアを運営しています。

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