発注管理とは?業務フロー5ステップと製造業でよくある課題を解説

発注管理とは?業務フロー5ステップと製造業でよくある課題を解説

発注管理とは、企業が外部の仕入先・サプライヤーへの発注業務を計画・実行・追跡する一連のプロセスです。製品の安定供給やコスト管理、コンプライアンス対応を実現するうえで欠かせない業務です。

この記事では、発注管理の定義・業務フロー5ステップ・よくある5つの課題・効率化の方法を製造業向けに解説します。化粧品メーカーが発注工数75%削減を実現した事例もあわせて紹介します。

発注管理とは何か

発注管理は、製造業の調達・購買業務の根幹を担うプロセスです。まず定義と、よく混同される関連用語との違いを整理します。

発注管理の定義

発注管理とは、企業が必要な材料・部品・消耗品などを外部のサプライヤーに発注する際の業務を一元管理することです。

発注量の決定・発注先の選定・発注書の作成・納期追跡・請求照合まで、一連のプロセス全体が対象です。

発注管理の主な目的は以下の3点です。

  • 必要な資材を、必要なタイミングで、適切なコストで調達する
  • 欠品・過剰在庫を防ぎ、最適な在庫水準を維持する
  • 発注記録を適切に保管し、内部統制やコンプライアンスに対応する
発注管理とは:計画・実行・追跡の3つのプロセス

購買管理・調達管理・受発注管理との違い

「発注管理」と混同されやすい用語との違いを整理します。

用語主な対象範囲視点
発注管理発注書の作成〜納品・支払い買い手(製造業側)の業務管理
購買管理見積もり〜発注〜検収〜支払い調達コスト・品質・リードタイムの最適化
調達管理サプライヤー選定〜戦略的調達取引先との関係構築を含む広義の概念
受発注管理発注側と受注側の双方向のやりとり商社・卸売業での取引全体を管理

発注管理は「購買管理」の一部を担う業務です。

購買管理システムの詳細はこちら

また「受発注管理」は、発注者と受注者の両側を管理する概念であり、卸売業・商社などで多く使われます。製造業での「発注管理」とは役割が異なります。

製造業で発注管理が重要な3つの理由

理由1:生産ラインの安定稼働に直結する

製造業では、部品や原材料の欠品が生産ラインの停止につながります。発注管理が適切でないと、欠品による納期遅延や機会損失が発生します。

理由2:コスト最適化に影響する

過剰発注は在庫保管コストを押し上げ、過少発注は緊急調達による割高購入を招きます。適切な発注管理で、調達コストとキャッシュフローの両方を最適化できます。

理由3:コンプライアンス対応に必要

発注書・見積書・検収書の保管は、下請法・電子帳簿保存法など法規制への対応として求められます。発注管理の仕組みを整えることが、法的リスクの回避につながります。

発注管理の業務フロー

発注管理の業務は、大きく5つのステップで構成されます。各ステップで必要な書類と判断ポイントを押さえておくことが、業務効率化の第一歩です。

発注管理の業務フロー5ステップ

ステップ1:購買依頼書の作成と承認

発注業務の起点は、現場や各部門からの購買依頼です。

必要な品目・数量・希望納期を記載した「購買依頼書」を作成し、上長の承認を得ます。

承認フローが定まっていない場合、発注権限が曖昧になります。

不正発注や重複発注が発生しやすくなるため、承認ルールとフローを事前に文書化しておくことが重要です。

ステップ2:発注先の選定と見積もり依頼

購買依頼が承認されたら、発注先(サプライヤー)を選定します。

複数のサプライヤーに見積もりを依頼することを「相見積もり」といいます。価格・品質・納期のバランスを比較して最適な発注先を選びます。

発注先の選定基準として一般的なものは以下です。

  • 過去の取引実績
  • 品質信頼性
  • 納期対応力(リードタイム)
  • 価格競争力
  • 法令遵守・コンプライアンス体制

緊急対応が多い場合は、あらかじめ承認済みサプライヤーリスト(AVL)を整備しておくと選定の工数を削減できます。

ステップ3:発注書の作成・送付

発注先が決定したら、正式な発注書(Purchase Order:PO)を作成して送付します。

発注書には以下の情報を必ず含める必要があります。

  • 品名・品番・仕様
  • 数量・単価・合計金額
  • 希望納期・納品場所
  • 支払条件
  • 発注者情報や社印

発注書は取引の証拠書類であり、後述する3点照合にも使用します。電子帳簿保存法の要件を満たす形式での保存が求められます。

ステップ4:検収と3点照合

発注した商品が納品されたら、検収(受入検査)を行います。

検収の基本は「3点照合」です。3点照合とは、発注書・納品書・請求書の3つを突き合わせ、品目・数量・金額が一致するかを確認する作業です。

不一致があれば、過払いや品違いのリスクが生じます。この工程を省略することはできません。

検収後は、検収書(入荷確認書)を発行してサプライヤーに送付します。

ステップ5:請求照合と支払処理

検収が完了したら、サプライヤーから届く請求書と照合して支払処理を行います。この段階でも3点照合(発注書・検収書・請求書)で金額の整合性を確認します。

支払い後は、すべての書類を適切な期間保管します。電子帳簿保存法の改正により、電子取引データは電子形式での保存が義務化されています。

発注方式の種類と特徴

発注管理の実務では、どの発注方式を採用するかが在庫水準とコストに大きく影響します。製造業でよく使われる2つの発注方式を解説します。

定期発注方式と定量発注方式の違い

定期発注方式

定期発注方式とは、あらかじめ定めた間隔(例:毎週月曜・月末)で発注タイミングを固定する方法です。その都度在庫量に応じて発注量を調整します。

メリット

  • 発注管理の業務スケジュールが立てやすい
  • サプライヤーへの発注が予測しやすく、取引関係が安定する

デメリット

  • 発注量の計算が複雑で、担当者の経験に依存しやすい
  • 需要変動が激しい場合、欠品や過剰在庫が起きやすい

金額が高額で需要変動が大きい品目(高価値品・管理重要品)に向いています。

定量発注方式

定量発注方式とは、在庫が一定の水準(発注点)を下回ったタイミングで、あらかじめ決めた量を発注する方法です。

メリット

  • 発注量が固定のため、発注業務を単純化できる
  • 欠品リスクを在庫水準でコントロールしやすい

デメリット

  • 在庫の常時チェックが必要
  • 需要が急増した場合に欠品リスクが高まる

消耗品・汎用部品など需要が比較的安定した品目に向いています。

製造業での最適な選び方

製造業では、管理する品目の特性に応じて発注方式を使い分けることが重要です。

品目の特性向いている発注方式
高価値品・需要変動が大きい定期発注方式
汎用品・需要が安定している定量発注方式

発注点の決め方・発注点管理の実践方法はこちら

発注管理でよくある5つの課題

多くの製造業では、エクセルや紙ベースの発注管理に課題を抱えています。代表的な5つの課題を解説します。

課題1:手作業による入力ミスと見落とし

発注書や発注管理表を手作業で作成・更新している場合、入力ミス・転記ミス・記入漏れが発生しやすくなります。

とくに品番の桁数が多い場合や、複数のシステムへの二重入力が必要な場合にミスが頻発します。ミスが発生した場合、以下のような影響が考えられます。

  • 誤った品番・数量での発注による余剰在庫
  • 発注忘れによる欠品・生産ライン停止
  • 金額相違による支払いトラブル

課題2:属人化と情報共有の壁

発注業務が特定の担当者のみに集中すると、以下のリスクが生じます。

  • 担当者不在時に発注が滞る
  • 発注状況が他部門(生産・物流・経理)からわからない
  • 担当者の退職・異動時に業務が止まる

エクセルの発注管理表が個人のPC上のみで管理されているケースでは、この問題がとくに顕著です。

課題3:在庫情報との連携不足

発注管理と在庫管理が別々のツールで運用されていると、現在の在庫量をリアルタイムで把握できません。その結果、在庫確認のために倉庫担当者へ問い合わせる工数が発生します。欠品直前まで発注が行われないリスクもあります。

在庫管理と発注業務の関係・重要性はこちら

課題4:コンプライアンス対応の困難さ

発注書・見積書・請求書などの書類管理が紙・メール・共有フォルダに分散していると、以下の法的リスクが生じます。

  • 電子帳簿保存法に対応した保存ができていない
  • 下請法に基づく発注書の適切な発行・保管ができていない
  • 監査時に必要書類をすぐに提出できない

コンプライアンス違反は取引停止・行政処分のリスクにつながります。書類管理の仕組みを整備することが必要です。

課題5:サプライヤーとのコミュニケーションコスト

電話・FAX・メールによる発注対応では、以下のコストが発生します。

  • 発注書の郵送・FAX送信の工数
  • 納期確認・変更依頼のたびに電話・メールが必要
  • 発注履歴の確認のために過去メールを検索する手間

とくに発注先が多数ある場合は、このコミュニケーションコストが積み重なり、大きな業務負荷になります。

発注管理を効率化する方法

上述した課題を解決するために、発注管理を段階的に効率化していく方法を解説します。

発注管理を効率化する3つの方法

エクセルでの発注管理

エクセルは、多くの中小製造業で導入されており、無料で発注管理を始められるツールといえます。管理すべき基本項目(発注日・品目・数量・発注先・納期・ステータス)をシートにまとめることで、低コストに発注管理ができます。

さらに、VLOOKUP関数やSUMIF関数で集計を自動化すると、一定の業務効率化も可能です。

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ただし、複数人での同時編集・リアルタイム在庫連携・承認フロー管理はエクセルでは対応しきれないケースが多いです。規模の拡大とともに限界が生じます。

発注管理システムの活用

発注管理システムとは、発注業務を一元管理するためのソフトウェアです。エクセル管理の課題(属人化・ヒューマンエラー・情報分散)をシステムで解消できます。

主な機能は以下です。

  • 発注書の自動作成・電子送付
  • 承認ワークフローの自動化
  • 発注状況・納期のリアルタイム可視化
  • 請求書との3点照合の自動化
  • 書類の電子保管(電子帳簿保存法対応)

発注管理システムの機能・選び方はこちら

在庫管理システムとの連携

発注管理の精度を高めるには、在庫管理との連携が不可欠です。在庫管理と発注管理を連動させることで、欠品防止・過剰在庫削減を同時に実現できます。

在庫管理システムと発注管理業務を連携することで、現在の在庫量をリアルタイムで把握できます。在庫管理システムによっては、発注点を下回ったら自動的に発注アラートを出す等の管理も可能です。

発注管理に関するよくある質問

発注管理に関してよく寄せられる疑問にお答えします。

発注管理と受注管理の違いは?

発注管理は「買い手」の業務、受注管理は「売り手」の業務です。

  • 発注管理:仕入先に注文を出す側(製造業・バイヤー)が行う管理
  • 受注管理:注文を受ける側(サプライヤー・販売業者)が行う管理

商社や卸売業など、発注と受注の両方を行う企業では「受発注管理」としてまとめて管理することが多いです。

発注管理に必要な項目とは?

発注管理表や発注書に含めるべき基本項目は以下です。

  • 発注番号(管理用)
  • 発注日・納品希望日
  • 発注先名・担当者
  • 品名・品番・仕様
  • 数量・単位
  • 単価・合計金額
  • 支払条件
  • 発注ステータス(発注済み・納品待ち・検収済みなど)

製造業では、これに加えてロット番号・仕入先コード・生産計画との紐づけ情報を管理するケースも多いです。

中小製造業でも発注管理システムは導入できる?

導入可能です。クラウド型の発注管理システムは、初期費用を抑えてスモールスタートできるものが増えています。エクセル管理で月に数十時間を費やしている場合、システム導入によるROIを十分に確保できる可能性が高いと言えます。

また、製造業向けに特化したシステムを選ぶことで、生産管理システム・在庫管理との連携もスムーズに行えます。

製造業の発注管理効率化ならSmartF

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クラウド型生産管理システム「SmartF」は、発注管理機能も持ち、多くの製造業に選ばれています。発注管理を在庫管理・生産計画と一元化し、現場の調達業務を効率化したい企業におすすめです。

SmartF導入事例:発注工数75%削減を実現

ある化粧品メーカーはSmartF導入前、3名の購買担当者がエクセルで在庫管理を行い、基幹システムへの手入力(二重入力)が発生していました。

在庫情報が購買担当者のみに集中し、出荷チームとの情報共有も困難な状態でした。

さらに複雑な関数や担当者の経験則に依存した、属人化の強い管理体制でした。

SmartF導入後の主な効果:

  • 発注工数:75%削減(月の作業日数が約4分の1に短縮)
  • 購買担当者:3名から1名体制
  • 在庫確認工数:年間約48時間削減
  • 出荷チームへの在庫問い合わせ:週2〜3回からほぼゼロに

属人化した管理体制から、複数人でリアルタイムに情報共有できる体制へ移行したことで、業務負荷の大幅削減を実現しました。

導入事例の詳細はこちら:

脱エクセルで発注工数75%削減!購買・出荷チームの連携強化・将来在庫予測でより強いロジスティクスチームへ

SmartFの発注管理機能

SmartFは在庫データと連携した自動発注アラートをはじめ、製造業の発注管理に必要な機能を一元提供しています。

主な機能は以下です。

製造業の発注管理課題を根本から解決したい場合は、ぜひSmartFをご検討ください。

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この記事の著者

SmartF

株式会社ネクスタ DXメディア編集部

生産管理システムSmartF(スマートF)の開発と、250以上の現場改善をしてきたノウハウを活かし、製造業DXに関する情報をわかりやすく解説。アナログな現場や生産効率化に悩む、すべての現場へ役立つメディアを運営しています。

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