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仕掛品の効率的な管理方法とは 半製品との違いや棚卸時の計上方法も解説

仕掛品の管理方法

製造業の生産性向上における、仕掛品管理の最適化とは?「仕掛品」と一言で言っても、その管理は思いのほか複雑で、多くの製造業が直面する課題の一つです。この記事では、仕掛品と半製品の違いから始め、効率的な仕掛品管理が、製造原価の把握、キャッシュフローの改善、さらには税金計算に至るまで幅広い影響を及ぼす理由を解説します。また、棚卸資産としての仕掛品の正確な計上方法や、管理の難しさを解消する生産管理システムの導入事例についても解説します。

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仕掛品とは何か?

仕掛品とは、製造工程上で未完成の状態にある品物のことで、材料が加工され始めた時点から製品として完成するまでの間にあるすべての物品が含まれます。

以下のような部品は、すべて仕掛品に該当します。

【機械製品】

  • 加工途中の機械部品
  • 塗装前の機械部品
  • 組立途中の製品

【自動車製造】

  • エンジンブロックの加工途中品
  • 溶接済み・未塗装車体
  • 塗装済み・内装工程前の車体

【食品】

このように、原材料の投入から最終製品が完成するまでの間に存在する、付加価値の付いた未完成品がすべて仕掛品に該当します。製造業の種類によって具体的な内容は変わってきますが、共通して製造の途中段階にある在庫を指します。

半製品との違い

仕掛品と半製品は、どちらも製造途中の製品を指します。しかし、製造工程における位置づけによって分類されます。

半製品はある程度の加工が施され、そのままの状態でも販売できる状態で保管されている中間製品を指します。たとえば、パッケージングを終えてラベルを貼る前の製品は、そのままの状態でも製品として売ることはできるため、半製品となります。

一方、仕掛品は製造途中の品物であり、完成に至るまでの中間状態にあるものを指します。仕掛品は、製造プロセスの特定の段階で一時的に保留され、そのままでは販売できない状態のものを指します。たとえば、組立途中の機械製品は、そのままでは販売できないため、半製品となります。

仕掛品の在庫管理が必要な理由

現場管理イメージ

仕掛品の在庫管理を適切に行うことで、製造原価の正確な把握、キャッシュフローの改善、税金計算の精度向上が可能になります。

製造原価の把握

製造原価を正確に把握するためには、仕掛品を正しく管理することが不可欠です。仕掛品は製造プロセスの途中で生じるコストで、製品の最終原価に反映される必要があるためです。

仕掛品の材料費・労働費・間接費を含む、製造過程で発生する費用の全体像を明確にすることで、製品の価格設定やコスト削減の戦略を立てやすくなります。

キャッシュフローの改善

仕掛品を在庫として把握できていないと、必要以上に原材料や部品を発注してしまう可能性があります。

仕掛品に使われている材料は、倉庫からは出庫され、製造工程に回っている状況です。倉庫在庫だけを見て「次の製造に在庫が足りない」と思い発注したが、実際は既に仕掛品に使われていただけで材料不足ではなかった、というケースはよくあります。倉庫在庫と仕掛品を分けて把握できると、過剰在庫を避けることができ、キャッシュフローの改善と資金の有効活用に繋がります。

税金の計算

仕掛品は企業の「資産」として計上されるため、税金の計算においても重要です。仕掛品の評価と報告は、税務上の正確性を保ち、不正確な報告によるリスクを避けるために欠かせません。

仕掛品は「棚卸資産」

仕掛品は、製造過程における資産の一部として「棚卸資産」に分類されます。仕掛品を正確に管理することで、製造過程における資産価値の変動を把握し、財務状況を正確に把握することができます。

仕掛品の棚卸計上方法

仕掛品を正確に管理するには、定期的な棚卸しとその計上方法が重要です。少なくとも、期末棚卸では、原材料や部品、完成品とあわせて、仕掛品も棚卸する必要があります。

仕掛品の棚卸の手順

仕掛品の棚卸とは、製造過程にある品物の正確な数量と状態を把握することです。在庫リスト作成や物理的な在庫確認、そしてシステム上のデータとの照合を通じて、仕掛品の正確な評価が可能となり、財務報告の正確性を高めることができます。

仕掛品の計上方法

仕掛品の計上には、製造コストを基にした評価が必要で、材料費・直接労働費・製造間接費などが含まれます。適切な方法で計上することで、製造業務の効率性と財務報告の透明性を上げることが可能です。

仕掛品の計上のポイント

仕掛品の計上にあたっては、製造プロセスの各段階で、正確にコストを配分することが求められます。また、市場価値の変動や製品の品質に関する問題が発生した場合の評価額の調整も重要です。これらを適切に管理することで、企業全体の財務状況を正確に反映することができます。

仕掛品管理が原材料や完成品より難しい理由

現場管理

仕掛品の管理は、保管場所の流動性や目視確認の依存度の高さ、紙やエクセルなどの従来のツールでの管理の難しさから、原材料や完成品の管理よりも複雑です。実際に、仕掛品を適切に管理できず、二重発注が度々起きる企業や、仕掛品在庫を確認するために都度現場に足を運ばなければならないという企業の例は多くあります。

保管場所が流動的で把握しにくい

仕掛品は製造工程の途中にあるため、その保管場所は常に変動します。そのため、仕掛品の正確な把握が難しく、在庫管理がより複雑になります。

特に、在庫だけでなく製造工程を社内共有する体制が整っていない場合、どの工程の場所に仕掛品があるかも事前にわからない状態となります。その場合、担当者が工場内を歩き回り、仕掛品を探すという状況になり、大きな手間となります。

目視確認になりやすい

仕掛品の特定と評価は、多くの場合、目視による確認に依存します。仕掛品そのものにタグやラベルを貼ることが難しいケースがあるためです。そのため、人的ミスの可能性も高く、管理の精度が低下する可能性があります。

紙やエクセルで管理しにくい

仕掛品は流動的で複雑なため、リアルタイムでの情報更新が難しい紙やエクセルなどでは、正確な管理が困難です。

仕掛品は増えすぎないのが望ましい

仕掛品を効率的に管理する原則として、仕掛品を増やしすぎないことが重要です。仕掛品が多いと管理工数がかかり、棚卸時の手間も増えます。また、仕掛品は製造途中の在庫を意味するので、仕掛品が多いと生産リードタイムも長くなりやすいです。そうすると、結果的に品質管理の手間も増える可能性があります。最適な生産計画を立て、リードタイムを短くすることも、仕掛品管理においては効果的です。

生産管理システムで仕掛品管理は楽にできる

生産管理システムのイメージ

生産管理システムを利用することで、仕掛品の管理は大幅に効率化されます。生産管理システムとは、在庫や生産工程などを一元管理できるシステムです。その特徴から、仕掛品のように管理が複雑な情報の管理に向いています。

具体的には、以下のようなメリットがあります。

  • 仕掛品の状態をリアルタイムで追跡、正確なデータの提供
  • 生産スケジュールの最適化
  • リードタイムの短縮
  • コスト管理の精度向上

在庫として保管している原材料や部品を製造に回す際、生産管理システムで在庫引当(引き落とし)を行うことで、倉庫にある在庫と製造に回っている在庫を別管理できます。その結果、ないと思っていた在庫が仕掛品として存在していた、というような誤発注を防止できます。

さらに、生産工程も見える化できるため、仕掛品の状況もリアルタイムに把握できるようになります。これにより生産が最適化されていくと、仕掛品の滞留も減り、より管理しやすくなっていきます。また、より最適な生産計画を立てられるようになると、生産リードタイムの短縮にも繋がり、仕掛品そのものの量を減らせる可能性も出てきます。

上記の通り、在庫管理と工程管理を一元管理・見える化することで、仕掛品を含むコスト管理の精度向上にも繋がります。

生産管理システムについて詳しく知りたい方はこちら

仕掛品管理のシステム化の事例

多くの製造業において、仕掛品管理をシステム化することで、効率化と透明性の向上を実現しています。在庫の動きを見える化した事例と、仕掛品や工程の進捗管理をシステム化した事例について紹介します。

仕掛品を含む在庫の動きを見える化した事例

金属部品を製造するある会社では、生産管理システムを導入し、仕掛品・完成品の在庫管理を自動化しました。

以前は、正確な在庫数を把握するために、現場担当者に都度問い合わせる必要がありましたが、生産管理システムの部材引落機能を活用し、在庫と製造工程を連動して管理できるようになりました。在庫管理の自動化と生産進捗のリアルタイム管理の実現により、週に1回は発生していた現場在庫の確認作業が不要になりました。

詳細:部材引落による生産工程と在庫数の連動管理を実現!

仕掛品の進捗管理作業をシステム化した事例

ファインセラミックス製品製造会社は、生産管理システムとハンディ端末を用いた作業記録により、エクセルでの管理工数を大幅に削減しました。

以前は、作業実績の手書き記入とエクセルへの転記に多くの時間を費やしていました。仕掛在庫の確認や進捗確認を毎日、人の手で集計しており、3名の担当者が毎日1時間ほどかけて集計作業をしなければなりませんでした。この課題を解決するため、生産管理システムとハンディ端末による作業実績記録と自動集計を導入。作業実績の記録と製造進捗の管理が大幅に効率化されました。この導入により、作業実績の集計時間は半減し、製造進捗のリアルタイム確認が可能になりました。

詳細:ハンディ端末を用いた作業記録でエクセル管理の工数削減を実現

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