close-icon
今すぐ無料ダウンロード

まずはスマートF資料を
ダウンロードする

1分で完了。まずは資料をダウンロード。

QC工程表とは?作り方や書くべき項目、具体的な活用方法から注意点まで徹底解説

QC工程表

QC工程表は品質管理において、原料を受け入れてから製品を出荷するまでの各工程で必要な管理ポイントを明確にする重要なツールです。この記事では、QC工程表がどのような役割を果たし、なぜ作成が必要なのか詳しく説明しています。特に、品質不良の原因分析、外部業者の品質管理に、QC工程表を活用した具体例を交えて解説しました。

QC工程表とは

QC工程表は、原料受入から製品出荷までの製造プロセス全体の流れや、品質管理方法を表形式で記載したものです。各工程で必要な管理項目を工程順に記載し、品質管理を体系的に行う基盤となります。これにより、各製造工程で必要な品質管理ポイントや検査方法を明確にし、標準化された手順で品質を管理することが可能になります。

ここでは、QC工程表の役割、QC工程表を作成する目的について説明します。

QC工程表は品質管理ツールの一つ

QC工程表は、製造工程における品質管理を効率的に行うための重要なツールの一つです。他にも、ISO 9001やIATF 16949などの品質マネジメントシステム(QMS)で用いられる代表的な品質管理ツールには、次のようなものがあります。

  • プロセスフロー図:各工程の順序や関係性を視覚的に示したフローチャート図
  • コントロールプラン:製造プロセス全体における品質管理の手順を文書化したもの
  • FMEA(故障モード影響解析):製品やプロセスの不良発生モードとその影響を評価する手法
  • SPC(統計的プロセス制御):統計的方法を用いて製造プロセスの品質を管理する手法
  • MSA(測定システム解析):測定システムの正確性や信頼性を評価する手法

プロセスフロー図は、全体の製造工程の流れを示します。一方、QC工程表はその流れに基づいて各製造工程や品質検査を一覧化したものです。QC工程表と類似したものにコントロールプランもありますが、FMEA、SPC、MSAなどで得た情報を基に、QC工程表に具体的かつ詳細な管理手法が追加されたものです。

このようにQC工程表は、製造工程における品質管理を体系的に行うための基盤となるツールの一つです。

QC工程表を作成する2つの目的

システムネットワークイメージ

QC工程表を作成する目的は、大きく分けて以下2つあります。

  1. 製造プロセスの見える化
  2. 不良発生時の原因追及・対策立案

製造プロセスの見える化

QC工程表の目的の一つは、製造プロセスを見える化・標準化することです。原材料を受け入れてから最終製品が完成するまでの全ての工程を一覧にすることで、どの工程で何が行われているのか、どのような品質管理が必要かを関係者全員で共有することができます。管理監督者が現場の工程全体を把握しやすくなったり、新人作業員が作業内容やその背景の理解を深めたりするのに役立ちます。

不良発生時の原因追及・対策立案

もう一つの目的は、製品に問題が発生した時の原因追及や対策立案に役立てることです。不良品が発生した場合、QC工程表があれば、どの工程で問題が起きたのかを迅速に特定し、再発防止のための改善策を講じることができます。またその改善に伴う変更を記録として残すことで、その履歴を追跡しやすくなります。

例えば、複数の部品を組み立てて製造する製品について、外観異常のクレームが多発している場合、QC工程表を見れば、外観異常が発生しやすい工程を容易に特定でき、調査範囲を絞り込むことができます。また、品質検査として外観確認を追加することで、品質不良の流出リスクを減らすことができ、関係者全員でこの改善策を共有することができます。さらに、これらの品質管理体制を顧客に説明する際も、QC工程表が活用可能です。

QC工程表の作り方・構成要素

QC工程表は、製造工程を簡潔に記述した文書であり、工程名や使用設備、管理項目、検査方法、合否判定基準、文書番号などが含まれます。表の様式に決まりはないので、以下の構成要素を記載するフォーマットを決め、エクセル等で作成していきます。

工程名・使用設備

工程名は、製造プロセスの各ステップを示す名前です。各ステップの名前を記入することで、関係者間で情報の行き違いを防ぎ、円滑なコミュニケーションが取れるようになります。例えば、次のような工程名があります。

  • 原材料の受け入れ
  • 部品の加工
  • 組み立て
  • 検査

使用設備は、各工程で使われる機械やツールについて、型式まで含めて具体的に記載します。これにより、どの設備がどの工程で必要かが明確になり、適切な管理が可能になります。例えば、自動車部品の製造工程では次のような設備が使用されます。

  • 原材料の受け入れ:成分検査装置(A社製、型式XX-XXX)
  • 部品加工:CNC旋盤(B社製、型式XX-XXX)
  • 溶接:ロボット溶接機(C社製、型式XX-XXX)
  • 塗装:自動塗装ライン(D社製、型式XX-XXX)
  • 最終検査:三次元測定機(E社製、型式XX-XXX)

工程・設備の管理項目

各工程や設備ごとに、管理すべき項目、管理基準を具体的に記載します。管理項目の適切な設定は、QC工程表の効果を最大限に引き出すために重要です。

【工程の管理項目】

  • プロセス条件:設定値、実績値の許容範囲、など
  • 作業手順:標準化された手順書の文書番号
  • 検査項目:寸法検査、外観検査、機能検査、など
  • 検査頻度:毎日、毎週、各ロットごと、など
  • 合否判定基準:基準値、その許容範囲
  • 記録方法:記録帳票の名称、集中管理システム

【設備の管理項目】

  • 設備の保守点検項目:日常点検、定期点検
  • 点検頻度:毎月、稼働1万時間ごと、など

検査方法とその合否判定基準

各工程で実施される検査方法と、その合否判定基準を具体的に記載します。例えば、自動車用部品の外観に関する品質検査では、以下のような項目となります。

  • カラーチェッカー:限度見本と比較し、合格範囲内であること
  • ピンホール:目視検査で1.0mm未満であること
  • キズ:短辺が0.3mm未満、長辺が2mm未満であること

これにより、品質検査項目の標準化が図られ、検査結果の再現性が向上します。検査項目ごとの合否判定基準を明確に記載することで、検査の客観性が保たれ、一貫した品質管理が可能になります。具体的な合否判定基準の設定は、QC工程表の信頼性を高めるために不可欠です。

不良品の処置方法

品質検査で不良品(不適合品)が発生したときに、影響を最小限に抑えるための具体的な処置を行います。以下の方法を規定することで、不良品が良品に混在・流出することを防ぎます。

  • 不良品の手直し:適切な再加工を行い、良品であることを確認
  • 廃棄処分:手直しが不可能な不良品の廃棄

文書番号

QC工程表には管理のために文書番号を付与することで、以下の点が実現されます。

  • 識別の容易さ:複数のQC工程表を迅速かつ正確に識別できます。
  • 関連文書との連携:作業手順書や記録帳票との連携が強化されます。
  • バージョン管理:常に最新の工程表を参照することができます。
  • 変更履歴の追跡:過去の変更内容と理由を追跡できます。

文書番号を適切に管理することで、品質管理マネジメントシステム(QMS)の要求事項にも適合します。このように、文書番号の付与・管理は、品質管理の徹底と効率化に不可欠です。

QC工程表の作成方法と注意点

メリット・デメリット イメージ

QC工程表は、製品の品質を一定の水準に保つために、製造プロセスの各段階で必要な管理ポイントや検査基準を明確にします。実効性のあるQC工程表作成のためには、以下の点に注意して作成を進める必要があります。

工程を熟知した人が作成

QC工程表を作成する際には、工程を熟知した担当者が行うことが重要です。工程の詳細を理解している人が作成することで、現実に即した内容が反映され、誤りや抜け漏れを防ぐことができます。必要に応じて、実際に作業を行うオペレーターや工程管理者と協力し、より現場の実態に合った実用的なQC工程表を作成することが推奨されます。

製造工程の各ステップで何が行われ、どのような品質管理が必要かを正確に把握している担当者でなければ、適切なQC工程表を作成することはできません。このようにして作成されたQC工程表があれば、潜在的な問題点を事前に把握し、適切な管理項目を設定することが可能です。

管理ポイントを明確に

QC工程表に記載する管理ポイントは、できるだけ数字で表現することが重要です。定性的な表現ではなく、具体的な数値を用いることで、検査基準や合否判定が明確になり、誰が見ても同じ判断ができるようになります。

例えば、寸法検査における合格基準では、次のように具体的な許容範囲を示します。

  • 悪い記載例:正確に100mmであること
  • 良い記載例:100.0±0.1mm以内であること

また、数値化された基準はデータとして記録しやすく、後の分析や改善活動にも活用できます。数値化された管理ポイントは、品質のばらつきを把握しやすくし、問題が発生した際の原因追求にも役立ちます。

できるだけ簡潔に記載

QC工程表は、誰が見てもすぐに理解できるよう、できるだけ簡潔に記載することが重要です。多くのページにまたがって情報を過剰に詰め込みすぎると、かえって分かりにくくなり誤解やミスの原因となります。

また、細分化しすぎると膨大な管理の手間が発生し、適切な運用が難しくなります。共通する内容を含む製品や工程はできるだけ統合して、必要な情報を簡潔にまとめることで、工程表の読みやすさと実用性が向上します。

工程の手順や管理ポイントは、短く的確な言葉で表現し、必要最低限の情報に絞ります。簡潔な記載により、全体像の把握が容易になり、迅速に必要な情報を理解できます。QC工程表を作成する際には、読み手の立場に立ち、情報をシンプルかつ明確に伝えることを心がけましょう。

定期的な見直し

QC工程表は、定期的に見直しを行うことが重要です。製造プロセスや製品仕様は時間と共に変化するため、工程表もそれに応じて更新する必要があります。見直しの際には、過去のデータや現場のフィードバックを基に、問題点や改善点を洗い出し、工程表に反映させることが大切です。

また、トラブル対応などで管理方法を追加・変更した場合には、定期見直しを待たず、速やかに臨時見直しを実施しましょう。これにより、常に最新の情報を基にして、高い精度で品質管理を実践することができます。

変更履歴を残す

QC工程表に変更があった場合、その変更履歴を詳細に残すことが重要です。変更履歴には、変更の内容、理由、実施日、担当者などを記載します。これにより、後から見ても変更の経緯がわかり、トラブル発生時の原因追求や対策立案に役立ちます。

また、変更履歴を管理し、チーム全員で共有することも重要です。担当者が変わった後でも、過去の改善活動やその結果を振り返ることができます。これにより、品質管理の透明性と信頼性が高まります。

QC工程表の活用方法

品質検査イメージ

QC工程表は、製造プロセス全体の品質管理を行うための基本的なツールですが、具体的な使用例を知ることで、その重要性をより深く理解することができます。ここでは、QC工程表を用いた「品質不良の原因分析」と「外部業者の品質管理」の2つの具体的な使用例を紹介します。これらの事例を通じて、QC工程表がどのように実務に役立つかを見ていきましょう。

品質不良の原因分析・再発防止

品質不良が発生した場合、QC工程表を使って原因を分析します。各工程での管理項目や検査結果を確認することで、不良の原因を特定しやすくなります。

例えば、複数の仕入れた部品を加工し、組み立てて製品を生産する際、出荷前検査でキズのある製品が多数見つかったとします。この場合、どの工程でキズが発生したかを特定する必要があります。

まず、QC工程表を参照して、仕入れた部品の受入検査や、部品の加工後に行われた外観検査を確認します。記録を調べた結果、受入検査や加工後の検査では異常がなかったことがわかりました。次に、組み立て工程を詳細に調査したところ、部品を掴む装置に不具合が発生したことが原因で、部品にキズがついていたことが判明しました。

このように、QC工程表を活用することで、問題が発生した可能性の高い工程を効率的に特定し、原因を明らかにすることができます。これにより、迅速かつ適切な対策を講じることができ、品質不良の再発を防ぐことが可能です。

QC工程表の有効な活用方法の一例として、品質管理の一環として行われる検品作業が挙げられます。例えば、生産管理システムを導入した食品製造会社では、ハンディ端末を活用して賞味期限と品番を照合し、目視確認による賞味期限切れ品などの出荷ミスを大幅に減らすことに成功しています。

より詳しい事例はこちら:【日付検品システム】賞味期限切れの製品出荷を99%防止

仕入先・外注先の品質管理

スマート工場

QC工程表は、仕入れ先や外注先などの外部業者の品質管理にも非常に役立ちます。

外部業者がどのような製造工程で品質管理を行っているかを把握するために、QC工程表を提出していただきます。これにより、どの工程でどのような品質管理が行われているかが明確になり、その内容が自社の品質基準に達しているかどうかを確認できます。もし品質管理に不足がある場合は、どの工程で何が足りないかを指摘し、必要な検査項目や管理基準を追加するよう提案します。

監査対応の際にも、QC工程表を活用して現場確認を行います。QC工程表に基づいて、現場で実際に定められた品質管理が行われているかを確認することで、外部業者の品質管理体制をしっかりとチェックできます。そして、確認の結果から改善点を洗い出し、品質管理のレベルを維持・向上させるための対策が可能です。

22種類の生産管理システムをランキングで比較

初期費用相場や選び方のポイントをチェック

生産管理システムをそれぞれの特徴や初期費用相場などで比較したい場合は、「生産管理システムランキング」も是非ご覧ください。生産管理システムは、自社の製品・生産方式・企業規模などに適したものを導入しないと、得られるメリットが限定されてしまいます。事前適合性チェックや生産管理システムを選ぶ前に押さえておきたいポイントも解説していますので、製品選びの参考にしてみてください。

生産管理システムのランキング22選!機能や特徴、導入メリット、選び方をまとめてご紹介

スマートFの成功事例

自社の課題が複雑で本当に解決できるのか?不安ではありませんか?
スマートFは様々な業界での成功事例があります。現場改善のプロが運用定着までコミットします。

導入検討中でより詳しい機能を知りたい方はこちら
資料をダウンロード(無料)

手書きやエクセル管理を
今すぐやめませんか?

機能や特徴などがわかる資料をご用意しています