員数管理とは 基本の計測方法とミスを防ぐ方法、役立つツールを解説
公開日:2024年07⽉19⽇
最終更新日:2024年09⽉09⽇
員数管理は、製造業における効率的な生産を実現するために不可欠です。本記事では、員数管理の基本とその具体的な手法について詳しく解説します。員数管理の目的や重要性を理解し、現場での効果的な方法やタイミングなど幅広く知ることができます。生産性向上とコスト削減を目指す製造業の方々にとって必読の内容です。
員数・員数管理とは何か
員数とは「枠内にある人やモノの数」を意味し、製造現場では必要とされる部品や製品を指します。特に、1つの製品を作るために必要な部品点数を指すことが多い傾向にあります。
員数管理とは、このような員数(部品や材料、製品の数)を確認・管理する作業です。適切な員数管理は生産の効率化やコスト削減、品質向上を実現するために重要です。
員数管理を行う3つのタイミング
員数管理を行う適切なタイミングは、大きく分けて3つあります。各タイミングでの適切な員数管理が、効率的な作業の進行とトラブルの防止に寄与します。
入荷時
まず、入荷時に材料や部品の数が、注文内容と同じかどうか確認します。入荷時の適切な員数管理により、受け入れ作業の効率化が図られ、後続の生産工程にスムーズに引き渡すことが可能になります。また、受け入れ時に品質チェックも行うことで、品質管理の精度も向上します。
製造時
製造時は、以下2通りの員数管理を行います。
- 製造に必要な材料や部品の数量確認
- 完成した製品の数量確認
製造に必要な部品点数をあらかじめ確認しておくことで、製造中に部品不足に気づき製造の手を止めるような事態を防止できます。また、完成品の員数管理もすることで、歩留まりの確認にも役立ちます。
出荷時
出荷時の員数管理は、顧客トラブル防止のために重要です。受注数と出荷数が一致しているか確認し、過不足のないように管理します。
員数管理の具体的な方法
員数管理の具体的な方法には、現場における様々な手法があり、各々の方法には特定の特徴と利点があります。これらの方法を組み合わせることで、効率的かつ正確な員数管理が可能となります。
現場における員数管理の手法は、主に5つあります。
- 目視確認
- 容量計測
- 重量計測
- 高さ計測
- 自動計測
これらの手法を使い分けることで、現場の状況や作業内容に応じた適切な員数管理が可能です。
目視確認
目視確認は、作業者が直接目で見て員数を確認する方法です。この方法は、特別な機器や技術が不要であり、迅速に実施できるため、小規模な現場や簡単な作業工程に適しています。しかし、人的なミスが発生しやすく、正確性に欠ける場合があります。
目視確認を行う際は、作業手順を明確にし、チェックリストの活用などでミスを防止する工夫が必要です。指差し確認などのオペレーション統一も一定の効果が期待できます。
容量計測
容量計測は、決められた容器やスペースに部品や製品を並べて計測する方法です。例えば、10✕10に区切られた専用容器に、1つずつ部品を入れていき、4つの空きがあれば、部品点数が96個だと一目でわかります。
この方法は、専用容器を用意する必要があるものの、目視確認により正確な員数管理がしやすくなります。
重量計測
重量計測は、重量を基準にして員数を計測する方法です。この方法は、材料や製品の重量が一定である場合に有効です。単重から個数を数えるカウンティングスケールを使う方法などが一般的です。
ヒューマンエラーが起きにくい員数管理の方法の一つですが、はかりの定期的な校正や点検が必要です。また、カウンティングスケールが対応していない単重の製品もあります。小さくて軽い部品や、大きく重い部品は他の方法で計測する必要があります。
高さ計測
高さ計測は、高さを基準にして員数を計測する方法です。厚みが一定の部品を重ねて、その高さをものさしやメジャー、ハイトゲージなどで測ります。例えば、厚み1cmのプレートを積み上げ、20cmになれば、員数は20枚とすぐにわかります。
手軽に員数確認できる方法ではありますが、厚みのばらつきが大きいと正確な計測が難しくなります。
自動計測
自動計測は、センサーやカメラを用いて自動的に数量を計測する方法です。生産ラインにセンサーを設置したり、計測台にカメラを設置して画像解析システムで数えたりする方法があります。
自動計測の最大のメリットは、人の手を介さずに員数管理することでヒューマンエラーをなくせる点です。生産量が多く、員数管理の工数負担が大きい現場などに効果的です。
効率的な員数管理のポイント
効率的な員数管理のためには、現場の状況に応じた適切な計測方法を選択し、組み合わせることが重要です。
例えば、人的ミスを減らすために最も効果的なのは、自動計測です。しかし、センサーや画像解析システムの導入には費用がかかるため、売上が低い製品のためにこれらを導入すると費用対効果が下がってしまいます。この場合、低コストで始められる容器計測や重量計測なども、あわせて検討していく必要があります。
さらに、定期的な見直しや改善を行い、常に最適な員数管理を維持することが求められます。これにより、無駄のない効率的な作業環境を実現し、生産性の向上やコスト削減が期待できます。
やりがちなミスと解決方法
員数管理をしていても、過剰員数や不足員数が起きるケースがあります。これらのミスの原因は、作業者の人的ミスだけでなく、作業環境も考えられます。
どんな人間もミスをすることはあるので、目視確認が多い現場ではヒューマンエラーをゼロにするのは難しいといえます。容器計測や重量計測など、集中力やスキルに依存しない計測方法の導入が効果的です。
しかし、員数確認の具体的な方法が周知されていなかったり、教育が不十分だったりする場合は、計測方法を変えてもミスが発生するリスクが高まります。マニュアル整備や教育などで、誰でも同じ作業ができるようにする環境が必要です。
一方、員数管理をする作業環境が悪い場合も、ミスが起きやすくなります。整理整頓ができていない、計測に使うツールの置き場所が決まっていないなど、作業をしにくい環境がある場合は改善すべきです。
参考:
3定管理で製造現場を効率化する具体的な方法、継続のコツを解説
製造業における5S活動とは?
員数管理のミスの再発防止方法まとめ
員数管理のミスを減らすポイントをまとめると、以下3点となります。
- 目視確認に依存しない→まずは容器計測や高さ計測などから始めてみる
- ツールを活用する→カウンティングスケール、自動計測センサー、画像解析システムなど
- 作業方法を統一する→業務マニュアルの作成や教育・ルール周知
また、ミスをした際に作業者を責めるのではなく、ミスの原因と再発防止策を分析することが重要です。ヒューマンエラーは、作業者のストレスによって引き起こされることもあります。ミスが起きた状況を冷静に分析し、対策を横展開することで、組織内で同様の員数ミスを防ぐことにつながります。
参考:「なぜなぜ分析」のやり方解説!不良発生・流出の原因を根本から解決
22種類の生産管理システムをランキングで比較
初期費用相場や選び方のポイントをチェック
生産管理システムをそれぞれの特徴や初期費用相場などで比較したい場合は、「生産管理システムランキング」も是非ご覧ください。生産管理システムは、自社の製品・生産方式・企業規模などに適したものを導入しないと、得られるメリットが限定されてしまいます。事前適合性チェックや生産管理システムを選ぶ前に押さえておきたいポイントも解説していますので、製品選びの参考にしてみてください。