BOM管理システムとは?エクセル・無料ソフトは使える?導入メリットや選び方を解説
公開日:2023年09月20日
最終更新日:2026年06月22日

BOM管理システムを使うことで、製造業におけるBOM(部品表)管理の手間やミスを削減し、より有効活用できるようになります。しかし、実際には紙やエクセルでBOM管理を行っている企業がまだ多くあります。
BOMは製品の設計・生産・調達・保守を行う上で非常に重要です。しかし、BOMは他部門にわたり扱うという特性上、属人的なアナログ管理による人的ミスが起きやすいという課題があります。BOM管理ソフトを導入するコストがかけられない場合は、トライラルから始められるシステムやフリーソフトという選択肢もあります。
本記事では、BOMの基本概念から、BOM管理の主要な方式・種類やメリット、システムの選び方について解説します。
BOMとは
BOM(部品表/Bill of Materials)とは、製品を構成する部品の種類や数量をまとめた一覧表です。本記事ではこのBOMを効率的に管理するシステムを解説します。
→ BOM(部品表)の意味・種類・作り方の詳しい解説はこちら
BOMの方式
BOMの方式にはサマリ型・ストラクチャ型・ハイブリッド型・パラメトリック型の4つがあり、BOMの構造によって分類されます。
| 項目 | サマリ型 | ストラクチャ型 |
| 構造 | 部品や材料をリスト形式で記載 | 製品を階層構造で表現 |
| 特徴 | シンプルな一覧表で必要な部品を把握しやすい | 組み立て順や部品の依存関係を明確にできる |
| 主な用途 | 購買、在庫管理 | 生産計画、作業指示、設計変更管理 |
| 利点 | 全体の部品数を簡単に把握できる | 製造工程や部品の関連性を可視化できる |
| 欠点 | 製造工程や部品の依存関係が不明確 | 全体の部品数を把握しにくい |
- サマリ型:部品をフラットに一覧化。在庫管理・発注管理など数量把握が主な用途。
- ストラクチャ型:完成品から部品まで階層で管理。設計変更の影響をシステム上で追跡しやすく、製造指示との連携に適する。
- ハイブリッド型:2つの方式を組み合わせた方式。標準品の繰り返し生産と特注品の個別受注生産(BTO)の両方が混在する製造環境に向く。
- パラメトリック型:仕様パラメータを設定してBOMを動的に自動生成する方式。多品種少量生産・カスタマイズ製品向きだが、システム設定が複雑になりやすい。
BOMの種類(用途別)
BOMは使用目的別に5つの種類に分けられ、部門ごとに使い分けます。
| 種類 | 部門 | 主な用途 |
| E-BOM(設計BOM) | 設計 | 仕様・部品構成の定義 |
| M-BOM(製造BOM) | 製造 | 組立順序・工程管理 |
| P-BOM(購買BOM) | 購買・調達 | 発注・調達管理 |
| S-BOM(販売BOM) | 営業 | 販売仕様・顧客対応 |
| S-BOM(Service BOM) | アフターサービス | 保守・修理管理 |
E-BOM(設計BOM:Engineering BOM)
設計部門がCADやPLMと連携して管理するBOMです。設計変更が発生した場合はECO(Engineering Change Order)として管理され、製造工程や在庫への影響を追跡します。E-BOMの情報はM-BOMへ変換されて製造現場に引き継がれます。
M-BOM(製造BOM:Manufacturing BOM)
E-BOMを製造工程向けに最適化したBOMです。組立順序・サプライヤー情報・在庫情報を含み、ERPやMESと連携して部品調達や生産計画に活用されます。
P-BOM(購買BOM:Purchase BOM)
調達・購買部門がサプライヤーへの発注に使用するBOMです。購入単位数量・購入価格など調達固有の情報を持ち、設計・製造情報は含みません。
S-BOM(販売BOM・Service BOM)
販売BOMは営業部門が販売仕様の管理に使用します。Service BOMはアフターサービス部門が保守・修理向けに使用し、フィールドサービス管理(FSM)と連携することで迅速な修理対応が可能になります。
BOM管理の方法:エクセル or システム

BOM管理のやり方として、手書きやエクセルで行う方法とBOM管理システムを使用する方法があります。それぞれの特徴を比較すると以下の表になります。
| エクセルでの管理 | BOM管理システム | |
| データ更新 | 手作業で更新が必要。変更ミスや反映漏れが発生しやすい | 一元管理され、自動更新や履歴管理が可能 |
| データの一貫性 | 部門ごとに異なるファイルを使用し、データの不整合が発生しやすい | 統一されたデータベースで管理され、整合性が保たれる |
| 履歴管理 | 過去の変更履歴を手動で記録する必要がある | 変更履歴が自動で記録され、追跡可能 |
| 検索・参照 | フィルターや手入力による検索が必要で、時間がかかる | 部品や構成を即座に検索・参照可能 |
| アクセス管理 | ファイルのアクセス権設定が難しく、不正な編集が発生する可能性がある | ユーザー権限を細かく設定でき、不正な変更を防止 |
| 変更の影響確認 | 部品変更時に影響範囲を手作業で確認する必要がある | 部品変更がどの製品に影響するか自動で確認可能 |
| データ連携 | 他のシステム(ERPやPLM)との連携が難しい | ERPやPLMなどのシステムと連携しやすい |
| 導入コスト | 無料(エクセルのみ) | 有償システムの場合は初期費用・運用コストがかかる |
エクセルでBOM管理できる例
BOM管理は、シンプルなサマリ型であれば、手書きやエクセルでも行うことは可能です。
例えば、部品の種類ごとにシートを分けて整理したり、テーブル機能を使い部品の属性や関連情報を一覧にしたりといった管理が可能です。グルーピング機能で部品の階層構造を表現したり、コメント機能で備考を記載したりもできます。インターネット上で自社のBOM管理に合うテンプレートが見つかれば、より簡単にBOM管理表を作り始められます。
しかし、部品点数が多くなったり、ストラクチャ型の複雑なBOM管理が必要になったりする場合は、エクセルでは限界となる可能性が高いです。複雑な更新作業でミスや管理漏れが発生しやすくなったり、属人化の課題が生まれたりする可能性もあります。また、サマリ型のBOMであったとしても、多品種少量生産で扱う品目数が多い場合なども、エクセルでは管理工数が膨らみやすくなります。
BOM管理システムが必要な例
複雑なBOMを扱う場合や、設計・生産・在庫管理の各部門で正確なデータ連携が求められる場合は、専用のBOM管理システムの導入が必要です。BOM管理システムを利用し、部品の構成や変更履歴の一元管理を行うべきでしょう。
BOM管理システムの機能
BOM管理システムには、一般的に以下のような機能が備わっています。
BOM管理システムの主要な機能
- 部品情報の一元管理
- 変更履歴の管理
- 階層構造の可視化
- データ検索
- バージョン管理
- 部品共通化の管理
- 承認ワークフロー
- コスト管理機能
- 他のシステムとの連携
特に他のシステムとの連携については、利用するシステムが既存のシステムに対応できるかを慎重に検討する必要があります。例えば、設計BOMを扱うのであれば、CADとの連携は要確認です。BOM管理システムと生産管理システムを連携できれば、部品ごとの受発注管理なども自動で行えます。
BOM管理システム導入のメリット

BOM管理システムを導入することで、以下の5つのメリットが得られます。
データの一元管理が可能になる
BOM管理システムの最大のメリットは、製品に関する部品情報を一元管理できるようになることです。
設計・生産・調達などの各部門が異なるデータを管理していると、情報の不整合が発生しやすくなります。その結果、誤発注や製造ミスにつながる可能性があります。システムを活用すれば、部品構成や仕様、数量などの情報をリアルタイムで統合できるため、全社的に最新の情報を共有できます。
また、変更履歴を自動で記録できるため、過去の設計情報を追跡しやすく、トレーサビリティの向上にもつながります。
設計変更の管理が容易になる
BOM管理システムでは、部品の追加・削除・変更履歴が自動的に保存されるため、過去の設計との比較が容易になります。
製品開発では、設計変更が頻繁に発生します。手作業やエクセルでの管理では、変更内容の反映漏れが発生しやすくなります。このようなヒューマンエラーを、BOM管理システムで削減できます。
また、設計変更がどの製品や部品に影響を及ぼすかを即座に把握できるため、調達や生産の混乱も防止できます。
業務効率を向上できる
BOM管理システムを導入すると、部品情報を瞬時に検索・更新できるようになり、業務の効率が大幅に向上します。
BOM情報を手作業やエクセルで管理していると、データ検索や更新に多くの時間がかかり、入力ミスが発生しやすくなります。特に、多品種少量生産を行う企業では、部品リストの管理が複雑になるため、システムの活用が重要です。
また、承認ワークフローを組み込むことで、設計変更や発注の確認作業も円滑化できます。
コスト管理ができる
BOM管理システムで部品の使用状況を可視化すると、調達コストや適正在庫の算定に利用できます。共通部品を上手く活用することで、部品の種類を減らし、調達コストを削減できます。
他システムとの連携が可能
BOM管理システムは、ERPやPLM、生産管理システム、調達システムなどと連携することで、部品管理の精度を向上できます。例えば、生産計画システムと連携すると、部品供給不足や過剰生産を防止できます。
BOM管理システムを選ぶ際の注意点
BOM管理システムは業務効率化に大きなメリットがある一方、システムを選ぶ際は以下4つの点に注意が必要です。
自社に合っているか
BOM管理システムを検討する際は、自社の業務フローや製品構成に適しているか必ず確認します。業種や製品によってBOMの構造や運用方法が異なるため、一般的な機能だけでなく、自社の特性に合った管理ができるかを見極める必要があります。
業務プロセスの大幅な変更が必要なシステムは、現場の混乱を招く可能性があるため注意しましょう。
既存システムと連携できるか
BOM管理システムは、ERPやPLM、CADシステムなどの既存システムとスムーズに連携できるかが重要です。BOM管理システム単独の運用のみでデータの一元管理ができなければ、手作業による入力が増えてしまいます。その結果、作業ミスや工数の増加につながる可能性があります。
APIやCSVなどのデータ連携機能が充実しているかも確認し、業務の効率化を図れるかを検討しましょう。
カスタマイズ性・拡張性はあるか
事業規模の拡大や新製品の追加に対応できるよう、BOM管理システムのカスタマイズ性と拡張性を考慮した選定も重要です。標準機能が充実していても、自社の運用に合わせた設定変更や追加機能の開発ができないと、長期的な利用が難しくなります。
導入時の要件だけでなく、将来的な変更に柔軟に対応できるかを確認することが大切です。
サポート体制は充実しているか
システムの導入後も円滑に運用できるよう、ベンダーのサポート体制が充実しているかを確認しましょう。問い合わせ対応の迅速さや、トラブル発生時のサポート範囲が明確かどうかは重要なポイントです。また、マニュアルやトレーニングの提供、定期的なアップデートがあるかも確認し、長期的に安心して利用できるかを見極めることが大切です。
BOM管理システムの方式:オンプレミス・クラウド
BOM管理システムの方式にはオンプレミス型とクラウド型があり、それぞれの特徴は以下のようになります。
| オンプレミス型 | クラウド型 | |
| 導入コスト | 高い | 低い |
| 運用・保守 | 自社で対応 | ベンダーが対応 |
| カスタマイズ性 | 高い | 低い |
| セキュリティ | 高い | やや低い |
| アクセス性 | 社内ネットワーク内での利用が基本 | インターネット環境があればどこでも利用可能 |
| システム連携 | 既存システム(ERP・PLMなど)との統合が容易 | APIでの連携は可能だが制限がある場合もある |
| 拡張性 | 低い | 高い |
| 利用開始までの期間 | 長い | 短い |
| ネットワーク依存 | 低い | 高い |
| 導入に向いている企業 | 大規模企業、機密情報を扱う企業、細かいカスタマイズが必要な企業 | 中小企業、迅速な導入を求める企業、リモートワーク対応が必要な企業 |
オンプレミス型
オンプレミス型は、自社のサーバーやデータセンターにシステムを導入し、社内ネットワーク上で運用するBOM管理システムのことです。クラウド型とは異なり、企業が直接ハードウェアやソフトウェアを所有・管理するため、セキュリティやカスタマイズ性に優れているのが特徴です。
オンプレミス型では、部品表(BOM)の情報を企業独自の要件に合わせて管理・運用できるため、製造業やエンジニアリング分野で広く採用されています。特に、機密性の高い情報を扱う企業や、複雑なBOM管理が必要な企業に適しています。
クラウド型
クラウド型は、インターネットを通じて提供されるBOM管理のためのサービスです。従来のオンプレミス型とは異なり、企業が自社でサーバーを用意する必要がなく、システム提供会社のデータセンターで運用されるのが特徴です。インターネットさえあれば共通のデータベースにアクセスできるため、複数の部門での情報共有がしやすくなります。
クラウド型は、導入コストの低さや運用の手軽さから、近年多くの企業に採用されています。特に、業務効率化を図りたい中小企業や、リモートワークに対応したい企業に向いています。
BOM管理フリーソフトウェアのメリット・デメリット
数は少ないですが、フリーソフトウェアのBOM管理システムもあります。高価なシステム導入が難しい中小・中堅企業でも、気軽に試しやすいでしょう。国内ソフトウェアではAPSOM所要量計画、海外ソフトウェアだとIndaBOMなどが無料で利用できます。
しかし、フリーのBOM管理システムは、有料のシステムと比べて機能数が少ない傾向にあります。自社に必要な機能があるかは、有料システム以上に慎重に確認する必要があるといえます。また、導入後のサポートがないケースも少なくありません。
簡易なBOM管理には生産管理システムがおすすめ

BOM管理システムの導入にコストを割けない場合は、生産管理システムに備わっているBOM管理機能を活用する方法もあります。
生産管理システムの多くには基本的なBOM機能が搭載されており、品目の登録や製造指示との連携が可能です。この場合、BOM管理システムを別途導入するよりも、コストを抑えつつ業務を効率化できます。
クラウド型生産管理システムSmartFでは、サマリ型やストラクチャ型のBOMに対応したマスタ管理が可能です。マスタのみを更新すれば、以後の生産計画や在庫・発注情報にも反映され得るため、BOM更新の工数を圧縮できます。
23種類の生産管理システムを徹底比較
初期費用相場や選び方のポイントをチェック
生産管理システムをそれぞれの特徴や初期費用相場などで比較したい場合は、「生産管理システム 徹底比較」も是非ご覧ください。生産管理システムは、自社の製品・生産方式・企業規模などに適したものを導入しないと、得られるメリットが限定されてしまいます。事前適合性チェックや生産管理システムを選ぶ前に押さえておきたいポイントも解説していますので、製品選びの参考にしてみてください。



























