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生産管理システムは自作できる?方法やメリット・デメリットを解説

生産管理システムの自作

生産管理システムは、製造現場で行われているさまざまな業務を統合的に管理するシステムです。製造業の業務効率化には欠かせない仕組みですが、パッケージシステムを導入しようとすると高額なコストがかかる傾向にあります。そこで検討してみたいのが、生産管理システムの自作です。実際に、簡単なシステムを自作している企業もあり、導入コストを抑えつつ業務効率化を図れます。

今回の工場改善コラムでは、生産管理システムを自作する方法やメリット・デメリット、自作する際のポイントなどを解説します。生産管理システムを自作するか、パッケージシステムを導入するかで悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。

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生産管理システムは自作できるのか?

生産管理システムを自作することは可能です。ある程度の知識やスキルは必要になりますが、実際に多くの企業が何らかのシステムを自作して業務効率化に役立てています。

生産管理システムを自作する際にまず把握しておきたいことは、「自社でどのような機能が必要になるか」という点です。機能が多くなればなるほどシステムが複雑になり、自作する難易度が上がります。生産管理システムの主な機能と概要を以下の表にまとめているので、参考にしてください。

受注管理

受注した件数や品目、数量、受注金額などを管理する機能

生産計画

どの製品を、いつまでに、いくつ生産するのかを計画する機能

在庫管理

在庫の数量やロット、有効期限などの情報を管理する機能

発注管理

原材料や部品を仕入先に発注し、入荷するまで管理する機能

工程進捗管理

生産の進捗状況を管理したり、工数を集計したりする機能

出荷管理

受注情報にもとづき得意先への出荷状況を管理する機能

原価管理

材料費・労務費・経費といった製造原価を管理する機能

生産管理システムを自作する方法とは

生産管理システムを自作する方法は、大きく3つあります。それぞれの特徴について詳しく解説していきます。

Excelで作成する

1つ目は、Microsoft Excelで作成する方法です。すでに導入している場合は追加でコストがかからず、多くの人が扱えることから、最も手軽な方法といえます。

Excelはデータの集計・計算・グラフ化などに強みを持つ表計算ソフトですが、生産管理システムを自作する際に役立つ機能も数多く備わっています。

  • マクロ機能による繰り返し行われる作業の自動化
  • VBA機能による複雑な処理の自動化
  • ガントチャート機能によるスケジュールの見える化
  • 関数を利用したバーコードの作成・出力


ただし、Excelには、データ量に上限がある、複数人で同時に編集できない、データ量が増えると動作が遅くなる、といったデメリットもあります。数人程度で小規模に利用するシステムであれば問題ないかもしれませんが、大規模なシステムを自作するのには適さない場合もあるでしょう。

Accessで構築する

2つ目は、Microsoft Accessで構築する方法です。Accessは大量のデータの管理・保存に適したデータベース管理ソフトであり、製造業でもよく活用されています。

Accessにはフォーマットやテンプレートが豊富に用意されているため、顧客管理や販売管理といった一般的な業務で使用するシステムであればExcelよりも開発工数を抑えられる場合があります。また、Excelとは違って複数人での同時編集も可能なため、実際の業務で活用しやすいのが特徴です。

Accessは一見するとExcelによく似ていますが、実際の操作感は異なります。Accessにはデータベースに関する知識が求められるため、Excelのように誰でも扱えるわけではありません。また、複数人で同時編集をすると動作が遅くなりやすい、生産管理のように専門的な業務のフォーマットやテンプレートは少ない、といったデメリットもあります。

プログラミングで開発する

3つ目は、プログラミングで一から開発する方法です。自社内にシステム開発のスキルや経験を持つ人材がいるのであれば、選択肢の一つとなります。

ExcelやAccessを使う場合は、それらが提供する機能の範疇でしかシステムを自作できません。しかし、プログラミングで一から開発するのであれば、自社の規模や業務に最適化したシステムを作れます。

一方で、専門的な知識やスキルを持つ人材が自社内にいない場合はプログラミングで自作するのは困難です。また、もしいたとしても、開発に長い時間がかかってしまう傾向にあります。

生産管理システムを自作する6つの手順

フェーズ

ここまでで、生産管理システムの自作は可能であることや、自作する方法についてご紹介しました。では、実際に自作する場合にはどういった手順で進めればよいのでしょうか。6つの手順に分けて解説します。

目的や解決したい課題を明確にする

まずは、生産管理システムを自作する目的や解決したい課題を明確にしましょう。目的や課題が明確になっていれば、生産管理システムに必要な機能が自ずと定まってきます。不要な機能を開発してムダな時間とコストをかけないためにも、十分に検討しておくことが重要です。

必要な機能を整理する

次に、生産管理システムに必要な機能を整理していきます。最初は、受注管理・生産計画・在庫管理・発注管理・工程進捗管理・出荷管理・原価管理といった大きい粒度で必要な機能を選定し、その後により具体的な形で機能を洗い出していきましょう。また、利用人数や想定するデータ量、使用する機器といった動作環境についても整理しておくことをおすすめします。

システム設計を行う

必要な機能が整理できたら、システム設計を行っていきます。多くの場合、この段階でExcel・Access・プログラミングのどの方法で生産管理システムを自作するかが決まります。

システム設計は次の2つに大きく分けられます。

  • 外部設計(基本設計)


操作画面の見た目・操作方法・データの出力形式・帳票類のレイアウトなどの利用者から見える部分の仕様を設計します。また、ハードウェアの要件やスケジュール、開発費用なども設定します。

  • 内部設計(詳細設計)


外部設計で決めた仕様を実現するために、データの処理方法などの利用者から見えない内部的な機能を設計します。

システムを開発する

システム設計で決定した内容をもとに、Excel・Access・プログラミング言語のいずれかを使って実際にシステムを開発していきます。スケジュール通りに進行しているかを随時確認しながら進めることで、開発期間が長期化するのを防止できます。

動作テストを行う

システムの開発が終わったら、動作テストを行って必要な機能が正しく開発されているかを確認します。開発者自身がテストするのではなく、実際に生産管理システムを利用する人がテストした方が、利用者目線で判断ができるのでおすすめです。

動作テストは、機能別にテストを行う単体テストと、システム全体のテストを行う結合テストの2つに大きく分かれています。システムの規模にもよりますが、最初のテスト時には何らかの不具合が発生しているケースがほとんどなので、設計通りに動作しているかをしっかりと確認しましょう。

テスト稼働を行う

動作テストの結果が問題ないと判断できれば、実際の現場でテスト稼働を行います。複数の利用者に操作してもらったり、あえてデータ量を増やして負荷をかけてみたりすることで、実際の現場で問題なく使用できるかをテストしていきましょう。

また、テスト稼働ではシステムの機能面だけをチェックするのでなく、当初掲げていた目的や課題を解消できそうかを見極めることも重要です。少なくとも数週間〜1か月程度はテスト稼働を行い、自作した生産管理システムの有用性を確かめるのがおすすめです。

生産管理システムを自作するメリット

ここでは、生産管理システムを自作するメリットを3つ紹介します。

導入コストを抑えられる

パッケージの生産管理システムを導入すると、システムによっては数百万円から数千万円の導入コストがかかります。昨今ではクラウド型の月額数万円程度で利用できるシステムも増えてきましたが、外部に出ていくコストであることは変わりません。

一方で、自作する場合にかかるコストは開発担当者の人件費が中心となり、外部に出ていく費用を最小限に抑えられます。ExcelやAccessはすでに導入済みの企業が多く、プログラミングによる開発ツールもそれほど高額ではないため、追加のコストがほとんどかかりません。このように、導入コストを抑えられることが生産管理システムを自作する最大のメリットといえるでしょう。

カスタマイズしやすい

パッケージシステムはデザインや仕様がある程度決まっており、自由に変更できません。そのため、導入にあたってシステムに業務を合わせなければならないケースもあり、現場が混乱する恐れがあります。

しかし、生産管理システムを自作する場合は、自社の要望に合わせて比較的自由にカスタマイズすることが可能です。今までの業務を大きく変えずに導入できるので、現場が混乱せずに運用を開始しやすくなります。

いつでも変更できる

生産管理システムを運用していると、導入当初には想定できていなかった追加要望や改善点が少なからず出てくるものです。しかし、パッケージシステムでそれらに対応するためには、追加でコストがかかる場合があります。また、仕様のすり合わせや開発に時間がかかってしまい、柔軟に対応できないケースが多いです。

しかし、自作した生産管理システムであれば運用中の変更にも柔軟に対応できます。事業環境が激しく変化するこれからの時代を見据えると、システムを自作して仕様を深く理解している方が良いと感じるかもしれません。

生産管理システムを自作するデメリット

生産管理システムの自作にはメリットだけでなく、デメリットもあります。ここでは、主なデメリットを3つ紹介します。

専門知識やスキルが求められる

生産管理システムを自作するには、専門知識やスキルが求められます。ExcelやAccessで自作する場合であっても、実際の業務で問題なく使用できるレベルのシステムを作るのは容易ではありません。自社内にシステム開発の経験が豊富な人材がいない場合は、パッケージシステムを導入する方が良いでしょう。

また、自作には属人化のリスクがあることも忘れてはなりません。特に中小企業では開発担当者しかシステムを扱えないケースが多く、離職・退職によって管理できなくなる恐れがあります。

メンテナンスの手間が発生する

システムは運用が始まってからも定期的にメンテナンスを行わなければなりません。不具合の修正はもちろん、トラブル発生時の対応やセキュリティ対策など、メンテナンスには相当な手間がかかります。実際に、多くの企業で情報システム担当者は既存システムの運用・保守に追われており、ほかの業務に集中できていないと言われています。

一方で、パッケージシステムを導入した場合はベンダーがメンテナンスを代行してくれます。保守費用として別途コストはかかりますが、手間のかかるメンテナンスを自社でやらなくてもよくなるので、自社に十分なリソースがない場合は活用すると良いでしょう。

開発できる機能に限界がある

生産管理システムは専門性が高く、さまざまな機能が複雑に連携して成り立っています。ExcelやAccessで自作する場合、それらのツールで対応可能な範囲でしか機能を開発できないため、本格的な生産管理システムとして運用するには不十分なケースが多いです。

また、プログラミングで開発する場合であっても、「大量のデータを迅速に処理する」「多数の外部システムと連携する」「AI・IoTといった最新技術を組み込む」といった高度な機能を開発するのは専業のシステム会社でなければ難しいでしょう。

生産管理システムを自作する際の5つのポイント

せっかく生産管理システムを自作しても、業務効率化につながらなければ意味がありません。ここでは、生産管理システムを自作する際に押さえておきたいポイントを5つご紹介します。

現在の管理方法や体制を確認する

生産管理システムを自作する目的や解決したい課題が明確になっていなければ、効果的なシステムを作ることはできません。まずは現在の管理方法や体制を確認し、現場でどういった課題があるのかを整理するようにしましょう。

  • 紙・Excel・システムなど何を使って生産管理を行っているか
  • どういった項目を管理しているのか
  • どういった帳票が存在しているのか
  • 業務フローはどうなっているのか
  • 部署間での連携はどのように行われているのか
  • どの業務で、どれだけの工数がかかっているのか


上記のような視点で整理していけば、現場の課題や要望が見えてきます。

使いやすさを重視して開発する

生産管理システムに関わらず、システムを作る際は「使いやすさ」を重視すべきです。特に生産管理システムはITに不慣れな現場の作業者が扱うことも多いので、使いにくいシステムは敬遠される恐れがあります。

  • 専門知識がなくても使える
  • タブレット端末で直感的に操作できる
  • ハンディ端末でバーコードを読み取るだけで操作できる
  • 文字サイズや色が工夫されており、ひと目見れば分かる


上記のような配慮がされたシステムであれば、現場に浸透しやすくなるでしょう。

開発方法やノウハウを共有する

デメリットの部分で触れた通り、生産管理システムの自作には属人化のリスクがあります。一部の担当者しか操作やメンテナンスができないと、中長期的に運用し続けるのは困難です。属人化を防止するために、次のような工夫が求められます。

  • 設計書や議事録を残しておく
  • 開発方法や操作方法に関するマニュアルを整備しておく
  • 設計変更や運用の変更があれば関連書類を更新しておく
  • 定期的な研修などで自社全体のITリテラシーを高めておく

スモールスタートで改善を繰り返す

生産管理システムを自作する際に、初めから完璧なシステムを作ろうとしてしまうと時間がかかります。

  • 最初は機能を絞ったシステムを作り、徐々に拡張していく
  • 一部の部署や業務からシステムを導入し、徐々に範囲を広げていく
  • 導入効果を定期的に測定したり、利用者の声を聞いたりして改善を加えていく


上記のように、スモールスタートしてから改善を繰り返す方が、リスクを抑えつつ素早く業務効率化を図れるのでおすすめです。

不具合の発生や破損リスクに注意する

システム開発会社が提供するパッケージシステムに比べると、自作した生産管理システムは不具合の発生率やデータの破損リスクが高い傾向にあります。

  • 開発時のミスによってエラーやバグが発生する
  • システムが突然動かなくなり、業務が止まってしまう
  • 動作速度が遅くなり、円滑に業務ができなくなる
  • 災害時にサーバやパソコンが破損してしまい、システムとデータが失われる


このような事態に陥らないためにも、綿密なテストや定期的なメンテナンス、データのバックアップを行うようにしましょう。

生産管理システムのパッケージを導入する方が良いケース

今回は、生産管理システムの自作について解説しました。生産管理システムを自作することは可能であり、導入コストを抑えられる、カスタマイズしやすい、いつでも変更できる、といったメリットを得られます。専門知識やスキルが必要ではありますが、自作に興味がある場合は、最も手軽なExcelでの自作から試してみてはいかがでしょうか。

一方で、生産管理システムの自作にはデメリットも数多くあります。次のケースに当てはまる場合には、パッケージシステムの導入を検討する方が良いでしょう。

  • 自社内にシステムを自作するノウハウがない
  • メンテナンスの手間を軽減したい
  • 属人化を防止したい
  • 豊富な機能を活用して大幅な業務効率化を図りたい
  • 操作性が高く、誰でも使いやすいシステムを導入したい
  • 複数人での操作や大量のデータ処理に対応できるシステムを利用したい
  • セキュリティ面にも配慮したシステムを導入したい
  • ベンダーからコンサルティングや導入サポートを受けたい


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