生産管理システムを導入するメリット|生産現場を変える機能と目的
公開日:2020年03⽉03⽇
最終更新日:2024年10⽉15⽇
生産管理システムとは
生産管理システムは、「製品が完成するまでの原価管理・在庫管理・工程管理等のデータ管理を総合的に行い、顧客に届ける製品を最小コストで高品質に生産するためのシステム」です。
また最近では、生産管理だけに限らず、販売管理や物流管理まで総合的にできるようになってきています。
ちなみに生産管理システムについて日本工業規格(JIS)では下記のように解説されています。
「生産管理を系統的に行うために、生産に伴う現品、情報、原価(価値)の流れを統合的、かつ、総合的に管理するシステム。」 ※日本工業規格(JIS)から抜粋
では、生産管理システムを導入する場合の目的と、生産現場に与える効果を次でみてみましょう。
生産管理システムを導入する目的と効果
生産管理システムを導入する目的の多くは、「業務効率の改善」です。
導入することで、「様々な場所での工数削減効果」が期待できます。
例えば、手書きや手入力で行っているあらゆる管理業務が、バーコードをピッと読み込むだけで入力できたり、データを自動集計してくれたりすることで、記録工数や管理工数の削減ができ、本業である生産業務に専念できるようになります。
また、手書きや個別で管理していた情報を、1つのシステムで一元管理できるようになれば、「生産進捗や在庫状況をリアルタイムで把握できる」ようになったり、「どの部品がどの製品に使われた等のトレーサビリティ管理が細かくできる」ようになったりします。
生産管理システムを導入することで、様々な業務での工数削減ができ、生産効率を上げることが可能です。
生産管理システムの機能
生産管理システムにはさまざまな機能があります。多くの生産管理システムが共通して持つ機能は、以下の6種類です。
- 仕入れ部品管理
- 在庫管理
- 工程管理
- 生産計画管理
- 原価管理
- 日報管理
仕入れ部品管理
仕入れ部品が入荷した際に、バーコード読み込みをするだけで、「いつ」「何が」「どれだけの数量」入ってきたのかが分かるようになります。
また、仕入れ部品の在庫状況をリアルタイムで把握することができるので、仕入れが必要なタイミングも分かりやすくなり、最適なタイミングで仕入れをすることができます。
在庫管理
あらゆる製品や部品・原材料の仕入れ時や使用時にバーコード読み込みすることで、保管場所や在庫数等のデータがリアルタイムで更新されます。
それにより、わざわざ在庫の確認をしにいく手間がかからず、システムを見るだけですぐに在庫状況の確認ができるようになります。
工程管理
各生産工程での作業完了時に作業実績を入力することで、生産がどの工程まで進んでいるか、いくつ作られているか等の情報をリアルタイムで把握できるようになります。
生産が順調か、遅れているかといった状況がリアルタイムで分かるため、問題をいち早く発見し、生産を円滑に進めることができるようになります。
生産計画管理
生産指示を登録する際に、事前に標準の生産リードタイムを設定しておくことで、自動的に生産計画を立てることができます。
また、部門別や担当者、設備別に生産計画を並べて表示することで、現場の負荷状況をいち早く把握でき、負荷がかかっている場合は生産計画の調整を行えます。
原価管理
生産に使われた部品数や不良数を記録することができ、部品ごとの単価を設定しておくことで原価率を把握することができます。
また、工程管理機能で作業開始から終了までの時間を記録することで作業時間を割り出し、原価管理に活かすことができます。
日報管理
作業実績を情報機器で簡単に入力できるようにすることで、作業実績データを収集することができます。
また、収集した作業実績データを基に、作業日報を作成することができます。
生産管理システムを導入する6つのメリット
- 生産状況の見える化
- 作業記録、集計の工数削減
- 不良品情報のデータ化
- 在庫状況の見える化
- 在庫管理業務の工数削減
- 仕入部品の発注管理がしやすくなる
生産管理システムを導入することで、上記6つのメリットを得ることができます。
それぞれのメリットが産みだす効果も簡単にご説明します。
①生産状況の見える化
生産管理システムの工程管理機能により、生産の進捗状況をリアルタイムで把握できます。
その結果、下記2つのことが可能になります。
- 納期遅れの防止
- 業務負荷の平均化
生産現場では、機械トラブルや人的ミス、その他イレギュラーな問題によって、どこかの工程で遅れがでる可能性があります。
また、業務負荷のバラツキが生じてしまうことにより、効率的に生産ができていない場合があります。
生産の進捗状況がリアルタイムで可視化されることにより、稼働率などのデータも見える化できるため、遅れの出ている工程や負担がかかっている工程へのサポートが、素早くできるようになります。
②作業記録、集計の工数削減
生産管理を「手書き」や「手入力」などで行っている企業の場合、ハンディ端末やタブレット端末での作業記録に変わることにより、手書きや手入力の工数を削減することができるようになります。
また、作業日報などから集計をとっていた、製品別・工程別・担当者別などの生産実績データを自動で集計することができます。
その結果、今までの工数をかけずに原価率の計算ができるようになるなどのメリットが生まれます。
③不良情報のデータ化
生産現場によっては、作業日報に不良が出た情報を、紙に記載して保管するだけのところもあるかと思います。
しかし、生産管理システムを用いることで、不良情報をリアルタイムで集めて集計することができ、その結果、下記2つのことが可能になります。
- 不良原因の特定と改善
- 歩留まり向上によるコスト削減
生産能力を向上させるこの2つのことは、様々な情報を見える化できる生産管理システムだからこそのメリットです。
④在庫状況の見える化
在庫状況の見える化ができることで、下記2つのことが可能になります。
- 生産に必要な物品が揃っているか把握できる
- 余剰在庫や在庫欠品の防止ができ、廃棄ロスや納期遅延を防止
担当者等に任せた在庫管理や紙などによるアナログ的管理手法だと、どうしても在庫状況をリアルタイムに把握するのは難しいです。
しかし生産管理システムを導入することで、リアルタイムに在庫状況を把握することができるようになり、在庫欠品等のイレギュラーを未然に防ぐことが可能になります。
また、しっかりと在庫状況を確認できるからこそ、必要最低限の仕入だけで済ませることができ、原価を下げることができるだけでなく、納期遅延を防止することができるようになります。
⑤在庫管理業務の工数削減
生産管理システムの導入で、在庫管理業務の工数削減をすることができ、下記2つのことが可能になります。
- バーコードを用いた入出庫記録により、作業工数を削減
- 間違った製品や仕入部品の入出庫を防止
在庫管理における工数を、改めて計算してみると、想定以上に工数がかかっていることが良くあります。
それが、バーコードを用いた在庫管理を行うことにより、リアルタイムで在庫状況を把握できるようになるだけでなく、間違った製品の仕入れや人的ミス、データトレース作業にかける工数を削減できるようになります。
⑥仕入部品の発注管理がしやすくなる
仕入部品の発注管理がしやすくなるメリットにより、生産現場で下記2つのことが可能になります。
- 未入荷の仕入部品を把握
- 入荷実績のデータ化(他の発注管理システムとの連携)
仕入部品の入出庫の際に、バーコードを読み取ることで、リアルタイムにデータベースに反映されます。
そのため、在庫が少なくなっている部品の在庫状況がリアルタイムで把握でき、在庫が無くなる前に発注を掛けることが可能になります。
また発注管理システムと連携させることも可能です。
生産管理システムには当然デメリットもある
生産管理システムは、生産現場や管理現場の工数を大幅に削減でき、円滑に生産現場を動かせるようになる強力なメリットがある反面、デメリットも当然あります。
デメリットの一例を紹介すると、下記のような3つがあります。
- 高額な生産管理システムの導入コスト
- 上手に生産管理システムを運用できないリスク
- 導入後の一次的な現場の負担増加
これらデメリットは、いずれも生産管理システムを導入する前に、不安になるポイントでもあるかと思います。
また、生産管理システムを導入するということは、生産現場の働き方を変えるということであり、生産管理システム自体を、導入しない方が良い企業もあります。
デメリットをしっかりと理解せず、生産管理システムを導入するのはリスクが非常に高いです。
ただし、デメリットをしっかりと理解して、リスクヘッジができるのであれば、デメリットを大きくしのぐメリットを得られる企業もあります。
生産管理システムのデメリットについて、下記ページで詳しくご説明しているので、ぜひお読みください。
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