工程管理表で作業効率化！製造業必見の表の作り方やシステム導入方法とは？
公開日：2024年02⽉14⽇
最終更新日：2024年10⽉24⽇
製造業でのプロジェクトにおいて、効率的に工程管理を行うことはとても重要です。工程管理表を活用することで、計画から実行、監視、調整に至るまで、全ての段階でプロジェクトを円滑に進められるようになります。今回は、工程管理表の基本から、製造業での重要性、様々な表の種類、基本的な使い方、そして効率的な作成方法を解説します。また、紙やエクセルで管理を行うことのデメリットと、工程管理システムを導入するメリットや課題、実際の活用事例についても紹介します。
工程管理表とは
工程管理表は、計画の立案から実行、監視、調整に至るまで、プロジェクトのサイクル全体を管理するツールです。プロジェクトの各工程を時系列に沿って表示し、それぞれのタスクの開始日、終了日、担当者、状態などの情報を把握できるようにします。これらを視覚的にわかりやすく表現することで、プロジェクトの進捗状況を一目で確認できるため、問題の早期発見や解決、リソースの最適化、リスク管理の強化だけでなく、プロジェクト内でのコミュニケーションを円滑化し、チームワークを高めることができます。
製造業における工程管理表の重要性
工程管理表は、製造業において、製造プロセス全体の透明性を高め、プロジェクトマネージャーやチームメンバーが必要な情報をリアルタイムで共有できるようになるため、生産プロセスの効率化、品質管理、納期遵守に役立ちます。
工程管理表の役割
工程管理表は製造業において、生産計画と進捗管理に役立ちます。生産プロセスの各作業を明確にし、プロジェクトの進捗を可視化することで、効率的に資源を配分したり、問題をタイムリーに解決することができます。また、現場の異なる部門間でのコミュニケーションを円滑化できます。
工程管理表のメリット
工程管理表を活用することで、以下のメリットがあります。
- 無駄な作業を削減し、生産ラインの稼働率を最大化
- コスト削減
- 納期遅延の防止
- 品質向上
- 顧客満足度の向上
- 生産の進捗をリアルタイムに共有
工程管理表を適切に活用すると、生産のためのリソースを最大限活用できます。無駄をなくし、従業員や設備の空き時間を最小限に圧縮することで、コスト削減にも繋がります。
また、計画的な生産が可能になるため納期遅延も防止でき、品質や顧客満足度の向上も期待できます。その結果、再発注の機会が増加する可能性も高まると言えます。さらに、プロジェクトの進捗状況がリアルタイムで共有されることで、問題発生時の迅速な対応が可能となります。
工程管理表の種類
製造業の工程管理では、複雑なプロセスと多岐にわたるタスクを管理するために、様々な種類の工程管理表を活用します。主な工程管理表にはガントチャート、バーチャート、ネットワーク方式があり、プロジェクトの特性や管理者の好みに応じて選ぶことができます。
ガントチャート
ガントチャートは、プロジェクト管理において最も一般的に使用されている工程管理表です。このチャートは、水平のバーでプロジェクトの各タスクの開始日と終了日を示します。
各バーの長さは、タスクの所要時間を表し、プロジェクト全体のタイムライン内でのタスクの関係を視覚的に示します。ガントチャートは、プロジェクトの進捗状況の監視、タスク間の依存関係の管理、および資源配分の計画に特に役立ちます。
バーチャート
バーチャートは、ガントチャートと同様に、タスクの期間を棒グラフで示しますが、よりシンプルであることが特徴的です。そのため、特定のタスクがいつ開始していつ終了するかを示しやすく、短期間でプロジェクトを細かく管理するのに適しています。バーチャートは、小規模なプロジェクトや、複雑なプロジェクトにおすすめです。
ネットワーク方式
ネットワーク方式、特にPERTチャートやクリティカルパスメソッド（CPM）は、複雑なタスクやプロジェクトの進め方を明確化できます。これらは、ノード（タスク）とエッジ（依存関係）を使用して、プロジェクトの構造を示します。ネットワーク方式は、プロジェクトの時間管理を最適化し、最短のプロジェクト完了時間を特定するのに効果的です。
工程管理表の基本的な使い方
具体的に、工程管理表を設計する方法、特にガントチャートの作成方法にフォーカスし、効率的なプロジェクト管理に必要な基本的なステップを紹介します。
工程管理表の設計
工程管理表を設計する際は、まずプロジェクトの目標、必要なタスク、それらのタスクの関係、期間、および各タスクに割り当てられるリソースを明確にします。適切に設計することで、プロジェクトの範囲を明確にし、チームメンバー全員が共通の理解を持つことができます。
また、プロジェクトマネージャーはプロジェクトの進行状況を追跡し、必要に応じて調整を行うことが容易になります。さらに、起こりうるリスクを事前に特定し、対処法を考えることもできます。
工程管理表の作り方
主な工程管理表の作り方は、4つあります。
- 紙やホワイトボード
- エクセル
- Googleスプレッドシート
- 工程管理システム
上記それぞれの作成方法について、その特徴と利点を解説します。これらの中から、プロジェクトの規模や複雑さ、利用可能なリソース、チームメンバーの技術的なスキルに応じて適切な表を選ぶことで、作業の効率化に繋がります。
紙やホワイトボード
最も直感的な方法は、紙やホワイトボードを使う工程管理表の作成です。特に小規模プロジェクトや、短期的なタスク管理に適しています。
紙やホワイトボードを使用する最大のメリットは、その柔軟性とアクセシビリティです。たとえば、現場で作業者がよく見る場所に掲示しておけば、誰でも簡単に情報を確認できます。このように、プロジェクトの進捗を簡単に更新し、迅速に共有することができますが、情報の永続性が低い点がデメリットです。大規模なプロジェクトや複雑なタスクの管理には不向きです。
エクセル
エクセルを利用した工程管理表は、柔軟性と強力な計算機能が特徴的で、多くの企業で使用されています。エクセルでは、ガントチャートやバーチャートを作成し、タスクの期間や関係、リソース割り当てを記載することができます。さらに、データ分析やレポート作成にも優れています。一方で、エクセルは、共同作業やリアルタイムでの情報共有を行うのに適しておらず、管理に限界があります。
Googleスプレッドシート
Googleスプレッドシートを使用すると、チームメンバーはリアルタイムで工程管理表を共有し、エクセルでは難しい同時編集も可能になります。これにより、遠隔地にいるチームメンバー間の共同作業が可能になり、プロジェクトの進捗状況の更新と共有を簡単に行うことができます。
Googleスプレッドシートは、エクセルと同様の多くの機能を提供する一方で、インターネット接続があればどこからでもアクセスできるというメリットがあります。一方、共有設定を誤ると、社外へ情報漏洩するリスクがあります。責任者が、閲覧権限や共有範囲を適切にコントロールすることを求められます。
工程管理システム
工程管理システムは、工程管理表の作成やタスクの割り当て、進捗状況の追跡、リソースの管理など、プロジェクト管理に関するあらゆる作業を効率化するのに役立ちます。多くの工程管理システムには、コラボレーションツール、通知システム、レポート生成機能などが組み込まれています。
工程管理システムは、最も効率的で安全に使える工程管理の手法の一つです。しかし、システムを活用するには、初期設定や管理、多くの場合は費用が必要です。
ガントチャートの作成方法
ガントチャートを作成する際には、まずプロジェクトに含まれるすべてのタスクをリストアップし、それぞれのタスクの開始日と終了日を決定します。次に、これらのタスクを時間軸に沿って配置し、タスク間の関係を明確化します。ガントチャートを使用することで、一目でプロジェクトの全体像を把握し、各タスクの進捗状況を追跡することができます。
テンプレートを利用した工程管理表（ガントチャート）の作成の具体的な流れ
エクセルやスプレッドシートでは、テンプレートを使用したガントチャートの作成が可能です。まずは費用がかからない方法で、プロジェクトの計画と進捗管理をかんたんに行いたい人におすすめの方法です。
本セクションでは、生産工程のリストアップから、管理期間の設定、担当者の割り当て、テンプレートの選択とダウンロード、そして工程タスクと期間の記入まで、ガントチャートを作成するための段階的なプロセスを解説します。これらのステップをフォローすることで、効率的で分かりやすい工程管理表を作成することができます。
生産の各工程を書き出す
まず、生産計画に含まれるすべての工程をリストアップし、それぞれの目的と必要な成果物を特定します。この情報を整理することで、計画作成プロセスをスムーズに進めることができます。
管理する期間を決める
次に、生産計画における各工程や作業の期間を設定します。工程全体の開始日と終了日を決定し、各作業が開始および完了するべき時期を計画します。各工程の期日を設定することで、リソースの割り当てや優先順位付けを効果的に行います。
各工程の担当者を決める
作業ごとに担当者を明確にすることで、工程の進捗管理が容易になります。このプロセスには、各作業の責任者を割り当てることが含まれ、チームメンバーが自身の役割と責任を理解することができます。担当者を決定することで、作業の進捗状況を追跡しやすくなり、問題が発生した場合の対応も迅速に行うことができます。
テンプレートを選択・ダウンロード
市販またはオンラインで提供されているガントチャートテンプレートから、自社のニーズに最適なものを選択します。エクセルであれば、標準テンプレートにもガントチャートがあります。
適切なテンプレートを選ぶことで、工程管理表の作成プロセスが簡素化され、時間と労力を節約することができます。テンプレートは、基本的な構造と必要な機能を提供し、カスタマイズしてプロジェクトに合わせることが可能です。
工程タスクと期間を記入
選択したテンプレートに、生産の各工程、それぞれの作業、および期間を記入します。この情報を詳細に記入することで、進捗状況を可視化し、各作業の期限内での完了を確実にすることができます。工程タスクと期間を明確にすることで、工程全体を把握し、効率的な管理を実現します。
使いやすい工程管理表を作るポイント
明確で分かりやすい工程管理表は、現場の各担当者がスケジュールを理解し、期限内に作業を完了させるための基盤となります。工程管理表を最大限に活用するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 各工程をできるだけ正確に区分する
- 誰が見てもわかりやすく作るる
- 部門を超えて関係者全員で共有する
- 工程管理表の管理者を決める
- 生産リードタイムを把握する
- 現場の制約条件の理解
- 詳細な情報の追加
これらのポイントを押さえることで、効果的で効率的なプロジェクト管理が可能になります。
各工程をできるだけ正確に区分する
各工程を明確に区分することで、各責任者や期限も正確に設定できます。
誰が見てもわかりやすく作る
工程管理表は、技術的な背景に関わらず、製造に関わる全ての人が理解できるように作成する必要があります。シンプルで直感的なデザイン、明確な書き方を使用することで、一目で情報を確認しやすくなります。
部門を超えて関係者全員で共有する
製造に関わる関係者全員が同じ情報をもとに作業を進めることで、進捗に遅れがあればフォローするなど、都度協力して作業を行えるようになります。さらに、進捗状況や問題点をリアルタイムすることで迅速な対応や問題解決が可能になります。
工程管理表の管理者を決める
工程管理表を常に最新の状態に保つためには、工程管理表の更新、情報の精度の確認、関係者へのコミュニケーションなどを担当する、専任の管理者を指名することが効果的です。
生産リードタイムを把握する
各工程や作業の実行に要する時間、すなわち生産リードタイムを正確に把握することで、現実味のあるスケジュール設定と期限の管理が可能になり、適切にリソースを割り当てたり優先順位を決めたりすることができます。
現場の制約条件を把握する
実際の生産現場での物理的、技術的、人的な制約条件を理解し、これらを工程管理表の作成に反映させることで、実現可能な計画を立て、予期せぬ問題への対応が可能になります。
詳細な情報の追加
工程管理表には、作業の詳細や担当者、期限、必要なリソース、関連するドキュメントや連絡先など、作業に役立つ情報を追加することで、関係者が必要な情報を迅速に入手できるようになります。
紙やエクセルの工程管理表のデメリット
紙やエクセルでの工程管理は、製造業における工程管理の初期段階では広く採用されていますが、多くのデメリットがあります。
まず、紙での工程管理は、一度書き込まれた情報の変更や更新が難しく、全員が最新の情報にアクセスできません。また、紛失や破損のリスクもあります。
エクセルでは、複数のユーザーが同時にドキュメントを編集することが難しいというデメリットがあります。情報をリアルタイムに更新できず、ミスの原因になりえます。また、一目で確認できる情報量が限られており、作業間の複雑な関係やリソース管理を効率的に扱うことができません。
以上から、紙やエクセルは、特に大規模で複雑な工程や、リアルタイムでの共同作業が求められる環境では、効率性や柔軟性において不向きです。
工程管理システムを導入するメリット
工程管理システムを利用することで、時間とコストの削減、リアルタイムでの進捗管理、属人化の解消、そしてデータに基づいた意思決定が可能になります。
工程管理システムを導入するメリットは、主に4点あります。
- 少ない工数で効率的な工程管理
- リアルタイムの進捗管理
- 属人化の解消
- データ分析や改善策の検討が簡単にできる
- データのバックアップや保護が容易
少ない工数で効率的な工程管理
工程管理システムを導入することで、プロジェクトの計画、実行、監視、そして調整をまとめて管理できるようになり、管理工数を圧縮できます。その結果、より人手が必要な作業に従業員を確保することができます。また、使いやすいUIのシステムを選べば、エクセル以上に直感的な操作で簡単にデータを扱えます。
リアルタイムの進捗管理
在庫管理システムの情報は常にリアルタイム更新でき、バーコード管理などを併用すればタイムラグがほぼない管理も可能となります。進捗状況をリアルタイムで追跡できるようにすることで、必要に応じて迅速に対応することもできます。
属人化の解消
製造工程に関する情報を全体で管理し、関係者全員がアクセスできるようにすることで、属人化を防ぐことができます。情報が特定の個人に依存することなく、知識の伝達や引継ぎをスムーズに行うことができます。属人化の解消は、チームの効率を向上させると同時に、リスク管理にも繋がります。
データ分析や改善策の検討が簡単にできる
工程管理システムには、製造に関連するデータを収集し、分析する機能もあります。たとえば、作業日報をデジタル化し、作業開始と作業終了を自動集計することで、各工程にかかった工数を記録できます。収集した工数データに基づいて、生産計画に対し、実際に掛かった工数の比較も容易です。遅れが見られた場合は改善策を検討したり、過去のデータを活用したりと、正確な生産計画や予測をすることが可能になります。
データのバックアップや保護が容易
多くの工程管理システムは、情報のバックアップや保護が可能です。たとえば、クラウド型の工程管理システムであれば、ネットワーク上のサーバーやストレージに復元用のバックアップデータが保管されています。万が一、災害などの被害にあっても、大事なデータは守られます。
工程管理システム導入における課題と解決方法
工程管理システムを導入する際には、技術的、組織的、文化的な課題に直面することがあります。従業員の意識改革やシステム導入時のトラブルシューティングなど、対策を事前に検討することで、スムーズに導入し、システムを有効活用することができます。
従業員の意識改革
工程管理システムの導入は、従業員の日常の業務に大きな変化をもたらすため、抵抗や不安が生まれることがあります。そのため、導入のメリットを明確に伝え、従業員がシステムを活用するためのサポートと研修を行うことや、システムに関する意見を求めることが重要です。
また、一度に現場すべてにシステムを導入せず、一部の拠点などから部分的に導入していくことも、現場の負担感を減らすことに繋がります。システム導入の失敗も防ぎやすくおすすめです。
システム導入時のトラブルシューティング
工程管理システムを導入していくうえで、技術的な問題や予期せぬ障害が発生することがあります。そのため、計画の段階でリスク評価を行っておくと安心です。システムベンダーのITスタッフやシステム提供者のサポートを受けられるか確認し、迅速に対応する体制を整えることが必要です。
工程管理システムの活用事例
実際の企業がどのようにして工程管理システムを活用し、プロジェクト管理や生産プロセスを効率化しているのかを紹介します。
ファインセラミックス製品製造会社
ファインセラミックス製品製造会社は、工程管理システムを活用して作業実績を記録することで、Excelでのデータ集計にかかる工数を削減することができました。
従来の工程管理では、現場で紙の作業実績表に手書きし、後でまとめてエクセルに転記する運用を行っていました。25人の作業者が毎日この作業を行い、集計に毎日6時間かかっていました。しかし、ハンディ端末で各プロセスの作業を記録することで、エクセルへの転記作業は一切不要に。紙とエクセルの二重記録がなくなったことで作業時間が半減しました。さらに、PCから進捗状況と作業時間をリアルタイムに確認できるようになりました。
参考：【工程管理システム】ハンディ端末を用いた作業記録でエクセル管理の工数削減を実現
中堅金属部品製造会社
多品種小ロット製造に強みを持つ金属部品製造会社では、工程管理システムで部材引落による在庫管理の自動化を実現し、月2時間の工数削減、年間100時間の進捗確認作業削減、年間36時間の転記作業を削減しました。
以前は仕掛品や完成品の在庫数を毎日手動で確認し、エクセルに転記していました。しかし、システムの導入によりリアルタイムでの在庫管理や生産進捗の確認が可能となり、作業が大幅に効率化されました。
参考：【生産管理システム】部材引落による生産工程と在庫数の連動管理を実現！
22種類の生産管理システムをランキングで比較
初期費用相場や選び方のポイントをチェック
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