組立業向け生産管理システムの特徴と選び方|BOM・MRP対応がカギ

組立品業界向け 生産管理システム

組立業向けの生産管理システムとは、組立製造に特有の業務をデジタル化するシステムです。BOM(部品構成表)の管理や所要量計算(MRP)への対応が主な特徴です。個別受注への対応を効率化し、納期遅延や在庫過剰を防ぐ効果があります。

この記事では、組立業特有の4つの課題・必要な機能・失敗しない選び方を解説します。エクセル管理との比較表も掲載しているので、導入を検討中の方はぜひ参考にしてください。

組立業とは

組立業とは、複数の部品や材料を組み合わせて完成品を製造する業態です。同じ製造業でも、業態によって生産管理に必要な機能は大きく異なります。組立業の特徴を正しく理解することが、生産管理システム選定の第一歩です。

ディスクリート製造としての組立業の定義

製造業は大きく「ディスクリート製造」と「プロセス製造」に分類されます。ディスクリート製造とは、個別の部品を組み合わせて製品を作る方式です。組立業はこのディスクリート製造の代表的な業態にあたります。

一方のプロセス製造は、液体・粉体・ガスなどの素材を混合・加工して製品を作る方式です。食品・化学・医薬品などが該当します。両者は製造プロセスの構造が根本的に異なるため、適した生産管理システムも変わります。

組立業では「どの部品を・いつ・どれだけ調達し・どの順序で組み立てるか」の管理が生産管理の核心です。この管理を支える仕組みがBOM(部品構成表)MRP(所要量計算)です。これらへの対応が、組立業向けの生産管理システムを選ぶ際の最重要ポイントとなります。

組立業の主な業種例

組立業に分類される主な業種は以下の通りです。

  • 電気制御盤・配電盤の製造
  • 産業用機械・装置の製造
  • 産業用ロボットの組立
  • 電子機器・計測機器の製造
  • 自動車部品・車体の組立

これらの業種に共通するのは、製品ごとにBOMが異なり、受注内容によって部品構成や工程が変わる点です。特に個別受注生産(受注ごとに仕様が異なる生産方式)を行う組立業では、柔軟なBOM管理と工程管理が不可欠になります。

組立業の生産管理における4つの課題

組立業の生産管理における4つの課題

組立業が生産管理で直面する課題は、他業種にはない固有の特徴を持っています。以下では、現場でよく見られる4つの課題を整理します。

BOM(部品構成表)の管理が複雑で属人化しやすい

BOM(Bill of Materials:部品構成表)とは、製品を製造するために必要な部品・数量・構成を示したリストです。製品構造を階層構造で管理する点が特徴です。組立業では製品ごとにBOMが異なるうえ、設計変更が発生するたびに更新が必要になります。

エクセルでBOMを管理している場合、以下のような問題が起きやすくなります。

  • ファイルが担当者のPCにしか存在せず、情報共有ができない
  • 設計変更が発注・在庫に即座に反映されない
  • 部品から製品を特定する「逆展開」が手作業ではできない
  • バージョン管理ができず、最新BOMがどれかわからなくなる

特定の担当者しかBOM管理できない「属人化」の状態が続くと、その人員が不在の際に生産が止まるリスクが生じます。

BOM管理システムを導入することで、この属人化リスクを解消できます。

個別受注生産では工程・納期の変動対応が難しい

組立業の多くは個別受注生産を採用しています。受注ごとに部品構成・工程・納期が変わるため、生産計画の立案と進捗管理が非常に複雑です。

エクセルや紙で工程管理を行っている場合、以下のような課題が発生しがちです。

  • 急な仕様変更が入ったとき、工程全体への影響を即座に把握できない
  • 複数案件が並行する際、工程の負荷が見えずボトルネックを発見できない
  • 担当者が別々のファイルで進捗を管理しており、情報がリアルタイムで共有されない

納期遅延は取引先との信頼関係に直結します。個別受注を多く抱える組立業ほど、工程管理のシステム化は急務です。

所要量計算(MRP)をエクセルで行う非効率とリスク

所要量計算(MRP:Material Requirements Planning)とは、必要な部品の数量と発注タイミングを計算するプロセスです。受注・BOM・在庫情報を組み合わせて算出します。

この計算をエクセルで行う場合、製品種類や部品点数が増えると計算量が膨大になります。入力ミスや計算漏れが発生しても気づきにくく、欠品・過剰在庫・発注遅れにつながります。シートから発注票への転記など、無駄な手作業も増加します。

部品在庫の過剰・不足が繰り返し発生する

組立業では、複数製品で共通部品を使うケースが多く、在庫管理が複雑になりやすい特徴があります。

繰返生産(定番品を定期的に生産する方式)では、適正在庫を維持するための発注点管理が必要です。個別受注生産では、案件ごとに必要な部品が異なるため、余剰在庫を抱えやすくなります。

在庫の過剰はキャッシュフローを圧迫し、在庫不足は生産停止や納期遅延を引き起こします。どちらも企業の収益に直接影響するため、適正在庫の維持は組立業の経営課題のひとつです。 生産管理システムの在庫管理機能を活用することで、過剰・不足の両リスクを同時に抑制できます。

課題別に見る必要機能と解決策

組立業に必要な生産管理システムの4機能

前述の4つの課題に対応するため、組立業向け生産管理システムには次の機能が必要です。課題と機能を1対1で対応させながら、それぞれ解説します。

BOM管理機能で部品構成を一元管理する

BOM管理機能とは、製品ごとの部品構成を階層構造で登録・管理する機能です。生産管理システムにBOM管理機能が備わっていると、以下のことが実現できます。

  • すべての部品構成がシステム上で一元管理され、誰でも最新BOMにアクセスできる
  • 設計変更が発生した際、変更内容が発注・在庫に自動で反映される
  • 部品から製品を特定する「逆展開」が即座に行える
  • 版管理(リビジョン管理)により、過去と現在のBOMを比較できる

特に個別受注生産では、案件ごとに異なるBOMを柔軟に作成できるかどうかが重要です。マスタへの事前登録なしでBOMを作成できるシステムを選ぶと、受注対応が格段に楽になります。

BOMにはサマリ型・ストラクチャ型・ハイブリッド型などの種類があります。自社の製品構造に合った形式を選ぶことで、システム活用の精度が高まります。

MRP機能で発注を自動化・最適化する

MRP(所要量計算)機能とは、必要な部品の調達数量と発注タイミングを自動計算する機能です。受注情報・BOM・在庫情報を組み合わせて算出します。

MRP機能を活用することで、次のメリットが得られます。

  • 手作業での所要量計算が不要になり、担当者の工数を大幅に削減できる
  • 必要な部品を必要なタイミングで発注でき、欠品と過剰在庫を同時に防げる
  • 発注データが自動生成されるため、発注書の作成・転記ミスがなくなる

購買リードタイムと製造リードタイムを考慮した計算ができるシステムを選ぶと、より精度の高い発注管理が実現します。最小発注数を超えた余剰分を自動的に在庫として計上する機能があると、さらに便利です。

工程管理機能で個別受注の進捗を可視化する

工程管理機能とは、製造工程の進捗・負荷・順序をシステム上で管理する機能です。複数案件の工程を並行して管理する必要がある組立業では、特に重要な機能となります。

工程管理機能があると、以下のことが可能になります。

  • 各案件の進捗状況をリアルタイムで把握できる
  • 工程の負荷状況を可視化し、ボトルネックを早期に発見できる
  • 仕様変更が入った際、工程全体への影響範囲をすぐに確認できる
  • 担当者間で進捗情報をリアルタイム共有できる

在庫管理機能で適正在庫を維持する

在庫管理機能とは、部品・仕掛品・完成品の在庫をリアルタイムで管理する機能です。MRP機能と連携することで、発注点管理や有効在庫の計算が自動化されます。

生産管理システムの在庫管理機能では、以下が実現できます。

  • 入出庫のたびに在庫数がリアルタイムで更新され、常に正確な在庫数を把握できる
  • 設定した発注点を下回ったタイミングで発注アラートが自動で出る
  • 受注状況・生産予定をもとに有効在庫を時系列で管理できる
  • 複数拠点の在庫を一元管理できる

エクセル管理と生産管理システムの比較

以下は、エクセル管理と生産管理システムの主要管理項目を比較した表です。

管理項目エクセル管理生産管理システム
BOM管理版管理・逆展開が困難。属人化しやすい階層構造で一元管理。逆展開・版管理も可能
所要量計算(MRP)手作業で計算。ミスや漏れが発生しやすい自動計算。欠品・過剰在庫を同時に防止
工程管理複数案件の並行管理が煩雑リアルタイムで進捗・負荷を可視化
在庫管理入出庫の都度手入力。リアルタイム把握が困難自動更新。発注点管理・有効在庫計算が可能
情報共有ファイル管理が属人化。最新版の特定が困難クラウド上で全員がリアルタイムにアクセス可能
設計変更対応関連ドキュメントへの反映が手作業変更内容が発注・在庫・工程に自動反映

エクセルは初期コストが低く、小規模・シンプルな管理には適しています。しかし、部品点数の増加・案件の複雑化とともに管理の限界が訪れます。

「設計変更のたびに複数のエクセルを修正しなければならない」「担当者が休むと在庫状況がわからない」。こうした状況が出てきたら、システム化を検討するタイミングです。

組立業向けシステムを選ぶ際の確認ポイント

組立業向けの生産管理システムを選ぶ際は、次の4つの観点で確認することをおすすめします。機能の豊富さだけでなく、自社の業態・規模・運用体制に合った選択が成功のカギです。

生産方式(個別受注/繰返)への対応

組立業には「個別受注生産」と「繰返生産」があり、必要な機能が変わります。

生産方式特徴主に必要な機能
個別受注生産受注ごとに仕様・部品構成・工程が異なる案件別BOM作成・個別工程管理・納期管理
繰返生産定番品を繰り返し生産する発注点管理・標準BOM・生産計画
混合型両方が混在する上記両方への対応が必要

まず自社の生産方式に対応しているかを確認してください。両方が混在している場合は、1つのシステムで対応できるかどうかも必ず確認が必要です。

BOM管理の設計変更の対応力

製品の設計変更は、組立業では日常的に発生します。設計変更が発生した際、BOMの変更内容が発注・在庫・工程計画に自動で反映される仕組みがあるかどうかを確認することをおすすめします。業務効率に直結する重要なポイントです。

また、複数の部品表バージョンを管理できる「版管理機能」があるかどうかも確認しておきましょう。特定の部品を使っている製品を一覧で確認できる「逆展開機能」も、設計変更時の影響範囲把握に役立ちます。

クラウド型でスモールスタートできるか

生産管理システムにはクラウド型とオンプレミス型(社内サーバーに導入する方式)があります。中小〜中堅の組立業では、クラウド型を選ぶ企業が増えています。

クラウド型のメリットは以下の通りです。

  • 初期費用が低く、月額費用から始められる
  • サーバーの維持管理が不要になる
  • インターネット環境があればどこからでもアクセスできる
  • 必要な機能から始めて、段階的に機能を追加できる

特に初めて生産管理システムを導入する企業には、スモールスタートで始められるクラウド型が向いています。すべての機能を一度に導入しようとすると、現場への定着に失敗しやすいためです。

運用定着を支えるサポート体制

どれだけ優れたシステムでも、現場に定着しなければ効果は出ません。導入後のサポート体制を確認することは、システム選定と同じくらい重要です。

確認しておきたいポイントは以下の通りです。

  • 本格導入前にトライアル運用が可能か
  • 導入時に操作研修やデータ移行支援があるか
  • 製造業の現場を理解した担当者がサポートしてくれるか
  • 問い合わせへの対応スピードや方法(電話・チャット・メールなど)を確認できるか

SmartFが組立業の生産管理課題を解決できる理由

SmartFが組立業の生産管理課題を解決できる理由

SmartFは、製造業のデータ一元管理を目指すクラウド型生産管理システムです。在庫管理・工程管理・原価管理などの機能の中を持ち、その中でも1機能から導入するスモールスタートが可能です。段階的に機能を追加しながら、業務全体のデジタル化を進めたい企業におすすめです。組立業に特有の、BOM管理・個別受注対応・所要量計算の課題にも対応しています。

ポンプメーカー事例:半年の棚卸工数を1000時間規模で削減

医療機器や家電、車載機器など向けの小型ポンプを製造する企業では、SmartFの導入により、半期棚卸しの工数を1000時間規模で削減することに成功しました。

多品種少量・受注生産の同社は、部品点数が多い中で紙・エクセル管理をしていました。そのため、棚卸しや発注業務の負荷が大きく、システム導入に踏み切られました。

その結果、リアルタイムに正確な在庫管理を実現し、発注ミス防止や棚卸工数の大幅削減といった効果を得られました。また、ロット管理のシステム化も実現されています。

ポンプメーカーのSmartF導入事例はこちら

ハーネスメーカー事例:納期確認の手間を年間170時間削減

機器内配線やハーネス(ワイヤーハーネス)の加工・製造を行う企業では、内職を含む工程進捗管理をシステム化したことで、進捗確認工数を年間170時間以上削減しました。

同社の製造では内職工程が多く、都度電話で進捗確認する必要がありました。工程管理をシステム化したことで、各仕掛品がどの内職担当の手元にあるかまで可視化し、確認工数も大幅に圧縮しました。

ハーネスメーカーのSmartF導入事例はこちら

ほかにも、数々の組立品や産業機械装置などの製造業にてSmartFが導入されています。以下より、トライアル運用の相談も受付中です。

【公式】組立品業界向け生産管理システム「SmartF」の詳細はこちら

よくある質問

組立業と加工業では、生産管理システムに違いはありますか?

はい、必要な機能が異なります。組立業は複数の部品を組み合わせて完成品を作るため、BOM管理とMRP(所要量計算)が特に重要です。一方の加工業は素材を切断・研磨・溶接などで加工するため、工程設計や設備管理の機能が重視されます。両方の業態が混在する工場では、どちらにも対応できるシステムを選ぶ必要があります。

個別受注生産に対応した生産管理システムはありますか?

あります。受注ごとに異なるBOMを作成できる機能や、案件ごとの工程管理・納期管理に対応したシステムが個別受注生産に適しています。マスタへの事前登録なしでBOMを作成できるかどうかを、システム選定の際に確認することをおすすめします。

小規模な組立業でも生産管理システムは必要ですか?

部品点数が多い・設計変更が頻繁に発生する・個別受注生産を行っているという状況であれば、規模にかかわらずシステム化のメリットがあります。クラウド型システムはスモールスタートで始められるため、初期費用を抑えながら導入できます。まずは在庫管理やBOM管理など、課題の大きい機能から試すことをおすすめします。

生産管理システムの導入でよくある失敗例はありますか?

最も多い失敗は「現場が使いこなせない」ケースです。機能が豊富すぎるシステムを一度に全部導入しようとすると、現場への定着に失敗しやすくなります。スモールスタートで始め、現場が慣れてから機能を追加していく段階的なアプローチが成功のカギです。また、製造業の業務を理解したベンダーを選ぶことも重要な要素です。

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この記事の著者

SmartF

株式会社ネクスタ DXメディア編集部

生産管理システムSmartF(スマートF)の開発と、250以上の現場改善をしてきたノウハウを活かし、製造業DXに関する情報をわかりやすく解説。アナログな現場や生産効率化に悩む、すべての現場へ役立つメディアを運営しています。

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