経営ダッシュボードをエクセルで自作する方法【無料テンプレートDL有|製造業向け】

エクセル経営ダッシュボード

経営ダッシュボードとは、売上・生産量・在庫などの重要指標を1画面に集約したレポート画面です。現場と経営の意思決定を速くする目的で使われます。エクセルではピボットテーブルとスライサーを使えば、専用のBIツールがなくてもダッシュボードを作成できます。

この記事では、製造業の売上と生産量を題材に、エクセルでダッシュボードを作る手順を7ステップで解説します。完成版のエクセルテンプレートも無料でダウンロードできます。

目次

経営ダッシュボードをエクセルで作る価値

経営ダッシュボードは、複数のグラフと数値を1枚にまとめて、状況をひと目で把握するための画面です。ここではダッシュボードの定義と、製造業で見える化すべき数字を整理します。

経営ダッシュボードとは

経営ダッシュボードとは、売上・利益・在庫・生産量などの経営指標を1つの画面にまとめた集計画面のことです。

専用のBIツールを使うイメージが強い手段ですが、エクセルでも作成可能です。ピボットテーブルとピボットグラフを組み合わせれば、同じような画面を作れます。

エクセルで作るメリットは大きく3つあります。

  • 追加コストがかからない
  • 普段使い慣れたツールで運用できる
  • データとグラフの構造を自分で管理できる

一方でデメリットもあります。データ件数が増えると重くなる、複数人での同時編集に弱い、データ更新が手作業になるなどの限界があります。詳しくは記事後半で解説します。

製造業で見える化すべき3つの数字

製造業の経営ダッシュボードに最低限載せたい数字は、以下の3つです。

  • 売上の合計と推移
  • 生産量の合計と製品別内訳
  • 生産ライン別の構成

この3つがそろうと、たとえば「売上は伸びているが特定ラインの稼働が偏っている」といった状況をすぐに把握できます。

【無料配布中】経営ダッシュボードのエクセルテンプレートはこちら

エクセルで経営ダッシュボードを作る前の準備

ダッシュボードの完成度は、作る前の準備で8割決まります。データの粒度・KPI・テーブル化の3点を先に決めてから、グラフ作成に入りましょう。

データ収集の範囲を決める

ダッシュボードに載せるデータの範囲をまず決めます。今回の例では以下を扱います。

  • 製品(製品Aから製品Hの8種類)
  • 生産ライン(第1ラインから第4ラインの4本)
  • 単価
  • 年月
  • 生産量
  • 売上

データをテーブルに変換する

データは1行1レコードの形式に整え、エクセルの「テーブル」機能で変換しておきます。こうすると、データ追加時にピボットの参照範囲が自動で広がるため、更新作業が楽になります。

テーブル変換したデータイメージ

操作はデータ範囲を選択し、「挿入」タブからテーブルをクリックするだけです。

完成イメージとKPIを決める

完成イメージを先に決めると、必要なグラフと配置がぶれません。本記事では以下のKPIと表示要素を定義します。

  • 売上合計(金額カード)
  • 生産数合計(数量カード)
  • 月別売上推移(折れ線グラフ)
  • 製品別生産数(横棒グラフ)
  • ライン別生産数の構成比(ドーナツグラフ)
  • 生産ライン絞り込み(スライサー)

今回は、これらのデータをもとに、以下のレイアウトのダッシュボードを作る方法を解説します。

経営ダッシュボード完成イメージ
経営ダッシュボードの完成例

→ まずエクセルテンプレートをダウンロードしたい方はこちら

エクセル経営ダッシュボードの作り方を7ステップで解説

ここからは、エクセルでダッシュボードを完成させるまでの手順を7ステップに分けて解説します。すべてピボットテーブル・ピボットグラフ・スライサーで実現できます。

▼動画でも作成手順を確認したい方はこちら

ステップ1:元データの構造を整える

ダッシュボード用シートと別に「元データ」シートを作り、製品・生産ライン・単価・年月・生産量・売上の列を用意します。

経営ダッシュボード:元データタブのイメージ

売上は「=単価×生産量」の数式で算出することで、手入力ミスを防ぎます。年月は日付型でそろえると、後でピボットによる月別集計が一発で終わります。

データを入れたら、先ほど触れたテーブル機能で範囲を変換しておきます。

ステップ2:KPIカードで売上と生産量を一目化する

経営ダッシュボード:KPIカード箇所

ダッシュボードの最上部にKPIカードを置き、売上合計と生産数合計を大きなフォントで表示します。ダッシュボードを見た瞬間に、経営指標の数字がわかるようにします。

KPIカードの作り方は2通りあります。

  • セル参照方式:元データ側でSUM関数を使い、その値をダッシュボードシートからセル参照する
  • ピボットテーブル方式:合計値を返す1×1のピボットを作り、そのセルを参照する

本テンプレートでは、元データシートに集計セルを置き、そこを参照しています。

図:元データシート上部に置いた集計セル。SUM関数で合計値を算出

ピボットテーブル方式にする場合は、以下のように1×1のピボットを作って参照します。

 図:合計売上と合計生産量だけを集計したピボットテーブル

ダッシュボードシートでは、このセルを「=元データ!D2」のように参照し、フォントサイズを36ポイント以上に設定します。これで読みやすいKPIカードができあがります。

ステップ3:月別売上トレンドを折れ線グラフで可視化する

経営ダッシュボード:月別売上トレンド箇所

次に月別の売上推移を折れ線グラフで表示します。

元データを選択した状態で、挿入タブからピボットテーブルを作成します。行ラベルに「年月」、値に「売上」を配置すると、月単位で売上が集計されます。

図:行ラベルに年月、値に売上の合計を配置した月別ピボット

このピボットを選択し、ピボットグラフから折れ線グラフを選びます。データラベルを表示しておくと、各月の数値が読み取りやすくなります。

図:月別売上推移の折れ線グラフ。10月の520万円がピーク

折れ線にすると、季節変動や急落・急増のタイミングがすぐに見つかります。

ステップ4:ライン別生産構成をドーナツグラフで把握する

経営ダッシュボード:ライン別生産量箇所

第1ラインから第4ラインまでの生産量シェアを、ドーナツグラフで表示します。円グラフではなくドーナツにする理由は、中央のスペースに合計値を置けるためです。

行ラベルに「生産ライン」、値に「生産量」を配置したピボットからグラフを作成します。

 図:ライン別生産数のドーナツグラフ。中央に合計20,150を表示

中央のテキストボックスは「=元データ!D2」のように合計セルを参照させると、データが更新されても自動で連動します。

ステップ5:製品別生産数を横棒グラフで比較する

経営ダッシュボード:製品別生産量

製品ごとの生産量を比較するには、横棒グラフが最適です。製品名が長くてもラベルが読みやすく、上から下へ順位がわかるためです。

行ラベルに「製品」、値に「生産量」を配置したピボットテーブルを別に作ります。

図:製品Aから製品Hまでの生産量合計を集計したピボット

このピボットからピボットグラフで横棒グラフを作成します。

図:製品別の生産数。製品Aの4,200個が最多、製品Gの1,000個が最少

横棒グラフでは、伸びている製品と落ちている製品が一目で見分けられます。生産計画の見直しや、SKU整理の判断材料に直結します。

ステップ6:スライサーで生産ライン別に絞り込む

経営ダッシュボード:スライサー箇所

ダッシュボードの目玉機能が「スライサー」です。エクセルのスライサーとは、テーブルやピボットテーブルのデータを、ボタンクリックなどで簡単に絞り込める機能です。経営ダッシュボードにおいては、見たいグラフをクリック1回で絞り込めるため、非常に便利です。今回の例では、「生産ライン別」のスライサーを入れます。

まずは、スライサー作成の準備を行います。元データのピボットテーブルを選択した状態で、ピボットテーブルを作成し、値に「生産量」「売上」を入れます。それぞれのセルを選択した状態で、数式タブから「名前の定義」を行い、各セルの数値に名前をつけておきます(今回は「変動売上」「変動生産量」と定義)。これで、「=変動売上」のように入力することで、変動する生産量や売上を自動入力できるようになります。

経営ダッシュボード:名前の定義プロセス
図:「名前の定義」の操作イメージ

次に、ピボットグラフを選択した状態で「ピボットテーブル分析」タブ→スライサーを挿入し、「生産ライン」を選びます。すると、第1ラインから第4ラインまでのボタンが並んだスライサーが配置されます。

さらに、スライサー上で右クリック→「レポートの接続」を開きます。表示されたダイアログで、連動させたいピボットをすべてチェックしておくと、複数のピボットを同じスライサーで連動できるようになります。これで第2ラインだけのダッシュボードに切り替える、といった操作が可能になります。

▼ これらの手順で作成したテンプレートはこちら
【無料ダウンロード】経営ダッシュボード/エクセルテンプレート

エクセルダッシュボードのデザイン・運用で意識する3つのコツ

以上の手順で、エクセルの経営ダッシュボードは完成です。さらに、以下3つのコツを押さえると、見やすく使いやすいダッシュボードになります。

  • 色数は3色までを目安にする:色を増やすほど意味が薄れるため、3色までに絞る(1色目をベース、2色目をデータ強調、3色目を警告など)
  • グラフの軸線・目盛り・凡例を最低限に削る:重要な数字そのものに目が行くようにする(データラベルを直接表示するほうが、軸を読ませるより速い)
  • シート保護をかける:ダッシュボード側のセルは編集不可にしておくことで、誤操作による数式崩れなどの事故を防ぐ

<完成版エクセル経営ダッシュボードを無料ダウンロード>

本記事で解説した経営ダッシュボードのエクセルテンプレートを、無料で配布しています。元データを差し替えるだけで、自社の売上・生産量・ライン別データをそのまま可視化できます。

下記からダウンロードして、まずは手元で動かしてみてください。

エクセルダッシュボードでよくある失敗と注意点

エクセルでダッシュボードを運用するうえで気をつけるべき、失敗パターンが3つあります。

  • ファイルサイズの肥大化:データ件数が数万行を超えると、ピボットの再計算が遅くなる→ファイルサイズも肥大化し、共有フォルダで開けなくなるケースあり
  • 複数人での同時編集:シートロック・ファイル破損・上書き事故が発生しやすくなる(クラウド版のExcelでも完全ではない)
  • 属人化:データ更新が手作業になると、特定の担当者しか触れない属人化が進む→担当者がいないとダッシュボードも止まる

ダッシュボード活用の成否を決めるのは作り方ではなく「データ蓄積」

「ダッシュボードを苦労して作ったのに、いつの間にか誰も見なくなった…」。これは、製造業の現場で頻繁に起きる失敗です。原因のほとんどは作り方ではなく、その手前のデータの品質にあります。

ダッシュボードが意思決定に使われない理由

ダッシュボードはきれいでも、中に入っているデータが古い・抜けている・間違っていると、意思決定には使えません。

担当者がそれに気づくと、ダッシュボードを開かなくなります。そこから先の議論は、また紙やメールなどに戻ってしまいます。

エクセル管理表と実在庫がずれていく構造的な問題

たとえばエクセルの在庫管理表で在庫数を管理すると、数か月後に実在庫との差が大きく開いてしまうケースが多々あります。

理由は単純で、現場での入出庫のたびに人がエクセルに数字を手入力する運用になるためです。書き忘れ・転記ミス・反映遅れが積み重なり、帳簿在庫と実在庫のずれが定常化します。

そもそもの在庫数や生産数のデータが不正確だと、ダッシュボードに表示されるグラフもただの飾りになってしまいます。同じ問題は、在庫管理の見える化に関する記事でも詳しく扱っています。

ダッシュボード前提のデータ蓄積に必要な3条件

ダッシュボードを意思決定の道具として機能させるには、以下の3条件をデータ側でそろえる必要があります。

  • リアルタイム性:実績が発生したらすぐデータに反映される仕組み
  • 正確性:人の手入力に頼らず、機器や端末から直接データを取得できる仕組み
  • 一元化:販売・生産・在庫が同じデータベースで結ばれている状態

エクセルだけでこの3つを満たすのは現実的ではありません。エクセルダッシュボードは「現状把握の試作」と割り切るのが安全です。将来的には、システムによる自動データ蓄積へ切り替える前提で考えることをおすすめします。

エクセルから次の一歩:製造業向けリアルタイムダッシュボード

エクセルダッシュボードは「自社のKPI管理の試作」に向いた手段ですが、運用フェーズに進むと別の選択肢が必要になります。

エクセル運用で限界を感じる典型的な3つのサイン

以下の状態が出てきたら、システム移行を検討するタイミングです。

  • データ更新の手作業が週に数時間かかっている
  • 担当者が休むとダッシュボードが止まる
  • 在庫・売上・生産の数字が部署ごとに食い違う

これらはエクセル運用の構造的な限界が表面化したサインです。仕組みを変えなければ解消しません。

生産・売上・工程をシステムで見える化できる「SmartF」

SmartF

製造業向け基幹システムSmartFでは、製造業の在庫・工程・原価・販売に関する情報をクラウドで一元管理が可能です。現場の端末や機器から実績データを直接登録することで、ダッシュボードの元データとなる数字をリアルタイムに更新できます。

SmartFはトライアル導入から始めることも可能です。生産・売上データの収集にお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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初期費用相場や選び方のポイントをチェック

生産管理システムをそれぞれの特徴や初期費用相場などで比較したい場合は、「生産管理システムランキング」も是非ご覧ください。生産管理システムは、自社の製品・生産方式・企業規模などに適したものを導入しないと、得られるメリットが限定されてしまいます。事前適合性チェックや生産管理システムを選ぶ前に押さえておきたいポイントも解説していますので、製品選びの参考にしてみてください。

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この記事の著者

SmartF

株式会社ネクスタ DXメディア編集部

生産管理システムSmartF(スマートF)の開発と、250以上の現場改善をしてきたノウハウを活かし、製造業DXに関する情報をわかりやすく解説。アナログな現場や生産効率化に悩む、すべての現場へ役立つメディアを運営しています。

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